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SARNews No.8

SARNews_8

構造活性相関部会・ニュースレター<31March2005>SARNewsNo.8「目次」///Perspective/Retrospective///ケミカルゲノミクス上杉志成・・・2///CuttingEdge///GeneralModelforEstimationoftheInhibitionofProteinKinasesUsingMonteCarloSimulations冨永幸雄・・・7「特異性スコア」とフラグメントに基づくバーチャルスクリーニング高橋理古谷利夫・・・11HERG阻害作用に関する構造活性相関解析吉田勝己丹羽朋子・・・15///Activities///<報告>・第32回構造活性相関シンポジウム・EuroQSAR2004田中明人小谷孝行・・・19・・・20<会告>・構造活性フォーラム2005・第33回構造活性相関シンポジウム・第7回薬物の分子設計と開発に関する日中合同シンポジウム・・・22・・・23・・・24/////Perspective/Retrospective/////ケミカルゲノミクス京都大学化学研究所・ベイラー医科大学上杉志成微生物から抽出したちっぽけな化合物や、工場で石油から合成した安価な化合物が、人間の命を救い、生命現象の謎を解く鍵となる…考えてみると驚くべきことだ。祖先の長年にわたる経験、人間の好奇心、地道な作業と幸運、研究者の思い、多くの人々の犠牲の積み重ねによって、ゆっくりとしたペースであるが生理活性物質は発見され、生命の理解と疾病の治癒に利用されてきた。ケミカルゲノミクスでは、この過程をスピードアップさせる。ユニークな生理活性を持った新たな有機化合物を積極的にゲノムワイドに発掘し、有機化合物を起爆剤とした生物や疾病の網羅的研究を試みる。ケミカルゲノミクスは基礎研究であるが、明らかに創薬を加速する「触媒」となる。ここでは、ケミカルゲノミクスの概念を紹介し、医薬分野の覇権を賭けた米国の国策としての取り組みについて解説する。ケミカルゲノミクスとケミカルジェネティクス~オミクスという接尾語は、網羅的という意味を単語に付加する。ケミカルゲノミクスはケミカルジェネティクスを網羅的にした学問を意味し、ケミカルゲノミクスを理解するためには、ケミカルジェネティクスを理解するのが早道だろう。ケミカルジェネティクス(chemicalgenetics)は、文字通り化学と遺伝学の融合である。遺伝学の優れた考え方を化学の分野に取り込み、有機化合物を起爆剤として生命現象を理解する。ケミカルジェネティクスという言葉は、1990年代中頃にハーバード大学のシュライバー教授らによって提案され、それ以来、化学、生物学、医学、薬学の分野で好んで用いられている。当初は天然物の薬理研究といった従来と何ら変わらない学問だったが、この10年における化合物ライブラリーの発展、化合物スクリーニングの高度化、ゲノム解析の進展などに背中を押され、ケミカルジェネティクスは大きな学問分野を形成しつつある(1)。なぜケミカルジェネティクスなのか。人類が今世紀理解しようとしている生命の仕組みは、途方も無く複雑である。複雑なものを理解するときの常套手段は、何らかの「かく乱」を与えて様子を見ることだろう。例えば、複雑なコンピューターの仕組みを探ろうと思えば、スイッチを押してみたり、プラグや部品を一つ抜いてみたりして、その効果をじっくり見る。遺伝学では、遺伝子に変異を導入することで生体を「かく乱」し、どのようなフェノタイプ(表現型)がでるか様子を見る。ケミカルジェネティクスでは小分子有機化合物を使って細胞機能を「かく乱」し、様子を見る。小分子化合物をかく乱物質もしくはスイッチとして用いることで生物を研究する。フォアワードケミカルジェネティクフォアワードリバーススとリバースケミカルジェネティク遺伝学ケミカルジェネティクス遺伝学ケミカルジェネティクスス遺伝学にフォアワードジェネティクスとリバースジェネティクスがあるように、ケミカルジェネティクスゲノムにランダムな変異を施してスクリーニングを行い、興味の対象となる表現型をもつ変異体を選ぶ。化合物ライブラリーのスクリーニングを行い、興味の対象となる表現型を生む化合物を選ぶ。興味の対象となる遺伝子を遺伝子操作により改変する。興味の対象となる蛋白質に特異的に作用する化合物を開発する。にもフォアワードとリバースがある(図1)。変異のある遺伝子を見つけ出し、その遺伝子がコー化合物に結合する蛋白質や化合物によって影響遺伝子操作の生体に対する影響を観察する。化合物の生体に対する影響を観察する。ドする蛋白質をされる蛋白質を遺伝学における一般的なフォアワ割り出す。見つけ出す。ードジェネティクスでは、ゲノムに変異をランダムに導入し、興味となるフェノタイプを観察する。例えば、ショウジョウバエの羽の発生を研究図1:フォアワードケミカルジェネティクスとリバースケミカルジェネティクス。遺伝学では、しようと思えば、ゲノムに変異をラ遺伝子の変異などの遺伝子操作を用いるのに対し、ケミカルジェネティクスでは有機化合物を用いる。ンダムに導入し、羽の無いハエを探す。その羽なしハエがどのような遺伝子に変異を持っているかを調べることで、羽の発生に関係する遺伝子を見つけることができる。フォアワードケミカルジェネティクスでは、細胞などを使って化合物ライブラリーをスクリーニングし、興味となるフェノタイプを生じる化合物を見つける。この化合物が標的としている蛋白質や細胞シグナル伝達系は、フェノタイプに重要な役割を果たしているはずである。つまり、化合物を先に発見し、その化合物を「かく乱物質」として活用することにより、新しい蛋白質や細胞シグナルを芋づる式に発見する(図1)。ハーバード大学のシュライバー研究室が行なった、免疫抑制剤FK506をつかったT細胞活性化の研究はその代表といえる(2-4)。一方、リバースケミカルジェネティクスでは、その逆の過程をたどる。遺伝学におけるリバースジェネティクスでは、機能不明の遺伝子を遺伝子操作で不活性化させたり活性化させたりして、その効果を観察する。例えば、機能が不明なショウジョウバエの遺伝子を不活性化させ、フェノタイプをじっくり観察する。羽の形態に変化があれば、その遺伝子は羽の発生に関係するはずである。リバースケミカルジェネティクスでは、機能が不明な蛋白質を特異的に不活性化もしくは活性化する化合物をデザインして、化合物を使ってその蛋白質の細胞内の機能を探る(図1)。UCSFのショカット研究室が行なった、小分子化合物によるキナーゼの細胞内解析はその代表といえる(5-11)。ケミカルジェネティクスからケミカルゲノミクスへフォアワードケミカルジェネティクスとリバースケミカルジェネティクスに共通する考え方は、小分子化合物をかく乱物質もしくはスイッチとして用いることだ。化合物をスイッチとして用いること自身に新しさは無い。昔から多くの分子生物学者が既知の小分子化合物を生物学の研究に利用してきた。問題なのは、遺伝学のように方法が「一般化」できるかどうか、ゲノミクスのように学問が「網羅的」かどうかである。これまでも生物学の研究に小分子薬物が用いられてきたが、単発的、断片的だった。ケミカルジェネティクスでは、ジェネティクスの方法に学びながら一般化できる方法を模索する。ケミカルゲノミクスでは、ケミカルジェネティクスの研究を網羅的に行うことで、生物と有機化合物の相関を系統的に理解し、生命現象を理解する。どのようにすれば、ケミカルジェネティクスを網羅的なケミカルゲノミクスへと進化させることができるのだろう。遺伝子や蛋白質の多様性に対応するために、膨大な数の多様な有機化合物からなる化合物ライブラリーを準備し、多様なアッセイで化合物スクリーニングを行なう必要がある。多様な化合物を効率よく作り出すため、新しい合成技術が求められ、あらゆるフェノタイプと活性を網羅するために、スクリーニング技術の高度化と自動化が求められる。ジェネティクスがゲノミクスへと進化した理由のひとつは、国を挙げたヒトゲノムプロジェクトと国際協力にあった。ケミカルジェネティクスがケミカルゲノミクスへと進化するには、同じような国家プロジェクトや国際協力が必要だろう。ゲノム解析に重要な役割を果たしたMITのエリック・ランダー教授は語る。「ケミカルゲノミクスを取りまく状況は、20年前のゲノミクスの状況と同じだ。ケミカルゲノミクスの分野を大きく進歩させるために、次の10年間に大型資金をケミカルゲノミクスに投入しなければならない」アメリカの国策――NIHロードマップアメリカはすでに国策としてケミカルゲノミクスへの道を歩みはじめている。国家プロジェクトであるNIHロードマップの一環としてケミカルゲノミクスがあげられ、具体的な計画がNIHから打ち出されているのだ。NIH(NationalInstituteofHealth)は健康と医療に関する研究費を配分し研究を推進するアメリカ連邦機関で、2002年の統計によると、大学を対象にした全ての研究分野の連邦政府研究助成金のうち67%(約1兆4千億円)がNIHを介している。NIHロードマップは、この膨大な予算を配分するNIHが設定した戦略的重点領域といえる。NIHロードマップの主眼は、産業を興し国を繁栄させながら、医療費を下げることにある。アメリカの医療サービスは70年代に比べて大幅に値上がりし、健康保険料が年々10%急騰している。収入が低くても、病気や怪我をしたら医者にかかって薬を飲まないわけにはいかない。どこかの優良企業の正社員であれば、雇用主が従業員の高額の健康保険を肩代わりしてくれるので、高い医療費を何とか支払える。しかし、実際には、高額の保険料は企業経営を圧迫するので、雇用の多くが正社員ではなく時間給であったり、雇用主が高額な保険料を支払うことを渋ったりする。アメリカには国民健康保険がないので、健康保険をもたない人々が4500万人もおり(2003年の統計)、このような健康保険に加入していない人々は、生きるためには多額の借金をしてでも医療費を払わねばいけない。現在のアメリカの繁栄の一部は、こういった多くの貧しいアメリカ人のうえに成り立っているといわれる。アメリカの医療費問題と医薬産業の覇権戦略は、アメリカという国を考える上で極めて重要である。NewPathwaystoDiscoveryこれまでの医療は、病状が重くなってからそれを治癒しようとする医療だった。何事も悪くなってしまってからでは、それを修復するのに時間もコストもかかる。これからは「予防」が医療費の削減を推し進めるとNIHは考えている。何らかのマーカーを何らかの方法で探知し、それにしたがって疾病の進行を抑え、医療費を削減するという考え方だ。そのためには、疾病を完全に理解する必要がある。疾病の理解なくして疾病を効率よく予防することはできないだろう。例えば、疾病を理解することによって、心臓疾患や脳卒中を防ぐために、高脂血症を抑えるスタチンや、血栓形成を抑えるアスピリンを服用するといったことができるようになった。疾病の理解が予防に繋がり、予防は心臓のバイパス手術を受けるよりもずっと安くつく。NIHでは「予防の医療」とそれに付随する産業の振興、医薬分野でのアメリカの覇権を念頭に、疾病を基礎から理解するための新しいアプローチ「NewPathwaystoDiscovery」5つをNIHロードマップの中で提案している。その実状を要約すると以下のようになる。(1)システムバイオロジー:生物をゲノムワイドに理解のために必要な新しい技術の開発(プロテオーム技術、メタボローム技術を含む)(2)ケミカルバイオロジー:有機化合物を起爆剤とした生物・疾病の理解(ケミカルジェネティクス、ケミカルゲノミクスを含む)(3)構造生物学(4)バイオインフォーマティクス、ケムインフォーマティクス(5)ナノメディシン:ナノテクノロジーの医学への応用NIHChemicalGenomicsNetworkアメリカでは2003年末と2004年に、ケミカルゲノミクス分野の具体的な政策が打ち出されている。第一弾は、化合物ライブラリー構築の手法を追究する研究センターがピッツバーグとボストンに2003年に設立されたことだ。第二弾として2004年6月、NIHはNationalHumanGenomeResearchInstitute内にChemicalGenomicsCenterを設立した。今後は、このNIH内のセンターを中心として、全米約6箇所にスクリーニングセンターが設置され、2005年度にNIHChemicalGenomicsNetworkが稼動する(図2)。NIHChemicalGenomicsTargetsTargetsTargetsTargetsInvestigator-InitiatedNIHChemicalGenomicsCenterAssayDevelopmentNIHSmallMoleculeRepositoryProjectsSelectionAssignmentAssayAccessCommitteeSteeringCommitteeScreeningCentersAssayImplementationHTS“Hits”-validationLimitedleadsoptimizationNewLeadsforResearchandTherapeutics図2:NIHChemicalGenomicsNetworkの模式図。NIHChemicalGenomicsCenterは約100万個の化合物からなる化合物ライブラリーを準備、保管し、全米約6箇所に設置されるスクリーニングセンターへ分配する。スクリーニングセンターでは、NIHから供給される化合物ライブラリーを使って、あらゆるアッセイを行う。行われるアッセイは全米の研究者からの公募による。Centerは約100万個の化合物からなる化合物ライブラリーを準備、保管し、スクリーニングセンターへ分配する。スクリーニングセンターでは、NIHから供給される化合物ライブラリーを使って、あらゆるアッセイを行う。行われるアッセイは全米の研究者からの公募によるが、その中核となるのは「フェノタイプアッセイ」と「新しいユニークなアッセイ」だと表明されている。この化合物スクリーニングの目的は創薬ではない。生物や疾病の理解に役立つ有機化合物の発見に焦点があるため、創薬標的である遺伝子にこだわらず幅広い遺伝子やフェノタイプがスクリーニングの標的とされる。アッセイ結果はNLMのPubChemという形で一般公開され、NewPathwaystoDiscoveryの一つであるケムインフォーマティクスへと進展する。これまで、化合物ライブラリーは製薬会社と私たちの研究室を含めた少数の大学研究室でしか利用されていなかった。これからはNIHChemicalGenomicsNetworkによって、全米の生物学者が利用できるようになる。いくつかの研究室でチビリチビリと取り組んできたケミカルジェネティクスが、全米で国をあげて大規模に展開される。アメリカの医学校で有機化合物スクリーニングと有機化学が大々的に語られるという事態になってきているのは驚くべきことだ。アメリカではNIHChemicalGenomicsNetworkを通じて生物学者は化学者とますます連携していくだろう。*ケミカルジェネティクスやケミカルゲノミクスは創薬ではない。ユニークな生理活性を持った有機化合物を発掘してゲノム情報と共に解析し、有機化合物を起爆剤とした生物や疾病の研究を可能にする基礎学問である。しかし、その化合物を基盤とする基礎研究で培われた知識と技術は、直接創薬に応用することができる。ケミカルジェネティクスやケミカルゲノミクスは創薬を加速する「触媒」となりえるのだ。化学の強い日本こそがこの分野を先導し、人間の健康改善と医薬業界の発展に貢献することを期待してやまない。文献1.S.L.Schreiber,C&ENMarch3,51-61(2003).2.J.Liuetal.,Cell66,807-15(Aug23,1991).3.M.W.Harding,A.Galat,D.E.Uehling,S.L.Schreiber,Nature341,758-60(Oct26,1989).4.R.F.Standaert,A.Galat,G.L.Verdine,S.L.Schreiber,Nature346,671-4(Aug16,1990).5.K.Shokat,M.Velleca,DrugDiscovToday7,872-9(Aug15,2002).6.F.R.Papa,C.Zhang,K.Shokat,P.Walter,Science302,1533-7(Nov28,2003).7.K.Shah,K.M.Shokat,MethodsMolBiol233,253-71(2003).8.J.R.Holtetal.,Cell108,371-81(Feb8,2002).9.A.S.Carroll,A.C.Bishop,J.L.DeRisi,K.M.Shokat,E.K.O’Shea,ProcNatlAcadSciUSA98,12578-83(Oct23,2001).10.A.C.Bishopetal.,Nature407,395-401(Sep21,2000).11.K.Shah,Y.Liu,C.Deirmengian,K.M.Shokat,ProcNatlAcadSciUSA94,3565-70(Apr15,1997)./////CuttingEdge/////GeneralModelforEstimationoftheInhibitionofProteinKinasesUsingMonteCarloSimulations大日本製薬(株)冨永幸雄1.序高速かつ高精度に蛋白質-阻害剤の結合自由エネルギーを予想することは,Structure-baseddrugdesignを成功に導く一つの重要な要素である.現在までに様々な方法が考案され利用されてきたが,十分満足できる方法論は未だ開発されていないのが現状である.速度の観点から見ると,経験則をもとにしたスコア関数は自動ドッキングのアルゴリズムと組み合わされてデータベースドッキングとして広く利用されているが,その精度は十分なものであるとは言い難い.一方,精度の観点に目を向けると,FreeenergyperturbationやThermodynamicsintegrationといった結合自由エネルギーを精度よく(+0.5kcal/mol)予想できる方法がある.しかしながら,これらの方法は適応範囲が限定されており,しかも膨大な計算時間を要する.近年,速度および精度の両面において上記手法の中間的な位置付けとなるMM-PBSA法やLinearresponse法が考案され,蛋白質-阻害剤の結合自由エネルギーの推定に用いられている.これらの方法を用いることで,比較的短時間で結合自由エネルギーをそれなりの精度(+1.0kcal/mol)で予想することが可能である.著者は,2000年より2年間Yale大学のW.L.Jorgensen研究室でExtendedlinearresponse法を利用した蛋白質-阻害剤の結合自由エネルギーの推定に関する研究を行ってきた.本稿では,その研究成果について報告したい.2.LinearResponse法AqvistらはLinearresponse(LR)理論を蛋白質-阻害剤系に世界で最初に応用し,結合自由エネルギーを推定することに成功した1.彼らは,結合自由エネルギーの静電相互作用による寄与(.GbC)はLR理論を用いて式1で近似できると考えた..Gbc=1/2<.Ec>(1)ここで.Ecは,蛋白質の活性部位に結合した状態(図1右)にある阻害剤と周囲の環境(蛋白質+水)との静電相互作用エネルギーと,水中でフリーの状態(図1左)の阻害剤と周囲の環境(水分子)との静電相互作用エネルギーの差を表す.<>は,分子動力学法やモンテカルロ法による統計平均量を意味する.ここでは係数の0.5がLR理論による理論値である.一方,立体相互作用による寄与(.GbLJ)に関しては,静電項の類似式で近似した..GbLJ=α<.EvdW>(2)式1,2を合わせて式3とし,蛋白質-阻害剤結合自由エネルギー(.Gb)を表すモデル式とした..Gb=α<.EvdW>+1/2<.Ec>(3)ここで,係数αに関しては理論的に推定することが困難なため,実測の結合自由エネルギーをもとにフィッティングで求めた.具体的には,4個のEndothiapepsin阻害剤の結合試験データを用いα=0.161と見積もった.図1.水中でフリーの状態(左)蛋白質の活性部位に結合した状態(右)後にAqvistらは,このモデルを用いてHIVproteinase,Glucosebindingprotein,Trypsin阻害剤の結合自由エネルギーの推定に成功した2.3.ExtendedLinearResponse法JorgensenらはLR法で中性分子の水和自由エネルギーを解析し,式3では炭化水素系化合物のプラスの水和自由エネルギーが説明できないことに気づいた3.これは式3にCavity項が含まれていないためである.この知見をもとに,溶媒接触表面積(SASA)に比例するぺナルティー項を式3に導入した式4を考案した.式4は,蛋白質-阻害剤の結合自由エネルギーを表すより一般的なモデルであると考えられる.また,静電項の係数に関しては理論値0.5が最適とは限らないため,この係数も結合試験のデータでフィッティングすることを考えた..Gb=α<.EvdW>+β<.Ec>+γ<.SASA>(4)ところが,実際に式4の係数をThrombin,HIV-1ReverseTranscriptase,FKBP12阻害剤系のデータでフィッテンィグしたところ,用いたデータセット内でのSASAの変化は小さく,第3項は定数項に置き換え可能であることが見出された4-6.さらに幾つかの系を精力的に解析した結果,式4は蛋白質-阻害剤の結合自由エネルギーを表すのに最適なモデルではないことがわかり,より一般的な式5で結合自由エネルギーを表現すべきであると考えた(ExtendedLinearResponse法(ELR))..Gb=∑cnξn+constant(5)nここで,cnは最適化可能な係数であり,ξnは蛋白質-阻害剤の結合に関係する物理的に意味のあるDescriptor(EXX-LJ,.HBtotal,.FOSA,.Eint,#RB等)である.EXX-LJ:蛋白質-阻害剤間のLennard-Jones相互作用エネルギー.HBtotal:阻害剤が水中から蛋白質の活性部位に移行することで消失する周囲の環境との水素結合の数.FOSA:阻害剤が水中から蛋白質の活性部位に移行することで消失する疎水性表面積.Eint:阻害剤が水中から蛋白質の活性部位に移行することで減少する分子内部歪エネルギー#RT:阻害剤の回転可能な結合の数HIV-1ReverseTranscriptase,Thrombin,Cycloxygenase-2系で最適化されたモデル式を比較すると,上記のDescriptorは複数のモデル式において結合自由エネルギーを説明するのに重要であることがわかった7-10.しかしながら,これらのDescriptorの結合自由エネルギーに対する寄与は系により異なり,蛋白質-阻害剤全般に渡って一般的に成立するモデルを求めることは困難である.4.GeneralModelforEstimationoftheInhibitionofProteinKinases11著者らは,標的蛋白質を絞ればその範囲内で成り立つELRモデルができるのではないかと考え,標的蛋白質としてPreoteinkinaseを選択した.選択理由として,PreoteinkinaseのATP結合領域は多くのKinaseにおいて高い配列相同性を示し,しかもKinaseは薬物の標的蛋白質として現在最も注目されている蛋白質の一つであることが挙げられる.蛋白質の三次元構造データ,阻害剤結合試験データが豊富にあるCyclin-dependentkinase2(CDK2),P38mitogen-activatedproteinkinase(P38),Lymphocyte-specifickinase(Lck)の3種類のKinase系を選択し研究を進めた.4.1.IndividualELRmodels個々のKinase系についてELR解析を行い,統計的に有意なモデル式6-8を得た.CDK2:.Gcalc=0.100+0.110-0.216<.HBtotal>-1.350(6)N=61,RMS=0.729kcal/mol,R2=0.759,Q2=0.722Lck:.Gcalc=0.0989+0.257-0.320<.HBtotal>+0.623(7)N=51,RMS=0.676kcal/mol,R2=0.734,Q2=0.683P38:.Gcalc=0.0644+0.00619<.FOSA>-0.760(QPlogPo/w)-0.636(8)N=36,RMS=0.767kcal/mol,R2=0.678,Q2=0.603ここで,それぞれのDescriptorの意味は以下の通りである.EXX-C:蛋白質-阻害剤間のCoulomb相互作用エネルギーEXX:蛋白質-阻害剤間の(Coulomb+Lennard-Jones)相互作用エネルギーQPlogPo/w:QikPropによるオクタノール/水の分配係数CDK2,Lckモデルにおいては,同じDescriptorが統計的に有意であった.一方,P38系では阻害剤としてATP結合部位近くのAllostericサイトに結合する化合物を解析に用いたため,他とは異なるDescriptorが有意となった.4.2.Combinationoftwodatasetstopredictthethird2種類のKinase系のデータを合わせてELR解析を行った.P38系の阻害剤には2個のOutlierが存在したため,以下の解析ではこれらを除外した.CDK2andLck:.Gcalc=0.0995-0.269<.HBtotal>+0.0103<.SASA>-3.75(Lcorr)+3.45(9)N=112,RMS=0.722kcal/mol,R2=0.737,Q2=0.712CDK2andP38:.Gcalc=0.0814-0.289<.HBtotal>+0.0110<.SASA>+2.06(10)N=95,RMS=0.795kcal/mol,R2=0.692,Q2=0.661P38andLck:.Gcalc=0.0723-0.312<.HBtotal>+0.0147<.SASA>-3.03(Lcorr)+3.55(11)N=85,RMS=0.784kcal/mol,R2=0.649,Q2=0.602.SASA:阻害剤が水中から蛋白質の活性部位に移行することで消失する溶媒接触表面積Lcorr:Lck阻害剤に対して1,他の阻害剤に対しては0を与える偽変数(実験系の違いによる系統的なズレを補正するために導入)驚くべきことに,全モデル同じDescriptorで構成されていることが分かる.さらに,各モデル式の係数を比較すると,極めて近い値を示していることが分かる.これらのモデル式を用い,モデル構築に使わなかった残りのデータをテストセットとして利用し,結合自由エネルギーを予想した.実測値との相関を調べたところ,それぞれ,R2=0.538(P38),0.704(Lck),0.706(CDK2)と非常に高い値を示した.4.3.FinalELRmodelusingallthreedatasets最後に3種類のKinase系の全データを合わせて解析を行い,以下の良好なモデル式を得た..Gcalc=0.0848-0.293<.HBtotal>+0.0123<.SASA>-3.11(Lcorr)+3.08(15)N=146,RMS=0.775kcal/mol,R2=0.691,Q2=0.6665.まとめELR法による蛋白質-阻害剤の結合自由エネルギーの推定に関して,Jorgensen研究室で行われてきた研究及び著者が行った研究を中心に解説した.6.参考文献[1]Aqvist,J.;Medina,C.;Samuelsson,J.-E.ProteinEng.1994,7,385-391.[2]Hansson,T.;Marelius,J.;Aqvist,J.J.Comput.AidedMol.Des.1998,12,27-35.[3]Carlson,H.A.;Jorgensen,W.L.J.Phys.Chem.1995,99,10667-10673.[4]Jones-Hertzong,D.K.;Jorgensen,W.L.J.Med.Chem.1997,40,1539-1549.[5]Smith,R.H.J;Jorgensen,W.L.;Tirado-Rives,J.;Lamb,M.L.;Janssen,P.A.J.;Michejda,C.J.;Smith,M.B.K.J.Med.Chem.1998,41,5272-5286.[6]Lamb,M.L.;Tirado-Rives,J.;Jorgensen,W.L.Bioorg.Med.Chem.1999,7,851-860.[7]Rizzo,R.C.;Tirado-Rives,J.;Jorgensen,W.L.J.Med.Chem.2001,44,145-154.[8]Rizzo,R.C.;Udier-Blagovi.,M.;Wang,D.;Watkins,E.K.;Smith,M.B.K.;Smith,R.H.J;Tirado-Rives,J.;Jorgensen,W.L.J.Med.Chem.2002,45,2970-2987.[9]Pierce,A.C.;Jorgensen,W.L.J.Med.Chem.2001,44,1043-1050.[10]Wesolowski,S.S.;Jorgensen,W.L.Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,12,267-270.[11]Tominaga,Y.;Jorgensen,W.L.J.Med.Chem.2004,10,2534./////CuttingEdge/////「特異性スコア」とフラグメントに基づくバーチャルスクリーニング株式会社ファルマデザイン高橋理、古谷利夫1.はじめに近年、フラグメントに基づくリード創出が注目されている1。ターゲットに対して結合活性を持つ化合物フラグメントを探索し、それらをつなぎ合わせたり修飾することによってリード化合物を得る方法である。この方法では、限られたフラグメントの空間を探索し、それらを組み合わせることで結果的に広い化合物空間を効率良く探索できる。(図1)フラグメントに基づくリード創出のプロセスを確立する上での課題として以下の点が挙げられる。(1)フラグメントは活性が低いため、NMRやX線結晶解析等を用いて、弱いながら特異的な結合活性を検出することが必要である。これらの方法はコストがかかる上、スクリーニングできるフラグメントの数が限られる。そのため現在ハイスループット化の研究が進められている。(2)得られたフラグメントを組み合わせてリードを設計する際に、合成が容易なものを効率よく設計する手法が必要となる。我々は、これら二つの問題のいずれに対しても、分子計算が大きな役割を果たし得ると考えている。今回は、(1)の問題の一つの解決法として、フラグメントをドッキングに基づいて絞り込むための、スコア関数の規格化とパラメータ最適化の方法を開発した。2.理論及び方法最初に抽象化したモデルを用いて、ドッキングスコア関数の分子の大きさに対する依存性について定性的な結論を導き、それを具体的なドッキング評価関数に適用する。スコア関数の分子サイズに対する依存性リガンドを長さn、蛋白質のリガンド結合部位を長さmとし、0又は1を要素とする配列で表す(ただしm≧n)。これらの間のアライメントが結合様式に対応すると考える(図2)。リガンドと結合部位の間で、1と1又は0と0が対応するとき、スコアに-1が加算されるものとする。図1フラグメントの組み合わせによる化合物空間の探索図2タンパク質-リガンド相互作用のモデルこのとき、長さnのリガンドの種類(配列の数)は2nであり、このうち特定の結合部位に対して特定の様式で結合したときにスコアが-xになるリガンドの数は、二項分布n!(1)x!(n.x)!で与えられる。この分布は、平均と分散が共にnに比例し、相互作用の単位を細かくする極限で正規分布に帰着する。これらの性質は、相互作用のパターンが複雑になったり、強さがまちまちな相互作用が混在する場合でも共通である。そこで、化合物データベースをドッキングして得られるスコアの分布を、平均と分散がそれぞれ化合物の大きさに対して線形となるような正規分布でモデル化することが、第一段階として妥当であると考えられる。ここで、化合物の大きさの尺度として、Andrewsのスコアを用いる2。Andrewsのスコアは、ターゲット横断的にQSAR解析を行い、化合物が持ちうる活性値を各化学基や原子の数の重み付の和で表したものである。パラメータ最適化手法従来、経験的なドッキングスコア関数のパラメータ最適化の手法として、最小二乗法が多く用いられてきた。N212σ=∑(Si.ai)(2)NiここでSiはi番目の蛋白質-リガンド複合体データに対するスコア値、aiはi番目の複合体のリガンドの活性、Nは用いる複合体データの数を表し、σ2を最小化するようにSiに含まれるスコアパラメータを決める。しかし、通常用いられるデータには多くの誤差や外れ値が含まれている。また、タンパク質の構造変化に伴う自由エネルギー変化などの重要な寄与が現在のドッキングスコア関数には反映されていない。そこで、前節のスコア分布のモデルを用い、活性化合物と不活性化合物の分離に着目した新しいスコア関数最適化手法を導入する。NN1∑(Si.ai)202=σ(3)iNActive1S.(au+b)Z=∑(4)N+diActiveiiiActivecu,ここで、σ0は定数とし、(3)をパラメータ最適化の束縛条件とする。Zは活性化合物の、スコア分布中での位置を表すZスコアの平均値で、今回の最適化手法ではこれを最小化する。NActiveはZスコア最適化に用いる活性化合物の数、uiはi番目の活性化合物のAndrewsのスコア。aui+bとcui+dはそれぞれ、前節の分布モデルに従ったスコア分布の平均と分散で、パラメータa,b,c,dはデータベース中の化合物のドッキング結果に基づいて、以下のような条件から決める。{()}.P=.(5).NDB().(….+iDBiiiicudcu,2exp2π).++.dbauS21.∂P∂P∂P∂P====0(6)∂a∂b∂c∂dPはデータベース中の化合物群のスコアの出現確率を表し、式(6)はPを最大化するようにa,b,c,dを求める最尤法の条件である。式(3)~(5)に現れるSiがそれぞれスコアパラメータを含んでいるので、これら全ての式を連立させて最適化を行う。計算手法としては、ラグランジュの未定乗数法を用い、式(3)と式(6)を束縛条件とし、式(4)の停留値を求める。この方法で求められる各化合物のZスコアSi.(aui+b)Zi=cui+dを化合物選択の基準にすると、同程度のAndrewsのスコアを持つ化合物群の中で、特にあるターゲットに対して特異的に結合する化合物を選ぶことができる。そこでこのZスコアを特異性スコアと呼ぶことにする。最適化に使用した複合体データスコア-活性相関の条件式(3)には、HIVプロテアーゼ、トリプシン、トロンビン、ノイラミニダーゼ、サーモライシンの合計40個の複合体を用いた。Zスコア最適化には、プロテインチロシンフォスファターゼ1B、ウロキナーゼ、メチル基転移酵素ErmC’、ストロメライシン(MMP-3)のそれぞれの既知リガンドとの複合体と、市販のdrug-likeな化合物から多様性を考慮して抽出した1000化合物をドッキングした結果を用いた。既知リガンドとしては、高い活性を持つ阻害剤に加えて、NMR又はX-線結晶解析によって同定された弱い活性を持つフラグメントも用いた。スコア関数形ドッキングスコアには、ファン・デル・ワールス項、水素結合項、簡略化したGB/SA項、回転結合数を含む関数形を用いた。水素結合項には、一般的な強い水素結合の他に、ハロゲンやπ電子が関わる弱い水素結合も含め、水素結合距離は文献3に記載された実験データから決めた。各項の係数と、各水素結合ドナー・アクセプタの強さをパラメータ最適化の変数とした。3.結果及び考察パラメータ最適化図3に、パラメータ最適化の結果を示す。A,Bは、40個の既知複合体データを用いて、最小二乗法でスコア活性相関だけを最適化したもので、相関係数0.97の高い相関が得られた(図3A)。しかし、データベース化合物と活性化合物との分離は悪かった(図3B)。特に、比較的小さい分子について、False-Positiveが多数現れている。これに対してC,Dは、ラグランジュの未定乗数法を用いて、スコア-活性相関とZ-スコアの両方を最適化した結果を示している。相関は悪くなっているが、データベース化合物と活性化合物との分離は大幅に改善されている。検証特異性スコアを用いて、ドッキングによるフラグメント選択の検証を行った。図4に、Abbott社のグループがNMRによって同定したFKBP12に結合するフラグメント4と、市販化合物デー図3パラメータ最適化+:スコア-活性相関の最適化に使用した化合物。△:Zスコア最適化に使用した活性化合物。・:Zスコア最適化に使用したデータベース化合物。A,B:活性値に対して最小二乗法でフィッティングした結果。C,D:ラグランジュの未定乗数法でスコア活性相関とZスコアを最適化した結果。タベースから抽出したフラグメント1000個を同一条件でFKBP12の結晶構造に対してドッキングした場合の、活性フラグメントのスコアによる順位を示した。DOCK4ではいずれのフラグメントも下位にランクされたのに対して、今回開発した特異性スコアでは上位にランクされた。この方法の利点として、以下のような点が挙げ図4FKBP12に対すられる。る活性化合物の、デ・分子量が小さく最適化の余地があるLead-likeータベース化合物中な化合物や、フラグメントの探索に適している。での順位文献4中・活性値に対してだけフィッティングする従来のフラグメントと、の手法に比べて、活性化合物と不活性化合物の市販化合物データベ分離というバーチャルスクリーニングの目的ースから抽出した分に即した関数となり、False-Positiveが減少する。子量250以下のフラ・誤差を含む活性データに対して過度にフィッグメントを用いた。ティングすることが避けられる。最後に本ニュースレターへの執筆の機会を与えてくださいました編集委員の皆様に感謝いたします。4.参考文献[1]D.A.Erlanson,etal.J.Med.Chem.47:3463-3482(2004),D.C.Ress,etal.Nat.Rev.Drug.Discov.3:660-672(2004)[2]P.R.Andrews,etal.J.Med.Chem.27:1648-1657(1984)[3]G.C.Pimentel,A.L.McClellan“TheHydrogenBond”(1960),G.R.Desiraju,T.Steiner“TheWeakHydrogenBond”(1999)[4]S.B.Shuker,etal.,Science274:1531-1534(1996)/////CuttingEdge/////HERG阻害作用に関する構造活性相関解析日本新薬吉田勝己、丹羽朋子1.はじめに近年、薬物の開発において、QT延長作用を有するために、その開発が中止されたり、市場から撤退されたりといったケースがしばしば見受けられる。薬物のHERGチャネル電流(IKr)の阻害作用は、そのQT延長作用の要因のひとつとして考えられており、その阻害作用をあらかじめ評価することができれば、薬物開発における効率化が期待できる。そこで今回、文献記載の化合物のHERG電流阻害作用情報を収集し、化学構造式に基づく各種記述子と重回帰分析の手法を用いて、阻害に関与する構造因子を求めた。解析に際しては、実際の合成展開に生かせるように、シンプルで理解し易い相関式を得るように留意した。2.方法2-1.データセット文献からHERG電流阻害作用を有する化合物情報の収集を行った。HERG電流阻害活性の測定には、種々の細胞が用いられるが、活性差を考慮して哺乳類由来のCHO細胞及びHEK細胞を用いて測定した結果のみを使用することとした。最終的に、多種多様な構造からなる104化合物のIC50値を33文献から選択した。OOOOONSONOFOONNNNHONNNNNOSFOOMIZOLASTINEGREPAFLOXACINSPIRONOLACTONETAMSULOSINFNOSNONNONNOClNOBMCL131829-11BMCL131829-16OFDESMETHYLOLANZAPINETERFENADINEOLEANDOMYCINNHONONNNNOHFFOFONNOPIMOZIDEQUINIDINERISPERIDONENSNONClOFONNOOONCHLORPROMAZINEFEXOFENADINEDROPERIDOLDESMETHYLASTEMIZOLE図1.トレーニングセット化合物(抜粋)2-2.解析まず104化合物を、構造多様性を考慮しながら、84化合物のトレーニングセットと20化合物のテストセットに分類した。各化合物は、脱塩処理を行った後、構造記述子の計算を行った。記述子は、ClogPTM(BioByte社)によるclogP、SmilesToolkitTM(Daylight社)によるTPSA、及びMOETM(CCG社)で計算可能なものを使用した。また、計算の簡便化のため、2D構造のみで計算可能な記述子のみを使用した。パラメータ解析には、MOETMを使用し、記述子の選択には、遺伝アルゴリズムを用いた。HERGチャネルのモデリングは、Fernandezらの方法[1]に従って行った。3.結果及び考察84化合物のトレーニングセットを用いてQSAR解析を行い、式(1)を得た。pIC50(M)=2.673(±0.831)+0.230(±0.117)*clogP+0.023(±0.022)*PEOE_VSA-4+0.218(±0.066)*diameter-0.015(±0.006)*TPSA(1)(N=84,R=0.804,RMSE=0.835,F=36.1)記述子定義clogPオクタノール/水分配係数の計算値PEOE_VSA-4-0.25<partialcharge[2]≦-0.20の原子の表面積の和diameter最も離れている原子間の結合数(最長パス)TPSATopologicalPolarSurfaceArea表1.解析に用いた記述子得られた式(1)より、HERG電流阻害作用と各記述子との相関について考察を行った。clogPは、化合物の脂溶性が高いほど活性が上がることを表しているが、これは、HERGチャネルのリガンド結合部位における疎水的環境及び細胞膜透過性を反映していると考えられる。PEOE-VSA-4は、図2に示すような水素結合受容性の原子の存在を示唆するものであり、このような水素結合受容性の官能基があると阻害活性が上昇することを表している。FNNOONOSNH2NNN図2.PEOE-VSA-4に対応する原子(太字)また、diameterは、分子の形状に関する記述子であり、長い形状をもつものほど、活性が高くなることを示している。TPSAは、その値が大きくなるほど活性が弱くなるが、細胞膜透過性の減少等に関与していることが示唆される。次に、得られた式(1)を用いて、テストセット20化合物の評価を行い、実測値と予測値の相関について、図3に示すような結果を得た。SARNewsNo.8(Mar.2005)図3.テストセットの実測値-予測値のプロット図(R=0.824,RMSE=0.865)図4.テストセット化合物-17-次に、実験条件を考慮し、CHO細胞で測定された化合物に対しては1、HEK細胞で測定された化合物に0を与える偽変数(Cell)を用いて再解析し、式(2)を得た。式(2)より、HEK細胞と比較して、CHO細胞ではHERG電流阻害活性が弱くなることが分かった。pIC50(M)=3.147(±0.761)+0.208(±0.104)*clogP+0.029(±0.019)*PEOE_VSA-4+0.240(±0.059)*diameter-0.019(±0.006)*TPSA-0.873(±0.361)*Cell(2)(N=84,R=0.853,RMSE=0.733,F=41.6)最後に、ホモロジーモデリングで構築したHERGチャネル構造を用いて、式(1)、(2)で有意であった記述子と結合に関与するアミノ酸の性質との関係を検討した。その結果、1)疎水性アミノ酸(Tyr652、Phe656等)は、ClogPとTPSAに、2)水素結合性アミノ酸(Ser624、Tyr652等)は、PEOE_VSA-4に、3)結合部位の大きさは、diameterに反映されていることが示唆された。図5.HERGチャネルのモデル構造。左:ミューテーション実験が報告されているアミノ酸[3]、右:結合に関与すると考えられるアミノ酸以上、多様性のある化合物群に対し、比較的シンプルな構造記述子を用いて、HERG電流阻害活性に関する良好な相関式を得ることができた。得られた式については、シンプルで理解し易い式であるため、VirtualScreeningのみならず、阻害作用回避のための合成展開の検討にも、有効利用が可能であると考えられる。4.参考文献[1]Fernandez,D.,Ghanta,A.,Kauffman,G.W.,Sanguinetti,M.C.PhysicochemicalFeaturesoftheHERGChannelDrugBindingSite.J.Biol.Chem.2004,279,10120-7.[2]Gasteiger,J.;Marsili,M.IterativePartialEqualizationofOrbitalElectronegativity-ARapidAccesstoAtomicChargesTetrahedron36,1980,3219-3228.[3]Recanatini,M.;Poluzzi,E.;Masetti,M.;Cavalli,A.;DePonti,F.QTProlongationthroughHergK(+)ChannelBlockade:CurrentKnowledgeandStrategiesfortheEarlyPredictionDuringDrugDevelopment.Med.Res.Rev.2005,25,133-66./////Activities/////第32回構造活性相関シンポジウム実施報告第32回構造活性相関シンポジウム実行委員リバース・プロテオミクス研究所田中明人第32回構造活性相関シンポジウムは、日本薬学会構造活性相関部会の主催、日本化学会、日本分析化学会、日本農芸化学会、日本農薬学会の共催で、平成16年11月30日(火)、12月1日(水)の2日間、つくば国際会議場を会場に開催されました。本年度シンポジウムでは特別講演2件と、口頭発表(17件)とポスター発表(22件)合わせて39件の一般講演が行われ、活発な議論が交わされました。第1日目および第2日目午前に一般講演が行われ、第2日目午後には会場をポスター会場に移しポスター・セッションが行われました。また特別講演は第1日目の午後にそれぞれ情報化学討論会と合同で開催され、2時間にわたって熱心な議論が交わされました。大阪大学産業科学研究所の鷲尾隆先生による特別講演「データマイニング-その発展と今後の展望-」では、データマイニングに関する幅広い話題から最近の動静および今後の展望について、わかりやすくご講演頂きました。また、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻/(独)産業技術総合研究所ジーンファンクション研究センターの多比良和誠先生による特別講演「siRNAやmiRNAに基づく創薬」では、ここ数年のホットスポットであるsiRNAやmiRNAについて分かりやすく近近のデータを含め紹介され、本手法に基づく新規な疾病治療薬開発の可能性が示されました。本年が1964年に藤田稔夫先生がHansch教授と共にJournaloftheAmericanChemicalSociety誌に定量的構造活性相関に関する記念すべき論文(C.Hansch,T.Fujita,J.Am.Chem.Soc.,86,1616(1964))を発表されてから満40周年にあたることから、幹事一同の発案により1日目の午後に藤田先生の功績を記念した記念式典が開催されました。第31回シンポジウムより導入されました、優秀なポスター発表に対する「ポスター賞」では構造活性相関部会の常任幹事による投票の結果、次の2演題が第2回の受賞者に選ばれました。KP15HERG阻害作用に関する構造活性相関解析(日本新薬)吉田勝己、丹羽朋子KP20「特異性スコア」とフラグメントに基づくバーチャルスクリーニング(ファルマデザイン)高橋理、古谷利夫ポスター賞受賞講演については、SARNewsの本号に内容をご紹介頂いております。以上のとおり、併催した第27回情報化学討論会とあわせて約300名の参加者を得て、盛会のうちに無事終えることができました。次回は大阪大学の藤原英明先生のお世話で、大阪での開催が決定しています。最後に、本シンポジウムの開催に当たり、多数のご助言・ご助力を頂きました日本薬学会の関係各位に深くお礼を申し上げます。/////Activities/////「EuroQSAR2004」報告日本臓器製薬(株)生物活性科学研究所小谷孝行9月5日から10日まで、アンカラ大学EsinAKI.ENER先生の主催により、イスタンブール(トルコ)においてEuroQSAR2004(The15thEuropeanSymposiumonQuantitativeStructure-ActivityRelationships&MolecularModeling)が開催されました。筆者はこの学会に参加する機会を得ましたので、その報告をさせていただきます。この学会にはヨーロッパをはじめとして43カ国、457名の参加があり、8題の招待講演、30題の口頭発表、267題のポスター発表が行われ白熱した議論が交わされました。新しいQSAR手法の紹介から実際の応用まで、幅広い分野の発表が行われていました。日本からは藤田稔夫先生をはじめ、9名が参加しました。イスタンブールでは一昨年のテロ以来、非常に厳重な警備がなされており、街中のいたるところで警察が銃を装備して巡回していました。学会会場へも2度の金属探知機と手荷物の検査の後に入ることができるほどでした。今回の学会は、QSARの最初の論文がJ.Am.Chem.Soc.に掲載された1964年から数えて40周年記念の年に当たり、論文の著者であり、長年にわたってQSARの発展に寄与してこられたCorwinHansch先生と藤田稔夫先生が表彰を受けられました。下の写真は日本からの参加者で、藤田先生のお祝いの会を行ったときの様子です。また、Hansch先生により、40年間のQSAR発展の軌跡について講演があり、学会参加者は改めてQSARの歴史の古さを痛感しているようでした。以下にEuroQSARからのいくつかの演題の内容を紹介します。ValidationandproductivityofQSARmodels(HugoKubinyi,UniversityofHeidelberg)QSARを行う上で、重回帰分析は物理化学的パラメータやトポロジカルパラメータなどと活性値との相関解析に最もよく用いられる手法の一つである。この手法を用いた計算結果を解析する場合には、チャンスコリレーションを避け、意味のある解析式を作成することが重要となる。すなわち・よい統計モデルを得ること・高いq2となるモデルを得ること・従属変数と独立変数を入れ替えて統計解析を行ってみることが重要となる。さらに、外れ値にも注意を払う必要がある。この外れ値が意味する事柄を注意深く観察する必要がある。たとえば、外れ値がテストセットにのみ存在する場合にはr2、q2は高い値となっても、r2predは低い値となる。一方で、トレーニングセットにのみ外れ値が存在する場合にはr2、q2は低い値となるがr2predは高い値となる。このため、r2、q2、r2predを見比べて解析式の評価を行うことが大切である。MOLECULARFIELDTOPOLOGYANALYSIS(MFTA)ANDMOLECULARMODELING:COMPARISONANDCOMPLIMENTARILY(EugeneV.Radchenkoetal,MoscowStateUniversity)分子フィールドトポロジー解析(MFTA)は分子をトポロジー的に重ねあわせて構造活性相関解析を行う手法であり、分子の部分構造に注目し、物理化学的パラメータと生物活性との相関を解析する。演者らはMFTA法と通常良く用いられている3DQSAR手法とを比較し、自由度の高い分子での比較を行っていた。トポロジー解析を行うため、基本骨格が似通った化合物の解析しか応用できないが、分子のコンフォメーションを解析に含まないため、自由度の高い化合物のQSAR解析に威力を発揮する。ポスターでは抗AIDS薬である逆転写酵素阻害剤とプロテアーゼ阻害剤のQSAR解析結果が示されており、高いr2、q2が得られていた。TMFA解析では分子をどのように重ね合わせるかに研究者の主観が入り、異なった骨格を持つ化合物群の解析には応用できないという欠点を有しているが、TMFA解析で得られた結果は従来の3DQSARと相補的に利用することにより、より効率的に分子設計が可能になると期待できる。EVALUATIONOFDIFFERENTCOMPUTERPROGRAMSFORPREDICTIONOFMOLECULARLIPOPHILICITY(AnaMornaretal,UniversityofZagreb)分子の疎水性(logP)は薬物の吸収や輸送に関連した物理化学的なパラメータであるが、実測に時間がかかり困難なことも多いため、通常、計算により算出する手法が用いられる。LogPの算出方法には多くのソフトウェアが市販され、またインターネット上で公開されているものが利用できる。これまでにもソフトウェアの比較も行われているが、演者らは物理化学的および薬学的に異なる300化合物を選択し、ソフトウェアの比較を行った。また、ソフトウェア間の結果の相関も調べた。この結果、KowWinが実測値と最も良い相関を示したが、高い疎水性を示す化合物群ではCLOGPの方が良い結果を示した。疎水性計算方法の違いからそれぞれのソフトウェア間の相関にはかなりのばらつきがあったが、KowWin、CLOGP、ALOGPs間では高い相関が見られた。今後、より疎水性の高い化合物や低い化合物での検討が必要であろう。一般にはCLOGP、ALOGPsが良く使われており、今回の計算結果でも、これらのソフトウェアの利用が好ましいことが再確認できた。ほんの一部の演題内容しかご紹介できませんが、皆様のお役に立てれば幸いです。学会でお世話になりました諸先生方に感謝しつつ、参加報告とさせていただきます。/////Activities/////<会告>構造活性フォーラム2005「脳科学研究と創薬の接点をみる」構造活性相関および薬学に関連する最新の先端的話題として脳科学研究および関連領域を取り上げ、創薬戦略の新展開につながる接点を見つけるべく、この分野の最前線で活躍されている演者の方々を囲み、講演を聞くと共に総合討論を行うことを企画しました。この分野では生体イメージングのように今までなじみの薄かった方法論が新たに注目されています。創薬の初心者から熟練者まで、また創薬以外の分野でくすりと生体に興味をお持ちの方々を対象に、入門的な事項から最前線の話題までを幅広くご紹介いただく予定です。薬物動態・生体イメージング・治療薬開発に焦点を絞り、初心者にも分かり易いコースとして設定されておりますので、医薬・農薬に限らず、広い分野でこの新しいテーマに興味を持っておられる方々の参加をお待ちしております。主催:日本薬学会構造活性相関部会協賛:日本化学会、日本農芸化学会、有機合成化学協会、日本分析化学会、日本農薬学会、日本薬物動態学会、近畿化学協会、CombinatorialChemistry研究会日時:平成17年6月28日(火)10:30.17:45会場:千里阪急ホテル[豊中市新千里東町2-1-D1(TEL:06-6832-2211)]交通:地下鉄御堂筋線(北大阪急行)・大阪モノレール「千里中央駅」下車すぐ。新大阪・大阪空港駅からいずれも13分。(http://www.senri-htl.co.jp)午前(10:30-12:35)1)「創薬の効率化と薬物動態シミュレーション」(京大院薬・山下富義)2)「高磁場MRIで見るヒト脳の形態、機能、代謝」(国立環境研・三森文行)午後(13:50-17:45)3)「PETで探るくすりと受容体との相互作用」(阪大院医・井上修)4)「PETによる脳局所アセチルコリンエステラーゼ活性の定量測定.方法論と臨床応用.」(放医研・入江俊章)5)「アルツハイマー病治療薬開発の現状と展望」(京大院薬・杉本八郎)6)総合討論講習会終了後、講師を囲んで簡単なミキサーを開催します(18:00-無料)。参加費:一般=6,000円、学生=3,000円申込締切:平成17年5月31日(金)(必着、定員80名)申込方法:氏名、所属、連絡先(住所、電話・FAX番号、電子メール)を明記の上、電子メール、FAX、または郵便にてお申し込み下さい。参加費は銀行振込(三井住友銀行南千里支店、普通預金、口座名:構造活性フォーラム代表藤原英明、口座番号:0984866)または郵便振替(口座名:構造活性フォーラム、口座番号:00940-5-259936、通信欄に参加者氏名、所属を記入)にて事前にお振込下さい。申込先・問合せ先:〒565-0871吹田市山田丘1-7大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻医用物理工学講座藤原英明TEL/FAX:06-6879-2573sar-pharm@sahs.med.osaka-u.ac.jphttp://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html実行委員:井上修、藤原英明/////Activities/////<会告>第33回構造活性相関シンポジウム日時平成17年11月16日(水)・17日(木)会場大阪大学コンベンションセンター(吹田市山田丘1-1)http://www.osaka-u.ac.jp/jp/about/map/suita.html交通阪急電車千里線北千里駅(終点)から東へ徒歩約20分大阪モノレール彩都線阪大病院前駅下車地下鉄・北大阪急行線千里中央駅(終点)から阪急バス「阪大本部前」または「茨木美穂ケ丘」行で約30分、「阪大本部前」下車JR東海道本線茨木駅下車近鉄バス「阪大本部前」行で約20分「阪大本部前」下車大阪(伊丹)空港大阪モノレール彩都線(上記)主催日本薬学会構造活性相関部会共催日本化学会,日本農芸化学会,日本分析化学会,日本農薬学会、大阪大学医学系研究科討論主題①QSAR基本パラメータ・手法、②QSARへの情報数理的アプローチ、③分子モデリング、④医農薬等への応用、⑤吸収・分布・代謝・毒性・環境毒性とQSAR、⑥生理活性物質の活性評価、⑦バイオインフォマティクス、⑧コンビナトリアルケミストリーと創薬、⑨分子情報処理(データベースを含む)、⑩その他発表形式口頭(講演25分(A)または15分(B)、討論5分を含む)、またはポスター(優秀な発表にはポスター賞授与)。特別講演「統合失調症の分子機序」(阪大院医・遠山正彌)発表申込7月15日(金)締切必着、E-mailにより受付。演題・発表者名(講演者に○)・200字程度の概要・講演ABポスターの別、上記討論主題番号、連絡先住所氏名を明記。発表者は部会員に限ります。未入会の方は入会をご了承下さい(会費無料)。講演要旨9月22日(木)A4版用紙を使用し、本文(和文または英文)は2または4頁。要旨要約は英文半頁。執筆要項はURLに掲載します。参加登録予約申込締切10月28日(金)必着。氏名、所属、連絡先(住所、電話・FAX番号、電子メール)を明記の上、電子メール、FAX、または郵便にてお申し込み下さい。参加費は銀行振込(三井住友銀行南千里支店、普通預金、口座名:構造活性相関シンポジウム代表藤原英明、口座番号:0984854)または郵便振替(口座名:構造活性相関シンポジウム、口座番号:00940-2-278412、通信欄に参加者氏名、所属を記入)にて事前にお振込下さい。参加登録費[一般]予約8000円、当日9000円[学生]予約3000円、当日4000円本シンポジウムの参加登録者は情報化学討論会にも参加できます(含要旨集)。要旨集前送希望の場合は郵送料1000円を別途申し受けます。費用振込み後、参加取り消しによる返金には応じられません。懇親会(情報化学討論会と合同):11月16日(水)18:30-場所:千里阪急ホテル[一般]予約6000円、当日8000円[学生]予約3000円、当日4000円連絡先〒565-0871吹田市山田丘1-7大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻医用物理工学講座藤原英明TEL/FAX06-6879-2573叉は2577E-mailsar@sahs.med.osaka-u.ac.jpURLhttp://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html/////Activities/////<会告>第7回薬物の分子設計と開発に関する日中合同シンポジウム本シンポジウムは日本薬学会医薬化学部会の主催ですが、当部会が開催協力することで鋭意準備を進めております。概要は下記の通りですので、会員の方々には奮ってご参加を御願いします。会期平成17年9月22日(木)~25日(日)会場杭州、Hangzhou(中国浙江省)日本側連絡先大阪大学大学院医学系研究科藤原英明〒565-0871吹田市山田丘1-7TEL/FAX:06-6879-2573e-mail:fujiwara@sahs.med.osaka-u.ac.jpなお、詳細は確定しだい当部会URL(下記)に掲載します。http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html編集後記SARNewsの第8号をお届けいたします。前号から、未来への展望を指向した総説的な「Perspective/Retrospective」、最新の研究事例紹介の「CuttingEdge」、構造活性相関部会の主催行事や関連分野の活動を紹介する「Activities」の三本立てになり、その2号目になります。「Perspective/Retrospective」では、今年4月から京都大学化学研究所を兼任される上杉先生(ベイラー医科大)に、ケミカルゲノミクスの展望を語って頂きました。「CuttingEdge」では、大日本製薬の冨永先生にキナーゼ-阻害剤の結合自由エネルギーの推定に関する研究をご紹介頂くとともに、昨年の第32回構造活性相関シンポジウムでポスター賞に輝いた2演題についてご紹介頂きました。きたる6月28日には構造活性フォーラム2005「脳科学研究と創薬の接点をみる」が、大阪大学・藤原先生のお世話で大阪・千里で開催されます。部会員の皆様のご参加をどうぞよろしくお願いいたします。編集委員一同、引き続き本誌の充実に努めて行きたいと考えております。皆様のご意見をお聞かせ頂けると幸いです。あわせて今後ともご協力・ご支援をお願いする次第です。(編集委員会)SARNewsNo.8平成17年3月31日発行:構造活性相関部会(常任世話人代表:藤原英明)SARNews編集委員会(委員長)清水良石黒正路黒木保久高橋由雅福島千晶藤原巌山上知佐子*本誌の全ての記事、図表等の無断複写・転載を禁じます。