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SARNews No.12

SARNews_12

構造活性相関部会・ニュースレター<1April2007>SARNewsNo.12「目次」/////Perspective/Retrospective/////無細胞蛋白質合成系のNMR解析への応用松原-良峰景子、河野俊之・・・2/////CuttingEdge/////等級活性予測を指向したComparativeMolecularFieldAnalysis大軽貴典、清水良、岡本晃典、川瀬雅也、白國優子、錦織理華、高木達也・・・7リガンド結合部位に存在する水分子との競合を考慮した3D-QSAR解析横田彰宏・・・11/////Activities/////<報告>第34回構造活性相関シンポジウム報告石黒正路、米田照代・・・16「2006秋期アメリカ化学会国際会議」参加報告合田浩明・・・17“第16回国際エクダイソンワークショップ”に参加して原田俊幸・・・19構造活性相関部会SARPromotionAward募集要項・・・21<会告>構造活性フォーラム2007「分子間相互作用の基礎、解析、応用研究」・・・22第35回構造活性相関シンポジウム・・・23部会役員人事・・・24/////Perspective/Retrospective/////無細胞蛋白質合成系のNMR解析への応用三菱化学生命科学研究所松原-良峰景子、河野俊之1.はじめに近年、創薬候補化合物の導出方法として、創薬ターゲット蛋白質の3次元構造情報を基礎とした分子設計(SBDD、Structure-BasedDrugDesign)が、HTSに加えて多くの製薬企業で実施されている。SBDDにおいては、創薬ターゲット蛋白質と化合物との複合体の3次元構造情報を迅速に獲得して分子設計に応用することが重要であり、この構造情報を得るために、一般にX線結晶構造解解析及びNMR法が用いられている。特にNMR法は、溶液中で弱い相互作用しか持たないリガンドに対しても相互作用部位情報を検出することが可能であることから注目されるようになった。中でも2次元NMR(HSQCスペクトルなど)を用いた複合体解析は、創薬ターゲット蛋白質と薬物候補化合物の相互作用部位情報を短時間に多種得られるという利点がある。この2次元NMR測定を有効に進めるためには、機能を保持した可溶性の高い創薬ターゲット蛋白質を大量に安定同位体標識して調製すること、また、NMR解析方法を迅速かつ確実に行うことが課題とされてきた。そこでここでは、JSP1(JNKStimulatoryPhosphatase1)のリガンド結合部位の同定を例に、これらの課題を解決していく手段の一つとして無細胞蛋白質合成系を利用する技術を紹介したい。2.NMRによる蛋白質-リガンド結合解析NMRによる蛋白質-リガンド結合解析の方法には大きく分けて、リガンドのNMRスペクトルを測定して相互作用を検出する1次元NMR法(1)と、蛋白質のNMRスペクトルを測定して相互作用を検出する2次元NMR法(2)がある。SBDDに有効な情報となる創薬ターゲット蛋白質側のリガンド相互作用部位情報を獲得するためには、2次元NMR法を利用することになる。この解析には13C、15Nなどの安定同位体標識を施した蛋白質を、リガンドと結合する機能を保持しつつ高濃度で安定な状態で調製する必要があり、蛋白質調製方法について技術開発が行われている。3.2次元NMRに用いる安定同位体標識蛋白質の調製安定同位体標識された蛋白質の調製には、生細胞発現系を用いる方法と無細胞蛋白質合成系を用いる方法とがあり、それぞれ次のような特徴がある。(1)生細胞発現系全てのアミノ酸を標識する場合は、大腸菌発現系、BHK細胞発現系、マウスハイブリドーマ細胞系などで安定同位体標識された栄養源(13C-Glucose、15N-NH4Clなど)を含む貧培地で細胞を培養することにより標識蛋白質の発現を行う。20種のアミノ酸のうち特定の種類のアミノ酸を標識する場合には、標識栄養源を含まない培地に安定同位体標識されたアミノ酸を添加して細胞を培養する。ただし、多くのアミノ酸は細胞内で代謝が起こり他のアミノ酸に置き換わるので、注意が必要である。また、細胞内で合成される全ての蛋白質が標識されるため、NMR測定用試料の調製には高度精製が必要である。培養には貧培地を使用するため蛋白質の発現量が低下するケースが多いが、大腸菌発現系では発現量を確保する技術が開発され、高発現が期待される培地が市販されている。(2)無細胞蛋白質合成系無細胞蛋白質合成系とは、蛋白質合成に必要なリボソームなどの分子群を含む細胞抽出液に蛋白質をコードする鋳型遺伝子(mRNA)を混合し、ATPなどのエネルギー源と共に反応させることにより目的蛋白質を合成するシステムである(図1)。大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、昆虫細胞などの抽出液が無細胞蛋白質合成用として市販されている。本合成系では蛋白質合成の基質として安定同位体標識アミノ酸を使用することによりmRNAに対応する蛋白質を特異的に標識できるため、高度な蛋白質精製が不要なことが特徴である(3,4)。細胞培養、抽出操作も必要ないため、1~2週間で安定同位体標識された目的蛋白質を得ることができる。また、特定の安定同位体標識アミノ酸を添加することにより20種アミノ酸のうちいずれのアミノ酸も特異的に標識することが可能であり(5,6)、NMRによる3次元構造解析にも利用されている(7)。更に、PCR法を用いて増幅した鋳型DNAからmRNA調製を行うことにより、発現ベクターの作製なしにスループット性高く蛋白質合成することが可能であり、百種類以上の蛋白質の鋳型作製から粗精製までを同時に3~4日で行うことができる(8)。その他、細胞毒性を持つ蛋白質の合成が可能という利点もある。特に小麦胚芽抽出液を用いた無細胞蛋白質合成系では、内在性プロテアーゼによる消化が殆どなく、目的遺伝子がコードする蛋白質の全長が得られることが多い。4.無細胞蛋白質合成系の利用NMRによるリガンド結合部位解析を迅速に行う目的で機能を保持した高濃度の創薬ターゲット蛋白質を効率よく獲得するために、無細胞蛋白質合成系を活用した解析フローを図2に示す。まず、無細胞蛋白質合成系を用いたハイスループット可溶性ドメイン検索により数日間で性状のよい配列を選択する。次に、無細胞蛋白質合成系により効率よく特定アミノ酸安定同位体の標識蛋白質を調製して、複雑なHSQCスペクトルの帰属解析をスムーズに行うことができる。5.無細胞蛋白質合成系を利用したハイスループット可溶性機能ドメイン検索ターゲット蛋白質の良好なNMRスペクトルを得るためには、良好なフォールディングを持つ蛋白質を高濃度に調製することが基本となる。通常の創薬ターゲット蛋白質は30kDa以上と分子量が大きいため、本来の機能を持つ全長蛋白質からNMR測定に適した機能ドメインを含む部分配列を選択する手法が汎用されている。溶解性を向上させるために部位特異的変異を加える場合もある。また、溶解性や合成量の向上、粗精製の効率化などの目的で精製タグを付加した融合蛋白質を合成する手法も一般的である。上記の部分配列または変異導入配列と精製タグを組み合わせた数十~百種以上の配列を無細胞蛋白質合成系を利用して数日間で並列合成し、必要に応じて精製タグによるアフィニティー精製や、精製タグの切断を行って可溶性合成量と機能の評価を行い、NMRに適したフォールディングの良好な配列を選択する(図3)。精製タグJSP1配列1-1401-1461-1631-1691-1741-184NGSThisndnd++++++++++Nhisndnd++++++++Ntrxhisndnd++++Chisndnd++++++++++GST:Glutathione-S-Transferase,Trx:Thioredoxinタグ切断JSP-1の回収量は、nd:検出不可、+:50ng/mL以下、++:50-100ng/mL、+++:100ng/mL以上。比活性は、:全長(1-184)以上、:全長と同等、:全長以下図4JSP1の可溶性ドメイン検索高可溶性が期待された配列及び全長配列と各精製タグとの融合蛋白質を小麦胚芽無細胞系にて合成した。アフィニティー精製タグ切断蛋白質のSDS-PAGEのバンドの濃さから回収量を算出し、それぞれの比活性を測定した。5種のトランケート体配列と4種の精製タグの結果を示す。精製回収量と比活性の高いNhisタグ付加1-163ドメインを選択し、大量調製を行って新規結晶構造を取得した。この可溶性機能ドメイン検索によりJSP1において高可溶性回収率で機能を保持したトランケート体を獲得した例を示す。JSP1は、ヒトにおいてJNKシグナルカスケードを制御する主要な脱リン酸化酵素の一種であり、基質となる蛋白質に存在するリン酸化チロシン残基及びリン酸化セリン残基を特異的に脱リン酸化する酵素群に属している。ホモロジーモデリングによりJSP1の立体構造を取得し、疎水性表面積の解析や類縁蛋白質構造との重ね合わせ、二次構造の境界の解析などから溶解性が高いと思われるトランケート体の配列13種を選定した。次に、これらのトランケート体に11種の精製用タグを融合させた蛋白質を無細胞系で並列に合成し、アフィニティー精製及びタグ切断を行って、合成量、精製効率、溶解性、脱リン酸化活性を解析した。その結果、NGSThis、Nhis、Chis付加1-163等でタグ切断JSP1が高回収され、NGSThis、Nhis、Ntrxhis付加1-163、及びNGSThis付加1-169、1-174で高い比活性が得られた(図4)。これらの結果を総合して最もNMR測定に適すると考えられる配列Nhis融合JSP1(1-163)を選択し、結晶構造解析及びNMR解析に用いることとした。従来の生細胞を用いた可溶性配列検索では、多種の遺伝子ベクターを作製して発現解析を行うのに1~数ヶ月を要したが、本方法では1~2週間程度で配列選択を行うことができた。選択したトランケート体JSP1(1-163)について、結晶構造解析により新規3次元構造を獲得し(9)、次のリガンド結合解析に活用した。6.無細胞蛋白質合成系を利用した安定同位体標識蛋白質の合成とHSQCスペクトル解析小麦胚芽無細胞蛋白質合成系を用いた特定アミノ酸の標識では、アミノ酸代謝酵素阻害剤を添加することによりアミノ酸選択性が向上し、20種いずれのアミノ酸についても高効率で標識することができるようになって、細胞発現系や大腸菌無細胞蛋白質合成系に比べて優位性が見出された(5)。また、蛋白質合成反応に添加する標識アミノ酸濃度の最適化をMSスペクトル測定による標識率評価で判定して、従来より少量の標識アミノ酸で標識蛋白質を調製する条件を設定できる。この条件では大腸菌発現系と比較して低コストで標識蛋白質調製を行える場合もある。リガンド結合解析に用いるHSQCスペクトルのアミノ酸帰属においては、無細胞蛋白質合成系で調製した20種類のアミノ酸標識蛋白質の2次元NMRスペクトル4種(HN(CA)、HN(CO)、H(NCO)CA、H(N)CA)を組み合わせてアミノ酸シークエンシャルに解析する方法が開発された。本方法により、3次元スペクトルで解析する従来法に比較して、低濃度の蛋白質で1~2ヶ月という短期間で蛋白質調製からHSQC帰属解析までを完了することが可能となった。分子量50kDa以上の蛋白質についても迅速なスペクトル帰属が確認されている(MAGICAL法、10)。可溶性機能ドメイン検索で得られた分子量約18kDaのJSP1(1-163)トランケート体について、MAGICAL法をリガンド結合解析へ応用した例を示す。20種の特定アミノ酸標識JSP1(1-163)を小麦胚芽無細胞系で合成し、アフィニティー精製を行った後に濃縮及びNMRバッファー置換を行い、蛋白質濃度100-200μMに調製した。500MHzNMRを使用して4種の2次元スペクトルを測定し、MAGICAL法によりHSQCスペクトルの全アミノ酸の帰属を約1ヶ月で完了した。一方、15N標識JSP1(1-163)と合成基質であるpNPPとの複合体のHSQCスペクトルを測定し、帰属されたスペクトルと比較してケミカルシフトに変化が見られたアミノ酸を検出することにより、リガンド結合部位の解析を行った。検出されたアミノ酸を3次元結晶構造に対応づけた結果、活性中心と報告されているCys88の近傍にpNPPが結合していることが示唆された(図5)。以上のように、無細胞蛋白質合成系により標識蛋白質のNMR測定によるHSQCスペクトルのアミノ酸完全帰属及びリガンド結合解析が短期間で行えることが確認された。7.まとめNMRによるリガンド結合解析においては、まずNMR解析可能な安定同位体標識蛋白質を大量に調製することが必須であるが、実験上この段階が最も不確定な要素の一つとなっている。上記で示したように無細胞蛋白質合成系を活用することによりNMR解析に適した調製が可能な蛋白質群が広がり、解析される創薬ターゲット蛋白質の数が増大することが期待される。今後更に、NMRから得られたリガンド結合解析情報を実際にSBDDに応用する際の3次元構造情報への対応づけの方法、また、NMR以外のリガンド結合測定法であるHTS法、表面プラズモン共鳴法、質量分析法、X線結晶構造解析法などとの並行利用やそれらの詳細なデータ解析法の開発が進められ、SBDDの応用の確度がますます高くなっていくものと考えられる。8.謝辞本研究は「NEDOバイオIT融合機器開発」の助成金により行われ、記載したデータはゾイジーン株式会社に属します。蛋白質合成に関して有意義なご討論をいただいた同社杉尾成俊博士、長谷川司氏、及び蛋白質合成、NMR解析実験に携った同社飯原亜希子氏、奈良行訓氏に深謝致します。9.参考論文1.FejzoJ,LepreCA,PengJW,BemisGW,Ajay,MurckoMA,MooreJM.TheSHAPEstrategy:anNMR-basedapproachforleadgenerationindrugdiscovery.Chem.Biol.1999,6,755.2.ShukerSB,HajdukPJ,MeadowsRP,FesikSW.Discoveringhigh-affinityligandsforproteins:SARbyNMR.Science.1996,274,1531.3.GuignardL,OzawaK,PursgloveSE,OttingG,DixonNE.NMRanalysisofinvitro-synthesizedproteinswithoutpurification:ahigh-throughputapproach.FEBSLett.2002,524,159.4.MoritaEH,SawasakiT,TanakaR,EndoY,KohnoT.Awheatgermcell-freesystemisanovelwaytoscreenproteinfoldingandfunction.ProteinSci.2003,12,1216.5.MoritaEH,ShimizuM,OgasawaraT,EndoY,TanakaR,KohnoT.Anovelwayofaminoacid-specificassignmentin1H-15NHSQCspectrawithawheatgermcell-freeproteinsynthesissystem.J.Biomol.NMR.2004,30,37.6.KigawaT,MutoY,YokoyamaS.Cell-freesynthesisandaminoacid-selectivestableisotopelabelingofproteinsforNMRanalysis.J.Biomol.NMR.1995,6,129.7.KainoshoM,TorizawaT,IwashitaY,TerauchiT,MeiOnoA,GuntertP.OptimalisotopelabellingforNMRproteinstructuredeterminations.Nature.2006,440,52.8.SawasakiT,OgasawaraT,MorishitaR,EndoY.Acell-freeproteinsynthesissystemforhigh-throughputproteomics.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2002,99,14652.9.YokotaT,NaraY,KashimaA,MatsubaraK,MisawaS,KatoR,SugioS.Crystalstructureofhumandualspecificityphosphatase,JNKstimulatoryphosphatase-1,at1.5Aresolution.Proteins.2007,66,272.10.PCT出願WO2005/073747A1(02.02.2005)./////CuttingEdge/////等級活性予測を指向したComparativeMolecularFieldAnalysis阪大院薬1、田辺製薬(株)2、大阪大谷大薬3、阪大微生物病研4大軽貴典1,2、清水良2、岡本晃典1、川瀬雅也3、白國優子1、錦織理華3、高木達也1,41.はじめにCramerら1)により開発されたComparativeMolecularFieldAnalysis(CoMFA)は空間を多数に分割し,各格子点での立体・静電ポテンシャルを利用する.その結果,モデル作成に利用する化合物数よりも格子点数ははるかに多くなり線形重回帰はできないが,PartialLeastSquares(PLS)を用いてその問題を克服している.さらに隣接する格子点での立体・静電ポテンシャルは互いに関連しており,こうした説明変数間に共線性が認められる場合でもPLSは頑健である.そのため,CoMFAは安定して優れた予測精度を有し,数多くのデータセットに対してCoMFA解析が行われている.しかしながら,CoMFAは優れた予測精度を示すものの,そのためには精度の高い実験値をモデル作成に利用することが前提となる.残念ながら,生物活性試験の実測Ki値,IC50値などは試験方法に応じてぶれることを考慮してデータを解釈しなければならない.創薬では,5つのプロセスすなわち化合物デザイン→合成→生物活性試験→データ処理→解釈のサイクルを高いスループット(処理能力)で回すことが求められている.そのため,そこそこの精度の実験値からいかに速く確実な情報を得るかが鍵となる.このため,実験値を活性の強・中・弱といった等級で判別し,活性の強い化合物を予測することができれば,創薬サイクルを速く回し,少ないサイクル数で済ませるという用途も考えられる.われわれは,等級活性予測をするために順序ロジスティック回帰分析2,3)を選択し,CoMFAと組み合わせた(以下,LogisticCoMFAと呼ぶ).以下ではLogisticCoMFAを理論から紹介する.また,ステロイドのCorticosteroidBindingGlobulin(CBG)受容体結合活性データ4)に本手法を使って評価したのでその結果を報告する.2.理論1)順序ロジスティック回帰分析二値ロジスティック回帰分析では,注目するイベントの発生確率を計算し,0.5より大きな確率値が得られたときにそのイベントが発生するとみなす.その確率Prbは説明変数ηに対して,Prb={1+exp().1(1)η}と表せる.この関数を特にロジスティック関数という.式(1)を拡張すれば,順序ロジスティック回帰分析を行なうことができる.ここでは,等級活性を強いものから順に1,2,3の3等級からなる場合を例として示す.等級値1あるいは2をとる確率(累積確率)Prb(Class.2)は,Prb(Class.2)={1+exp(η)}.1(2)であるから,残りの等級32をとる確率Prb(Class=3)は,1.Prb(Class.2)=1.{1+exp(η2)}.1(3)と表せる.等級1をとる確率Prb(Class=1)も同様にして次式のようにロジスティック関数で表現できる.Prb(Class=1)={1exp(η1)}.1(4)よって,残りのPrb(+Class=2)は,Prb(Class=2)=Prb(Class.2).Prb(Class.1)={1+exp(η)}.{exp(111.+.η)}1(5)のように,2つのロジスティック関数で表現できる.こ2こで,η1,η2はη1=α1.β′t(6)η2=α2.β′t(7)α1.α2(8)と書き改めることができる.2)LogisticCoMFA通常のCoMFAでは,pKi値やIC50値を目的変数y,各格子点での立体・静電ポテンシャルを説明変数XとしてPLSにより潜在変数を作成する.LogisticCoMFAでは,目的変数yとして累積確率を用いる.こうして作成された潜在変数をtとして式(6),(7)に代入する.モデル式係数であるα1,α,βは最尤推定法により決定することができる.L2ogisticCoMFAのよいところは,確率から等級活性を予測するため,得られた等級活性の信頼性がわかる点である.同様のことは線形判別分析との組み合わせでも実現できる.しかし,判別分析では各グループの順位が考慮されないため,等級活性予測としては頑健な手法とはいいがたい.そもそも理想的な等級活性予測とは,ユーザーが希望する等級分類を適切に予測することである.最も注目している活性域を他の活性域よりも細かく分類した場合には,従来のPLSでは限界があることは容易に想像できる.それに対し,本法は頑健な等級活性解析を実現することができると期待される.3.LogisticCoMFAの適用例では,例としてCBGデータセットに本法を適用してみよう.[準備]1)分子モデリング点電荷としてGasteiger-Hckel電荷を割りあてた.2)立体・静電相互作用計算CoMFAでの各格子点の立体・静電ポテンシャルは,Sybylver.7.22(Tripos社)で計算した.そのとき,計算空間やカットオフ値をはじめとするパラメータはすべてデフォルト値を用いた.図1.データセット化合物と活性3)比較に用いたCoMFA従来型のCoMFAである次の3法と比較した.CoMFA1:pKi値を学習させ,pKi値を予測する.pKi予測値から等級を決定する.CoMFA2:等級値を学習させ、等級値を予測させる.CoMFA3:活性の強いものからの平均順位を学習させることで順位を予測し,予測順位から等級を決定する.[結果と考察]1)データセット検証まず,データセットのpKi値予測精度を確認するためにCoMFA1解析を試みた.図2はトレーニングセット自身を予測させ,実験値と比較した結果を示している.実験値との乖離はaldosteroneとdehydroepiandrosteroneを除いて小さく全体として実験値と予測値に一致が見られた(r=0.95).つまり,本データセットはpKi値をCoMFA解析できるほど精度の高い実験から得たものであることが確認された.pKi予測実測pKi値図2.予測pKi値と実測pKi値2)等級活性予測を指向したCoMFA解析次に,CoMFA2,CoMFA3でleave-one-outによる等級活性予測能を調べた.その結果,予測率はそれぞれ43%,62%であった(表1).また,LogisticCoMFAでは21化合物中13化合物(62%)の等級を適切に予測した.これらのモデルを使ってテストセットを予測したところ,表2に示すようにLogisticCoMFAの予測能が高かった.CoMFA3は平均順位を学習させることで,トレーニングセットでのクロスバリデーションでCoMFA2より正答率に改善が見られ,テストセットでの検証でもCoMFA2を上回る予測能を示した.表1.クロスバリデーション結果表2.LogisticCoMFAと従来法の予測能CoMFACoMFALogisticCoMFA2CoMFA3LogisticCoMFA2CoMFA3qa0.750.570.89correct635components132accuracy60%30%50%correct13913accuracy62%43%62%aCross-validatedSpearman’srankcorrelationcoefficient値今回の結果から,3手法の中ではLogisticCoMFAがトレーニング,テストセットと安定した予測精度を示した.3)等級活性予測を指向したCoMFAの検証以上のことから,LogisticCoMFAが従来手法以上の予測精度を有することがわかった.しかし,本手法を化合物デザインにさらに活かすためには,等級活性予測だけでなく,活性に重要な化合物の構造を予測できることも必要である.そこで,LogisticCoMFAから得られる等高線図を確認することにした.CoMFA1解析から得られる等高線図と並べて示す(図2).図3.LogisticCoMFAと従来のCoMFAの等高線図の比較.赤い領域は,負に荷電した置換基がある場合に活性が向上する領域.黄色い領域は,かさ高い置換基があると活性が減少する領域.(左:LogisticCoMFA,右:CoMFA1)その結果,立体・静電ポテンシャルともに活性に重要な空間が共通していることがわかった.実験精度の良くない場合はもとより,今回のような実験精度の高いデータセットの場合に対してpKi値を等級に丸めても重要な情報を損失していないことがわかる.4.まとめここでは,開発した等級活性予測を指向したCoMFA(LogisticCoMFA)を理論から紹介した.その適用例としてCBGデータセットを利用し,良好な結果を得た.また,本法はpKi値を学習させた場合と同等の結果を得られるため,等級活性予測と同時に活性に重要な構造情報を提供してくれることも確認した.これにより,今までCoMFA解析をあきらめていたデータセットに対しても,等級値さえあればCoMFA解析を実施することができ,有益な構造活性相関知見を得ることができるだろう.5.参考文献[1]R.D.Cramer,IIIetal.,J.Am.Chem.Soc.,110,5959(1988).[2]吉田元二,第12回構造活性相関シンポジウム(大阪)講演要旨集,p.251(1984).[3]田崎武信ら,第12回構造活性相関シンポジウム(大阪)講演要旨集,p.255(1984).[4]E.A.Coats,PerspectivesinDrugDiscoveryandDesign,12/13/14,199(1998);http://www2.chemie.uni-erlangen.de/services/steroids/index.html./////CuttingEdge/////リガンド結合部位に存在する水分子との競合を考慮した3D-QSAR解析京都大学大学院薬学研究科医薬品理論設計学講座横田彰宏1.はじめにタンパク質表面では、水分子がタンパク質と水素結合をし、水和構造を形成しているため、リガンドがタンパク質に『結合』するには、リガンド結合領域に存在する水分子を『排除』(=脱水和)しなければならない。従って、リガンドのタンパク質結合親和力を評価するためには、この排除エネルギーをリガンド結合時のペナルティーとして考慮すべきである。そこでタンパク質-リガンド複合体形成過程を、図1のようにリガンドとリガンド結合領域に相当する水部分のみが入れ替わるモデルで近似し、構造活性相関解析に用いることにした。今回は、3次元定量的構造活性相関(3D-QSAR)解析手法の一つであるComparativeBindingEnergy(COMBINE)法[1]と組み合わせることで、化合物デザインに役立つ構造活性相関情報を得ることを目的として、研究を行った。なお、このモデルは、リガンド結合を水との交換(SWAP)という概念でモデル化しているため、以後、本法をSWAPCOMBINIE法と呼ぶ。COMBINE解析法は、アミノ酸残基ごとに分割したタンパク質とリガンドとの相互作用エネルギーによって薬物活性を評価する。従って、化合物間の活性の差を説明するのに重要な相互作用が特定できるため、その情報は化合物デザインの指標となる。従来のCOMBINE解析法でもリガンドとタンパク質の部分脱水和エネルギーを、Poisson-Boltzmann法などの水の連続誘電体近似により計算した値を用いて考慮することがあり、活性値の再現には効果的であることが示されている[2]。しかしこの方法では、部分脱水和エネルギーを各アミノ酸残基へ分割できないため、脱水和ペナルティーの大きさとその位置関係が不明瞭で、その情報は化合物デザインの直接的な指標にはなりにくい。SWAPCOMBINE解析法は、タンパク質の周りに水分子をあらわに置き、分子動力学(MD)計算によりタンパク質の部分脱水和エネルギーを計算することから、水とタンパク質との相互作用エネルギーをアミノ酸残基ごとに分割できる点で従来の方法と異なっている。これにより、以下の3点の改善が期待される。1、タンパク質の部分脱水和エネルギーをアミノ酸残基ごとに分割することから、脱水和ペナルティーの大きさとその位置関係を明確にすることができる。2、タンパク質表面の水和構造を可視化する方法と組み合わせることで、脱水和効果を化合物デザインに活かすことができる。3、部分脱水和エネルギーを、水分子をあらわに置いた統計力学計算から求めるため、連続誘電体モデルより正しく評価できる。SWAPCOMBINE解析法は、リガンドと各アミノ酸残基との相互作用エネルギーからアミノ酸ごとの部分脱水和エネルギーを減じた相互作用エネルギーを解析に用いる。すなわち、各アミノ酸残基の寄与を、脱水和効果を含めて提示できると期待される。我々のグループではこれまでに、poly(ADP-ribose)polymerase-1(PARP-1)阻害剤に通常のCOMBINE解析法を適応し、多様な骨格を有する阻害剤に対して良好な予測能を有する回帰式を得ることに成功している[3]。そこでこの系にSWAPCOMBINE解析法を適応し、予測能、そして活性の差に重要なアミノ酸残基の変化など、SWAPCOMBINE解析法の有用性を検証した。図1リガンドと、リガンド結合領域の水(破線内部)を交換(SWAP)する概念図。2.方法2.1SWAPCOMBINE解析法COMBINE解析法は、複合体状態における、リガンドとタンパク質の各アミノ酸残基とのvanderWaals(VDW)相互作用エネルギーと、静電相互作用エネルギーを変数とし、薬物活性を評価する3D-QSAR手法である。これらの変数と薬物活性との相関を、PartialLeastSquares(PLS)回帰することによって求める。つまり、COMBINE解析法では薬物活性(今回はpIC50を利用)を(1)式にように表すことができる。pIC50=∑wiVDWuiVDW+∑wiELEuiELE+C‥‥‥(1)iiここでuiVDW、uiELEはそれぞれリガンドと各i番目のアミノ酸残基とのVDW相互作用エネルギー及び静電相互作用エネルギーである。またwiVDW、wiELEはそれぞれの相互作用エネルギーの係数、Cは定数項である。wiVDW、wiELE、CはPLS回帰によって求める。これらの係数の大きさを比較することで、どのアミノ酸残基との相互作用が活性の差に重要であるかが特定でき、その情報は新たな化合物デザインの指標となる。一方、SWAPCOMBINE解析法では、リガンド結合領域の水分子群と各アミノ酸残基との相互作用エネルギーをタンパク質の部分脱水和エネルギーと定義し、薬物活性を(2)式のように表す。pIC50=∑wiVDW(uiVDW.uiVDW(water))+∑wiELE(uiELE.uiELE(water))+C‥‥‥(2)iiuiVDW(water)、uiELE(water)はそれぞれリガンド結合領域の水分子群と、各i番目のアミノ酸残基とのVDW相互作用エネルギー、及び静電相互作用エネルギーである。これにより、どのアミノ酸残基との相互作用が重要なのかを脱水和効果を含めて提示できると期待される。2.2脱水和エネルギー計算法リガンド非結合状態での、タンパク質表面の水和構造のサンプリングをMD計算により行った。タンパク質には全原子1000kcal/(mol・A2)の拘束をかけ、120psの昇温・平衡化の後、NPTアンサンブルで100ps間のサンプリングを行い、合計1000個のスナップショットを得た。その後、構造最適化後のリガンドとの複合体構造を、スナップショットから得られた各タンパク質構造に重ね合わせ、リガンドの各原子のVDW半径内に、酸素原子が存在する水分子をリガンド結合領域の水分子と定義し、抽出した。これらの水分子群と各アミノ酸残基との相互作用エネルギーを計算し、1000個のスナップショットの平均値を求め、解析に用いた。2.3PLS回帰通常のCOMBINE解析時と同様に[3]、図2に示す40個のリガンドをトレーニングセットとして回帰式を作成し、26個のリガンドをテストセットとし活性予測を実施した。PLS回帰による回帰式の作成、活性値の予測には、COMBINEプログラムver.1.0[1]を用いた。その際、SWAPCOMBINE解析法では、競合する水分子群と各アミノ酸残基との静電相互作用エネルギーが、リガンドと各アミノ酸残基とのそれに比べて極端に大きくなるため、変数の正規化を行うこととした。この場合、相互作用エネルギーの小さな変数の影響を過大評価する可能性があったので、リガンド間によって差が小さい変数(最大の標準偏差の1%未満の変数)を解析から除いた。この前処理によって、700個の変数が139個になった。2.4水和構造の可視化得られたトラジェクトリーから、平均的な水和構造の可視化を試みた。まず、タンパク質のリガンド結合部位周辺に0.3A間隔の格子点をおき、その格子点を中心として一辺0.9Aの立方体を考えた。全トラジェクトリーのうち、この立方体内部に水分子の酸素原子が存在する割合を、酸素原子の存在確率とした。同様に水素原子もカウントし、存在確率に応じてそれぞれの原子に対応する格子点を表示することで水和構造の可視化を行った。図2解析に用いた化合物の代表的な母核構造。()内はその母核を持つ誘導体の数。(左)トレーニングセット(右)テストセット。3.結果と考察3.1従来法との比較COMBINE解析法及びSWAPCOMBINE解析法の予測モデルを表1に示した。この結果からSWAPCOMBINE解析法はCOMBINE解析法と比べてもほぼ同等な回帰能(R2、Q2)を有しており、また予測能の指標となるテストセット化合物の実験値と予測値間の誤差の標準偏差であるRMSE(pred)も同等レベルにあるといえる。よって、この結果をもとに構造活性相関におけるSWAPCOMBINE法と従来法との差異について詳細に検討を行った。まずリガンド間の活性の差に重要なアミノ酸残基を両解析法で比較するため、それぞれの解析法で最も絶対値が大きい変数の係数の絶対値を100%として各係数をスケーリングした。表2に二つの解析法で係数が40ポイント以上変化した変数(相互作用)を示した。Leu108残基との静電相互作用や、Asp109残基とのVDW相互作用など、いくつかの相互作用の係数が両解析法によって大きく変化しており、SWAPCOMBINE解析法によって活性の差をもたらす重要なアミノ酸残基の寄与が変わったことを示唆している。それらのアミノ酸残基のリガンドとの位置関係を図3に示した。それらは、特にリガンド結合部位の特定の部位に集中しているわけではなく、広範な領域に分布していた。表1二つの解析法の予測モデル表2二つの解析法で係数が40ポイント以上変化した相互作用とその係数(%)aCOMBINE解析法での係数(%)bSWAPCOMBINE解析法での係数(%)図3両解析法で係数が40ポイント以上変化した相互作用をもつアミノ酸残基の分布。代表的な阻害剤(リガンド1)のまわりに表示。3.2妥当に説明できるようになった2つのリガンドの構造活性相関前述したようにSWAPCOMBINE解析法により、Leu108残基との静電相互作用の重要性が、従来の見方よりも大幅に変化したことが分かった(表2)。これは図4に示すトレーニングセットに含まれるリガンド2に起因すると考えられる。リガンド2は、リガンド1に比べ末端のフェニル基のメタ位にメトキシ基を有しており、阻害活性がおよそ65倍低い。リガンド2はリガンド結合領域にエネルギー的に安定に存在できるため、メトキシ基部分の立体障害による反発ではリガンド2の低活性を説明できない。そこで従来のCOMBINE解析法では、リガンド2のメトキシ基部分と安定なVDW相互作用をするAsp109残基のVDW項の係数を大きく正にすることでリガンド2の低活性を再現していた(表2)。しかし、これではAsp109残基と安定(負)な相互作用をするほど活性が低いと見積もられてしまい、物理的に妥当な説明ではなかった。一方、SWAPCOMBINE解析法では、Asp109残基とのVDW相互作用の係数はわずかに負となっている。これらの現象を理解するために、メトキシ基結合領域周辺の水和構造を確認したところ、Leu108およびAsp109残基と強固に水素結合を形成する存在確率の非常に高い水分子が存在していることが分かった(図5)。この水分子は、リガンド2が結合する際にはメトキシ基と干渉する位置に存在するため、この水分子を脱水和しなければ結合できない。SWAPCOMBINE解析法ではこの脱水和効果を、Leu108との静電相互作用を大きな負の係数として表現しており、これにより物理的に妥当な構造活性相関の説明ができたと考えられる。図4リガンド1とリガンド2の構造式と活性値。図5リガンド2のメトキシ基付近のアミノ酸残基と、タンパク質表面の水和構造の重ね合わせ。破線は水分子とタンパク質間の水素結合を示す。3.3化合物デザインに役立つ水和構造の可視化2.4章で述べた方法により、タンパク質表面の平均的な水和構造の可視化を行った(図6)。先ほどのリガンド1、2の例から、大きな脱水和ペナルティーを受けないリガンドを設計することが重要であることが示唆されており、これを念頭に入れると、図6から以下のような2つのデザイン戦略を考えることができる。①脱水和ペナルティーを受ける部位への置換基の導入を避ける(例;リガンド2)大きな脱水和ペナルティーを受ける位置への置換基を導入するデザインを避け、活性値低下を防ぐことが考えられる。可視化した平均的な水和構造やSWAPCOMBINE解析により得られる情報から、水の存在確率が高く、脱水和ペナルティーの大きな領域を特定することは可能である。②脱水和ペナルティーを受けない部位への置換基の導入①とは逆に、脱水和ペナルティーを受けにくい部位へ置換基を導入するデザインが考えられる。例えば、図6中の○で囲んだ領域にはIle218の主鎖カルボニル基と水素結合する水分子は存在するものの、その存在確率が小さく(0.4程度)、脱水和ペナルティーは小さいと考えられる。このような、水の存在確率の小さい部分へ効果的な置換基の導入を図る。図6リガンド結合部位周辺の水和構造。存在確率0.6以上の酸素原子と水素原子をそれぞれ赤と灰色の星印で表示。リガンド1と一部アミノ酸残基も重ね合わせて表示した。○内には存在確率0.4程度の水分子が存在する(本文参照)。以上のように、タンパク質表面の平均的水和構造の可視化により、化合物デザインに役立つ情報を得ることができたと考えている。4.まとめ以上、リガンドと競合する水分子の脱水和エネルギーを考慮したSWAPCOMBINE解析法について記述した。本法によりリガンドの活性の差に重要なアミノ酸残基の寄与の大きさが変わり、従来法では正しく解釈できなかった構造活性相関を物理化学的に妥当に説明することができるようになった。しかし、以下に示すような検討事項があり、現在これらの研究を行っている。1、脱水和する水分子の定義。2、リガンドの部分脱水和エネルギーの考慮。3、PLS回帰における変数の正規化。4、水和構造のサンプリング法。5.参考文献[1]Ortizetal.,J.Med.Chem.,38,2681-2691(1995).[2]Perezetal.,J.Med.Chem.,41,836-852(1998).[3]横田彰宏,中村真也,仲西功,北浦和夫,日本薬学会第126年会(要旨集4),176(2006).6.謝辞第34回構造活性相関シンポジウムにおいてポスター発表しました内容について、本誌にて公表する機会を与えてくださいました編集員の皆様、お世話になりました幹事の先生方に深く感謝申し上げます。また、ポスター発表の際に、貴重なご意見、ご指導を賜りました先生方に御礼申し上げます。/////Activities/////第34回構造活性相関シンポジウム報告新潟薬科大学応用生命科学部石黒正路・米田照代標記シンポジウムは、2006年11月14日(火)~15日(水)に朱鷺メッセ(新潟市万代島6-1)で開催された。例年どおり、情報化学討論会(第29回、日本化学会情報化学部会主催、実行委員:新潟大学岡村睦雄先生・臼井聡先生)と併催し、双方を合わせると330名を超える参加者があった。新潟での初めての開催であり、地方都市という不利もあったが、参加者数は例年どおりであり、この学会の存在意義が広く認識されていることが窺われた。本シンポジウムでは、医薬・農薬を中心とした生理活性物質の構造とその標的生体高分子との相互作用解析手法の充実と発展を意図し、特別講演にインペリアルカレッジロンドンの岩田想先生を迎え「膜蛋白質結晶構造解析とその創薬への応用」と題した講演をお願いした。本シンポジウム参加者の膜蛋白質に対する興味は非常に大きいことが窺われ、会場は立ち見者がでるほどの盛況であった。また、招待講演には北里大学理学部米田茂隆先生に「有機水和物結晶の分子動力学シミュレーション」をお願いし、薬物と蛋白質の相互作用計算における水分子の取り扱いについて有機水和物結晶の分子動力学の観点から重要な指摘をいただいた。奨励講演では、京都大学大学院薬学研究科奥野恭史先生に「ケミカルゲノミクス情報に基づく化合物探索」についての新しい取り組みについて紹介していただき、化合物情報と生物情報の統合されたデータの構築と利用について興味ある講演をいただいた。また、産業技術総合研究所の石田豊和先生による「酵素反応の理論計算:QM/MMモデリング、全系量子計算による解析」では、量子化学的手法を蛋白質.リガンド相互作用に取り入れた詳細な計算手法について紹介いただき、今後のこの分野においての発展が期待された。また、ポスター講演の申込みの中から、分子計算に関連する内容の発表を3件選び、ポスター発表と共に口頭発表をお願いした。これらと、上記の奨励講演をつなげ計算セッションとなるようにした。このような試みは今後のシンポジウムでも取り入れてゆきたいと考えている。なお、ポスター賞には次の2名が選ばれた。御研究の更なる発展をお祈りしたい。○横田彰宏氏(京大院・薬)「リガンド結合部位に存在する水分子との競合を考慮したCOMBINE解析」○大軽貴典氏(阪大院・薬、田辺製薬)「等級活性予測を指向したComparativeMolecularFieldAnalysis」最後に、講演者・参加者の方々、展示・広告会社の方々、またその他開催にご協力いただいた皆様方に心からの感謝の言葉を申し上げたい。/////Activities/////「2006秋期アメリカ化学会国際会議」参加報告北里大学薬学部合田浩明私は、2006年9月10.14日の間サンフランシスコにて行われましたアメリカ化学会国際会議に参加し、研究発表を行いました。本学会に参加するにあたり、SARPromotionAwardによる参加旅費の援助をいただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。よく知られているようにアメリカ化学会は世界最大級の学会の一つであり、その国際会議には全世界からおよそ一万数千人の研究者が参加します。そして、約三十ある研究分野において、全部で8,000を越える発表が行われます。私は、「DivisionofComputersinChemistry」と呼ばれる分野において、「Computer-aidedrationalmoleculardesignofanewnon-peptidechitinaseinhibitor」というタイトルで発表しました(写真1)。またアメリカ化学会国際会議では、毎回月曜日の夜に、「Sci-MIX」と呼ばれるセッションが行われます。これは、各研究分野からおもしろそうな発表をいくつか選択し、それらをある一つの会場でまとめて発表させるもので、異分野の研究者との交流を目的としています。私の発表も「Sci-MIX」での発表に選ばれ、有意義な質疑応答をすることができました。「Sci-MIX」ではビールなどのアルコールが無料で提供され、終始リラックスした雰囲気の中での発表となりました。ただアルコールを受け取るには年齢のわかるIDの提示が必要で、パスポートを会場に持参することになってしまいました。ここで、今回の発表の概要を述べさせていただきます。【背景および目的】写真1キチン(β-1,4-poly-N-acetylglucosamine)は真菌および昆虫を含む多くの無脊椎動物の主要な構造多糖である。それゆえ、キチンの合成および代謝過程は真菌および昆虫の生命維持および増殖に極めて重要となっている。このキチンの代謝過程に関わる酵素として、キチン分解作用を持つキチナーゼがある。したがって、キチナーゼ阻害剤には、抗真菌薬および殺虫剤の機能を期待することができる。この様な背景の中、最近、キチナーゼの活性を競合的に阻害する環状ペプチド性化合物argadin(図1)が発見され、新規キチナーゼ阻害剤のリード化合物として注目されている[Chem.Pharm.Bull.48,1442,2000]。また、X線結晶解析によりargadin-キチナーゼ複合体構造が明らかになっており、次の様な相互作用様式の特徴があることが分かった[Proc.Natl.Acad.Sci.USA.99,9127,2002)]。(1)ArgadinのL-Hisのイミダゾール環の2つの窒素原子と主鎖環状骨格にある3つの酸素原子がキチナーゼとの水素結合に関与している。(2)ArgadinのL-α-aminoadipicacidとηN-acetyl-Argが分子内水素結合を形成することで自身の疎水性を高め、あたかも芳香環の様に振る舞って、キチナーゼの疎水ポケットに位置している。ところでargadinの主鎖環状部分はペプチド性であるので、薬として考えた場合、経口投与等には適さない化合物であると言える。そこで、その主鎖ペプチド骨格を安定な他の化合物に代替することで、より実用的な薬物にすることができるのではないかと考えた。本研究では、その代替化合物として、14員環マクロライドである8,9-anhydroerythromycinA6,9-hemiketal(EM201、図2)を用いることにした。それは、マクロライド系の抗生物質が薬物分子としてよく用いられていること(druglike)に加え、構造上の理由として以下の2つが挙げられる。理由1:EM201環状骨格の大きさがargadinの主鎖環状骨格と同程度であり、キチナーゼと相互作用するための酸素原子がその環状骨格に存在しているため。理由2:キチナーゼとの相互作用に重要と思われる官能基(イミダゾール環およびL-α-aminoadipicacidとη-N-acetyl-Argに対応する芳香環)を修飾可能部位に付加できるため。以上のことから、本研究の目的は、計算化学手法を用いてEM201環状骨格を母核とした新規な非ペプチド性キチナーゼ阻害剤を分子設計することである。【方法】新規な非ペプチド性キチナーゼ阻害剤を分子設計するため、次の解析を行った。Ⅰ:Argadin結合配座とEM201環状骨格のアライメントまず、自動配座解析プログラムCAMDAS[J.Comput.-AidedMol.Des.11,305,1997]によりEM201環状骨格の立体配座集団を生成した。続いて、得られた配座集団とargadin結合配座との重ね合わせ計算を、官能基特性に基づく分子重ね合わせプログラムSUPERPOSE[J.Comput.-AidedMol.Des.13,499,1999]を用いて行った。そして、得られた多数のアライメントの中から、EM201環状骨格のキチナーゼ結合配座候補を抽出した。Ⅱ:EM201環状骨格の修飾基導入に際しての検討Ⅰの解析の結果を基に、EM201環状骨格の結合配座候補の修飾可能部位に、スペーサーの長さを変えたイミダゾール環、および種々の芳香環を付加した分子をそれぞれコンピュータ上で設計し、キチナーゼのargadin結合部位に対するドッキング計算を行った。この計算には、ドッキングプログラムFlexX(SYBYL6.9Tripos社)を用いた。そして、EM201環状骨格とイミダゾール環とを繋ぐ最適なスペーサーの長さ、および付加すべき最適な芳香環についての検討を行い、最終候補化合物をデザインした。Ⅲ:最終候補化合物のキチナーゼへの結合親和性に関する検討Ⅱの解析の結果得られた最終候補化合物のキチナーゼへの結合親和性について検討するため、水溶液中での最終候補化合物-キチナーゼ複合体の分子動力学(MD)シミュレーションおよびMM-PBSA法[Acc.Chem.Res.33,889,2000]による結合自由エネルギー計算を行った。【結果と考察】Ⅰ:CAMDASおよびSUPERPOSEにより、2つのEM201環状骨格のキチナーゼ結合配座候補(CONF1040、CONF1453)が得られた。図3で示すように、これらEM201環状骨格の酸素原子(実線の丸印)は、キチナーゼと水素結合しているargadin主鎖環状骨格の酸素原子(破線の丸印)と同じ空間的配置をとっている。さらに、このアライメントから、EM201環状骨格の3位にイミダゾール環を、11位に芳香環を付加すればよいということが分かった。Ⅱ:ドッキング計算の結果、EM201環状骨格の3位にはメチレンを3つ介したイミダゾール環を、11位には3-phenanthryl基を付加すれば良いということがわかり、図4で示すような新規キチナーゼ阻害剤の最終候補化合物がデザインされた。Ⅲ:水溶液中でのMDシミュレーションの間、最終候補化合物-キチナーゼ複合体の分子間相互作用は安定に保たれていた。また、最終候補化合物についてMM-PBSA法により予測された結合自由エネルギー値は、-12.37kcal/molとなり、同条件で算出されたargadinについての値、-12.21kcal/molに匹敵するものであった。従って、デザインされた最終候補化合物は、argadinに匹敵する結合親和性で実際にキチナーゼに結合すると期待される。私は、2000~2002年の間サンフランシスコにあるUCSFに留学していました。今回は留学後の初めてのサンフランシスコ再訪となり、非常に感激しました。最後になりましたが、アメリカ化学会国際会議で発表する機会を与えてくださいました構造活性相関部会の幹事の皆様方、および広野修一先生をはじめとする北里大学薬学部創薬物理化学教室のメンバーに深く感謝申し上げます。/////Activities/////“第16回国際エクダイソンワークショップ”に参加して(京都大学大学院農学研究科原田俊幸)2006年7月10日~7月14日の5日間、ベルギーのゲント大学において第16回国際エクダイソンワークショップが開催された。本ワークショップには18カ国128人が参加し、口頭発表(48演題)とポスター発表(47演題)が行われた。筆者は”Three-dimensionalQSARforthebindingaffinityofsteroidalecdysoneagoniststoDrosophilaecdysonereceptor”というタイトルでポスター発表を行った。脱皮をキーワードとして、その現象の解明といった基礎的な研究から農薬、医薬への応用的な研究まで、13もの多岐にわたるセッションが行われた。なかでも、フランスのBillasらのグループの最新の研究内容は非常に興味深いものであった。様々なリガンドと脱皮ホルモン受容体との共結晶におけるX線結晶構造を解析して活性発現の要因を明らかにするというもので、筆者の研究内容と密接に関わったものであった。ポスター発表やその後の交流会の際に直接意見を交わすことができたことは大変貴重な経験となった。以下に筆者の発表の概要について述べる。昆虫は脱皮・変態を繰り返して成長するが、その過程は昆虫すべてに共通して存在する脱皮ホルモン”20-hydroxyecdysone(20E)”と呼ばれるステロイドホルモンによって制御される。生理・生化学的な研究の結果、20Eはecdysonereceptor(EcR)とultraspiracle(USP)のヘテロダイマーに結合して、その複合体が遺伝子に作用し、脱皮に関連する様々な現象が引き起こされることが分かった。EcR、USPに関してはこれまでに約30種の昆虫において、それらのアミノ酸の一次配列が明らかにされ、2種の昆虫においてEcRのリガンド結合部位の立体構造が明らかにされている。Billasらは、オオタバコガのEcR、USPヘテロダイマーとステロイド型脱皮ホルモンアゴニストであるponasteroneAおよび非ステロイド型ジアシルヒドラジン(DAH)系化合物BYI06830(図1)を共結晶の形で得ることにより、それぞれのX線結晶構造解析を行ってEcRに対する結合様式を明らかにした。この結果から、ステロイド型脱皮ホルモンアゴニストOとDAH型脱皮ホルモンアゴニストとは受容体のリガンド結合部位OHNNOを部分的にしか共有していないことが明らかにされた。また、20EOを含むステロイド型化合物の受容体に対する結合親和性は昆虫種間でほとんど差がないが、DAH類は鱗翅目昆虫に対してのみ非常に高い活性を示すものの、それ以外の昆虫に対してはほとんど活性を示図1.BYI06830さないことが分かっている。筆者はステロイド構造を模倣するような化合物のデザインが、マラリア媒介昆虫である蚊(双翅目昆虫)、ジャガイモの害虫であるハムシ(鞘翅目昆虫)、突然大発生して作物に壊滅的な被害をもたらすバッタ(直翅目昆虫)などの鱗翅目昆虫以外の害虫に対する効果的な殺虫剤の開発につながると考えた。そこで、ステロイド型化合物の脱皮ホルモン受容体に対する結合様式に基づき、その活性発現にとって重要な構造因子を明らかとすることを目的とした。供試化合物として20Eとその前駆体であるecdysone、植物体から単離された4種のアゴニスト、および当研究室において合成された9種の化合物の計15種類のステロイド型脱皮ホルモンアゴニストを用いた。その際、各化合物に関して双翅目昆虫キイロショウジョウバエ由来の培養細胞における[3H]ponasteroneAの脱皮ホルモン受容体への結合の阻害を測定し、濃度阻害曲線から中央阻害濃度[IC50(M)]を求め、その逆対数値(pIC50)を活性の指標とした。筆者はこれら15種類の供試化合物における構造活性相関解析から、受容体とリガンドとの間の水素結合が活性に大きく寄与していると考え、これを解析の新たなパラメーターとして加えることとした。その際、先述のX線結晶構造解析により立体構造が明らかとなっているオオタバコガの脱皮ホルモン受容体をもとに、キイロショウジョウバエEcRのリガンド結合領域の立体構造をホモロジーモデリングの手法により予測した。これによりリガンドとその受容体との間で形成し得る水素結合数を評価することが可能となった。ホモロジーモデリングには梅山教授らによって開発されたホモロジーモデリングソフトウェアPDFAMSを使用した。この手法ではRPS-Blastによって立体的に類似していると考えられるタンパク質を選別し、それを鋳型として用いるComparativeModelingを採用している。ComparativeModelingでは鋳型タン112PoAr=0.69パク質の選択が重要となるが、今回のモデリングでは鋳型と目的タンパク質との間には69%という高い相9同性があることと、ステロイド型脱皮ホルモンアゴニストの一種であるponasteroneAとの共結晶であるこ7ecdysonとから高い精度での予測が期待された。評価された水素結合数をpIC50に対してプロットした5ところ、両者の間には直線関係が見出され、活性の上昇にとって水素結合の重要なことが定量的に示され3た(図2)。また水素結合数が1増加するごとに受容357911体結合親和性(IC50)は約3.5倍増加するという知見をキイロショウジョウバエ[pIC50(M)]得ることができた。図2.pIC50と水素結合数との関係本ワークショップの行われたゲントはブルージュと並ぶベルギーの古都として知られており、古色蒼然とした町並みからその歴史を感じ取ることができました。またベルギーは美食の国としても知られ、ムール貝などの魚介類を使った料理やバラエティーに富んだベルギービールを堪能することができました。最後になりましたが、本ワークショップに参加するにあたり日本薬学会構造活性相関部会よりSARPromotionAwardを頂き、渡航費を援助していただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。水素結合数/////Activities/////構造活性相関部会SARPromotionAward募集要項構造活性相関部会では、以下の趣旨に従い構造活性相関研究の発展を促進するための事業として、当該制度を設ける。趣旨1.構造活性相関研究に関し、国外の学会で発表を行う部会員に旅費を補助することにより、国内の構造活性相関研究に関する優秀な成果を海外に積極的に発信することを奨励する。2.国外の学会における最新の研究情況を国内の部会員に早期に伝達し、部会員の研究に新展開の契機を与える。選考方法1.幹事または常任幹事の推薦によるものとし、常任幹事会で受賞該当者を決定する。受賞者は毎年若干名とする。2.推薦人は下記事項をとりまとめ、毎年決められた期日までに部会宛に提出する。候補者氏名・所属・略歴参加予定学会名・開催期日・開催場所・演題(口頭発表,ポスター発表のいずれかを明記)・発表者名・要旨(日本語の要約.参考資料として学会へ提出する英語要旨を添付.)推薦理由財源および授賞金1.法人会費から充当し、1名当たり10.20万円とする。受賞者の義務1.帰国後、研究発表内容の要約および学会参加報告をニュースレターに投稿する。2.受賞者が他機関から同一趣旨の補助を受ける場合にはいずれかを辞退するものとする。平成19年度募集要項今年度は2名程度とする。主に平成19年6月.平成20年3月の国外学会および部会の指定学会で発表を行う者。推薦人は、平成19年5月25日までに部会庶務幹事へ推薦書を提出すること。庶務幹事:米田照代新潟薬科大学応用生命科学部常任幹事・幹事の一覧は部会ホームページ(http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/jindex.htmlからリンク)の「SARPromotionAwardのお知らせ」をご覧下さい。/////Activities/////<会告>構造活性フォーラム2007「分子間相互作用の基礎、解析、応用研究」構造活性相関研究では、分子認識に関わる分子間相互作用を正しく評価し、結合親和力すなわち活性との相関を解析することが肝要となります。今回のフォーラムでは、タンパク質‐薬物間あるいはタンパク質‐タンパク質間に働く分子間力の本質を理解し、さらに相互作用の精密解析や最新の応用研究について学ぶことを目的とした講演・討論を企画しました。フォーラムの最初の講師である西尾元宏先生には、導入として大学院生にも理解できる分子間相互作用の基礎を解説していただくようにお願いしてありますので、これから構造活性相関や医農薬設計、分子間相互作用解析研究を始めようと考えておられる方にとって、学習のよい機会になると考えております。この領域のビギナーからエキスパートの方まで、ご関心の皆様多数のご参加をお待ちしております。主催:日本薬学会構造活性相関部会協賛:日本薬学会医薬化学部会、日本薬学会生物系薬学部会、日本薬学会薬学研究ビジョン部会、日本化学会、日本農芸化学会、有機合成化学協会、日本分析化学会、日本農薬学会、近畿化学協会、CombinatorialChemistry研究会日時:平成19年6月29日(金)10時~会場:ぱるるプラザ京都5階会議室(京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13)http://www.mielparque.or.jp/kyt/kyt01.html交通:JR、地下鉄、近鉄とも「京都駅」下車、徒歩1~3分講演午前の部(10:00~12:45)(1)「薬物設計における弱い分子間力の重要性-CH/π水素結合を中心に」CHPI研究所西尾元宏(10:00~11:15)(2)「溶媒効果を含めた量子化学計算法による蛋白質とリガンドの相互作用解析」京都大学大学院薬学研究科・産業技術総合研究所北浦和夫(11:30~12:45)午後の部(14:00~16:45)(3)「生理活性物質との相互作用に基づく蛋白質機能探索~新規創薬ターゲット探索に志向したchemicalgenetics戦略~」兵庫医療大学薬学部医療薬学科田中明人(14:00~15:15)(4)「タンパク質モデリングを基礎としたタンパク質とタンパク質を含むリガンドとの相互作用」北里大学薬学部梅山秀明(15:30~16:45)講演会終了後、講師を囲んで簡単な懇親会を開催致します。(8階ラウンジ大文字、参加費無料)【参加費】一般6000円、学生2000円(含テキスト代)【申込締切】定員(150名)になり次第締切り【申込方法】氏名、所属、連絡先(住所、電話/FAX番号、email)を明記の上、下記の電子メール宛お申し込みください。申し込みに際しては件名を「フォーラム参加申込」としてください。参加費の事前振込(郵便振替または銀行振込)をお願い致します。郵便振替:口座名「構造活性フォーラム2007実行委員会」京都大学病院内郵便局口座番号00970-0-169280銀行振込:口座名「構造活性フォーラム2007実行委員会代表仲西功」三菱東京UFJ銀行聖護院支店(普通預金)口座番号4546035【申込および問合せ先】電子メール:forum7@pharm.kyoto-u.ac.jp郵便:〒606-8501京都市左京区吉田下阿達町46-29京都大学大学院薬学研究科構造活性フォーラム2007実行委員会代表仲西功(TEL&FAX:075-753-9273)フォーラムURL:http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/forum2007.html/////Activities/////<会告>第35回構造活性相関シンポジウム会期2007年11月15日(木).16日(金)会場京都大学百周年時計台記念館(京都市左京区吉田本町,京都大学本部構内時計台の建物)主催日本薬学会構造活性相関部会共催日本化学会、日本農芸化学会、日本分析化学会、日本農薬学会討論主題①生理活性物質の活性評価と医農薬創製への応用、②QSARの基本パラメータ・基本手法・情報数理的アプローチ、③QSARと吸収・分布・代謝・毒性・環境毒性、④コンビケムとストラクチャーベースドアプローチ、⑤バイオインフォマティクス、⑥分子情報処理(データベースを含む)・データ予測発表形式口頭(25分(A)または15分(B)、討論5分を含む)、またはポスター(優秀な発表にはポスター賞授与)。特別講演(PeptideBiochemistryRes.GroupofHung.Acad.Sci.andSemmelweisUniversity)ProfessorGyorgyKeri招待講演(大阪大学大学院工学研究科)井上豪助教授(産業技術総合研究所生物情報解析研究センター)福西快文主任研究員発表申込7月20日(金)締切必着、電子メールにより受付。演題・発表者(講演者に○)・発表者名のふりがな・200字程度の概略・講演ABポスターの別・上記討論主題番号・連絡先住所氏名を明記。発表者は部会員に限ります。未入会の方はご入会下さい。申込先:sar-member@pharm.kitasato-u.ac.jp(会費無料)講演要旨9月21日(金)締切必着、A4用紙を使用し、本文(和文または英文)2または4ページ、および概要(英文)半ページ。執筆要領はホームページに掲載します。参加予約申込10月26日(金)締切、氏名・所属・連絡先・懇親会出欠・要旨集前送希望の有無・振込金額・振込日を記入の上、電子メールにてお申し込み下さい。参加費等は銀行振込(三菱東京UFJ銀行、普通預金、口座名:構造活性相関シンポジウム代表藤井信孝、口座番号:4546571)または郵便振替(口座名:構造活性相関シンポジウム、口座番号:00970-9-169312、通信欄に氏名・所属を記入)にてお振込み下さい。参加費[一般]予約8000円、当日9000円[学生]予約3000円、当日4000円併催の第30回情報化学討論会に参加できます(要旨集含む)。要旨集前送の場合は郵送料1000円を別途申し受けます。費用振込み後、参加取り消しによる返金には応じられません。懇親会11月15日(木)18:30芝蘭会館山内ホール(予定、情報化学討論会と合同)[一般]予約7000円、当日8000円[学生]予約3000円、当日4000円実行委員長京都大学薬学研究科薬品有機製造学分野藤井信孝問合せ・申込先第35回構造活性相関シンポジウム事務局Tel(03)5420-0572Fax(03)5420-0297E-mailsar2007@event-convention.com詳細は、部会ホームページhttp://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html参照/////Activities/////部会役員人事平成19年度から部会長などの役員が交代することとなりました。新役員は以下の通りです。部会長石黒正路(新潟薬科大学応用生命科学部)副部会長赤松美紀(京都大学大学院農学研究科)庶務幹事米田照代(新潟薬科大学応用生命科学部)会計中川好秋(京都大学大学院農学研究科)(継続)編集後記日本薬学会構造活性相関部会誌SARNews第12号をお届けいたします。ご多忙の中、ご執筆いただきました諸先生方に心よりお礼申し上げます。Perspective/Retrospectiveでは、松原景子先生・河野俊之先生(三菱化学生命科学研究所)に無細胞蛋白質合成系のNMRへの応用の紹介を通じ,蛋白質合成技術のSBDDに対する役割を明らかにしていただきました。CuttingEdgeでは、大軽貴典先生(大阪大学)にはCoMFAの発展形としてのLogisticCoMFAを、横田彰宏先生(京都大学)にはリガンド結合部位にある水分子を考慮した3D-QSAR解析についてご執筆いただき、3D-QSARに関わる有益な情報を得ることができました。大いに参考としたいと思います。なお、このSARNewsが今後とも構造活性相関研究の先端情報と展望を会員にご提供できることを編集委員一同願っております。お気づきの点がありましたら、是非お知らせいただければ幸いです。(編集委員会)SARNewsNo.12平成19年4月1日発行:日本薬学会構造活性相関部会長石黒正路SARNews編集委員会(委員長)藤原巌清水良黒木保久高橋由雅福島千晶久保寺英夫*本誌の全ての記事、図表等の無断複写・転載を禁じます。