SARNews No.30
SARNewsNo.30(Apr.2016)構造活性相関部会・ニュースレター<1April,2015>SARNewsNo.30「目次」/////Perspective/Retrospective/////難治性掻痒症治療薬ナルフラフィンの研究開発長瀬博、沓村憲樹···2糖尿病治療薬テネリグリプチンの創製~DPP-4のS2拡張サイトに作用す3阻害剤の創製研究~赤星文彦、鍋野海香···8痛風・高尿酸血症治療薬フェプキソスタットの創薬研究を振り返って近藤史郎···16/////SARPresentationAward/////2015年度選考結果について···24受賞コメント···25授賞講演要旨···27/////Activities/////く会告>構造活性フォーラム2016「分子標的薬の創生1ゲノム創薬にお(3目のつ(ど)ろ」···33第44回構造活性相関シンポジウム:第31回農薬デザイン研究会(共同開催)···353rdInternationalSymposiumforMedicinalSciences···37く部会役員人事>···38/////Perspective/Retrospective/////難治性掻痒症治療薬ナルフラフィンの研究開発筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長瀬博・沓村憲樹1.はじDに人類は有史以来sオピオイドs特にモルヒネをs鎮痛薬として使用してきたがsその強力な鎮痛作用と共に薬物依存が間題となっていたt19世紀にモルヒネの構造が決定されるとsその構造を化学修飾しs依存性を分離する試みが数多くなされてきたがs企業s研究者達のそのような努力にもかかわらず依存性の分離は達成されなかったt1975年には内因性のオピオイドペプチドが20種類以上発見されsこれらのペプチドは内因性物質でzるため依存性はないと期待されたことからs数百以上におよぶ類似のオピオイドペプチドが合成されたtしかしs多くの研究者の期待に反しsこれらのペプチドにも依存性がzることがわかりs一時sオピオイドの研究は収束しかけたt一方sそれまでの研究からsこのオピオイドが作用する受容体が1つではs多種多様な薬理作用が説明不可能となりsオピオイド受容体として3つのタイプ(µsδsκ)が提案されるようになったtさらにs薬物依存性が主にµ受容体タイプを介して発現することが報告されsµ以外の受容体s特にκ受容体作動薬に依存性のない鎮痛薬として大きな期待がかかるようになりs熾烈なκ作動薬の開発競争が開始されたtこのようなκ作動薬の開発競争の中でsアップジョン社(当時)がU-50488Hを他社に先駆けて発表し[1]s続いて世界中で100社以上の製薬会社や非常に多くの研究機関の研究グループがこのU-50488Hの構造を模倣した誘導体の研究開発に着手した(図1)tその結果sこれらの類似構造を有するκ作動薬には確かに依存性が無いことが確認できたがsその代わり依存性とは逆の作用sすなわちs薬物嫌悪性(重篤な幻覚s幻聴が発現)といった精神作用を伴うことが次第に分かってきたt具体的な例を挙げるとsアップジョン社のκ作動薬を投与した患者の一人がナイフを枕の下に隠し持っていたt臨床医が理由を尋ねるとs患者はv窓の下に私を殺そうとする連中がいてs殺す相談をしているtドアの向こうにも2,-.3人がいて同様の相談をしているtµからs自分の身を守るためナイフを持っているt」と答えたというtこのように恐怖を感じるような幻覚s幻聴を経験するためs投薬を拒否する患者も多いtこのような重篤な副作用のためsU-50488Hを模倣した化合物はいずれも臨床開発後期段階にまでステージアップすることはできなかったt薬物依存の分離達成薬物嫌悪(幻覚)との戦いエンドモルフィン(µ):Tyr-Pro-Trp-Phe-NH2Leu-エンケファリン(δ):Tyr-Gly-Gly-Phe-LeuダイノルフィンA(κ):Tyr-Gly-Gly-Phe-Leu-Arg-Arg-Ile-Arg-Pro-NH2臨床段階に入ったものもあるが後期には進めず:「類似構造=薬理学的性質も類似」図1.世界中で開発されたU-50488H誘導体の構造とナルフラフィンの構造との比較そのような状況下s筆者らはU-50488Hとは異なる独自の基本骨格を考え出して世界で初めて薬物依存性・薬物嫌悪性が分離されたs鎮痛作用の強力なκ作動薬sナルフラフィン(TRK-820)の創出に成功したtこのように理想的なκ作動薬が得られたのでs当初s術後疼痛を適用に臨床試験を実施したtしかしsこの適用においてはs鎮痛作用が発現する用量では鎮静作用(眠気sふらつき)との分離が困難でzったためs鎮痛薬としての適用を断念することとなったt丁度その頃s麻酔科の医師からvモルヒネの常用患者に激しい痒みを訴える人が多いt」という情報を入手したtさらにs腎透析の患者は重篤な痒みを訴えるがsその痒みをπえる薬は存在しないことも分かったtそこでs筆者らはこの痒みを適用として臨床試験を実施しsx世界初の依存性のない止痒薬yを世に出すことができたt以下に筆者らの研究開発の詳細について述べるt2.-拮抗薬の設計1970代後半sオピオイド受容体にはµsδsκの3つのタイプが提案されs依存性はµ受容体に起因する傍証も得られていたtそこでs各受容体タイプの薬理作用を解明するためにδやκ受容体に選択性の高い拮抗薬の開発が期待されていたtその頃s筆者はsミネソタ大学のPortoghese研究室においてsδsκ拮抗薬の創出を検討していたがs上記歴史的背景からの考察と内因性オピオイドペプチドの構造を基にしてs遂に規範となるオピオイド分子の特徴を見いµしたtすなわちs3つのタイプに結合する薬物は活性発現に必須の共通部分を有しており(メッセージ部位)sさらに各受容体タイプに対する選択性発現に関与する部分(アドレス部位)を併せ持つことでzるt筆者らはこれらの概念をxメッセージーアドレスの概念yと称しsこの概念に従ってsµ受容体に作用する化合物のアドレス部位が最も小さくs次にδ受容体s最も大きなアドレス部位を持つ化合物がκ受容体に選択性を発現するという仮説を立てたtそしてµ受容体に選択的な拮抗薬でzるナルトレキソンをメッセージ部位として適用しsアドレス部位の構造を適切に設計することでsκ選択的拮抗薬nor-BNI(Norbinaltorphimine)やδ選択的拮抗薬NTI(Naltrindole)[2]の創出に成功した(図2)tこれ以降s世界中でこれらの拮抗薬が利用されるようになりsオピオイド受容体の3つのタイプ各uの本格的な研究が開始されたt実際s多くの薬理学者がバイブルのようにして使用しているxGoodman-Gilmanの薬理書yにおいてsnor-BNIとNTIは選択的κ及Åδ拮抗薬として引用されておりs特に当時の論文ではsvnor-BNIやNTIを用いて選択性を議論しない論文は受理されないt」とまで言われるほど代表的な拮抗薬としての評価を受けたt図2.論理的デザインコンセプト3.受容体作動薬の設計i合成筆者はミネソタから帰国後s東レ株式会社においてsκ選択的作動薬の設計を行うことにしたtその際に心がけたことはs決して他社が実施しているアップジョン社の化合物の真似をしないということでzるtさらにs筆者らはオピオイドの構造に関してv内因性オピオイドの部分構造を有しないものは真のオピオイドではないt」という信念がzったt実際sU-50488Hはアップジョン社が向精神薬の創出を目的として実施したinvitroスクリーニングからヒットした化合物でzりsオピオイドκ作動薬の創出を目的としたスクリーニングから得られたものではなかったtそのためs向精神薬に由来する副作用でzる幻覚s幻聴の発現がU-50488Hの副作用として発現することは予想され得るものでzるt以上の背景からs内因性オピオイドの構造上の特徴でzるvチロシン部分構造」を含むκ受容体拮抗薬nor-BNIに着目しsこの構造からκ作動薬の構造に変換する試みを行ったt拮抗薬を作動薬へと導くにzたりs拮抗薬と作動薬の構造上の特徴の違いを利用したtすなわちs多くの受容体リガンドにおいて作動薬は受容体結合後s受容体の構造変化を引き起こすためs拮抗薬と比較してスリムな構造を有しておりs一方s拮抗薬はリガンド結合後の受容体の構造変化を阻害するような部分(多くは脂溶性のアクセサリー部位)を有していることに着目したtそしてs拮抗薬からアクセサリー部位を除去すれば作動薬が得られるという単純な発想に基づきsnor-BNIの構造をスリム化しsモルヒナン骨格の6位から6炭素の長さ程度の適切な側鎖を伸ばすという薬物設計を行った(図2s図3)tさらにsナルトレキソンを母核としてエーテル結合を介して6炭素長の側鎖を結合させた化合物を合成したtこの化合物の鎮痛効果を基にsinvivoスクリーニングを行った結果を図3に示すtこの結果sエーテル化合物(図3左上)に鎮痛作用が認められs筆者らの基本設計が正しいという確信が得られたtこれに対しsアミノ化合物では活性が極端に低下したtこの結果はsその極性の高さ(例えば中枢移行性に影響)によるものではないかと仮定しs極性を下げるためsアミドsさらにはメチルアミド体へと変換した結果s飛躍的な活性増強が認められたtそして不飽和結合の導入によって側鎖コンフォメーションを固定しs拮抗薬にκらない程度の脂溶性置換基(末端アリール)を導入することで持続性を含めた薬効改善を達成しsさらにs副作用s毒性s動態を総合した薬物プロファイルの最適化を経てTRK-820(ナルフラフィン塩酸塩)に到達することができた[3]t得られたナルフラフィン塩酸塩はs精神依存性s薬物依存性を小動物で評価できるConditionedPlacePreference(CPP)試験でs期待通りモルヒネ様の依存性を示さないばかりかsU-50488Hの呈する薬物嫌悪性も示さないことを確認できたt図3.オピオイドd作動薬の構造活性相関4.術後疼痛治療薬としての開発ナルフラフィン塩酸塩はsオピオイドとしては初めて依存性と嫌悪性の両方の分離に成功したのでs強力な鎮痛薬としての期待が高くs最初の臨床試験は術後疼痛を適用として実施したtそしてs薬効確認の第2相においてs確かにs用量を上げていくとモルヒネと同等といってよい鎮痛作用が認められたがs鎮痛発現用量で鎮静作用(眠気sふらつき)が強く発現したためs安全域が狭すぎて実用には耐えないとの結論となりs術後疼痛への適用を断念することとなったtしかしs世界で初めて依存性・嫌悪性を分離したκ作動薬の創出に成功しsその強力な作動活性も確認できたのでs筆者はこのナルフラフィンをこのまま放棄するにはいかにも残念でzると考えs他の適用を鋭意検討したtその過程で以下に述べる止痒作用を発見しsまたs腎透析の患者の重篤な痒みに対しては適切な薬がなく患者が我慢するしかなかったという情報も得られたのでsその重篤な痒みを適用として臨床試験を実施したt次章ではsその詳細について詳述するt5.難治性そ1痒症治療薬としての展開筆者らが鎮痛薬としての開発を断念しsその後の展開を臨床医の先生と議論していたときs臨床医の先生からsvモルヒネ等のµ受容体作動薬の副作用として強い掻痒が引き起こされる場合がzるt」vナルフラフィン塩酸塩の治験においては掻痒を訴える患者が居ないt」という貴重な情報を入手したtまたs薬理学的には薬物依存性に対する嫌悪性などsµ受容体作動薬とκ受容体作動薬は相反する作用を示すことが多い点を考慮するとsvµ作動薬のモルヒネが痒みを発現するのでzればsκ作動薬のナルフラフィンは止痒効果が期待できる」と発想したtまた当時s痒みを評価する動物モデルが無く困っていたがsタイミング良く倉石らにより小動物で止痒作用を評価するマウスのモデルが報告された[4]t早速sこのモデルでナルフラフィン塩酸塩の効果を評価した結果s既存薬に比較して顕著な効果が確認された(図4)tさらにs抗ヒスタミン薬が効きにくいモデル(ヒスタミン誘発の痒み)でも有効性を示すことがわかりsこれらの動物実験の結果を臨床医の医師に報告したところsこの効果を非常に評価して頂いたt当時は筆者自身s重篤な痒み(我慢できないs夜眠れない痒み)の存在に気がつかなかったがs逆に腎透析の専門医でzる熊谷先生からvいかに患者が悩んでいるかs家族もその患者の痒みのためs夜間の睡眠を妨害されているかsさらには臨床医も患者からの訴えが頻繁で困っているt」等の重篤性、2001501005000031030100(mcg/kg.p.o.)200150100500セ3テクト000.1110100(mg/kg,p.o.)200150100500000.1110100(mg/kg,p.o.)20015010050000131030(mg/kg,p.o.)200150100500ネオレスタミン000.1110100(mg/kg,p.o.)PBS(対照)サブスタンスP(250nmol/body,i.d.)N=8or12**p<0.01(Dunnet’stest)Togashi,Y.andNagase,H.etal.Eur.J.Pharmacol.,435,259-264(2002).図4.マウスにおける止痒効果(既存薬とナルフラフィンの効果の比較)を聞かされ説得された形になったtそこでsオープン試験にて6名の重篤な痒みを有する患者を対象に臨床試験を実施した結果s6名全員の痒みが消失したtこの結果には筆者らも臨床医の先生も感動しs早速sプラセボを対照に二重盲検法試験を行ったt二重盲検試験は熊谷s高森先生らにより行われs患者の痒みに対するプラセボとの比較試験において圧倒的な優位さが確認された[5-7]tさらにs1年間の長期試験においてもs懸案されていた依存性をはじめとしたその他の副作用について間題が無いことがわかりs2009年1月s遂に経口掻痒症改善剤vレミッチ®カプセル2.5µg」(gremoveitchhの意味で命名)の国内における製造販売承認を取得s同3月の薬価収載を経てs販売を開始することができた(製造販売元:東レ株式会社s販売元:鳥居薬品株式会社s提携:日本たばこ産業株式会社)tさらにs2015年には肝臓の痒みにも適用が拡大されs痒み治療として広く用いられるようになったt今後はさらにs重篤なアトピー性皮膚炎等に代表される痒みにも適用が期待されておりsx痒みyに悩まされている多くの患者の福音となることを祈念しているt6.痒みの機序の解明(痒いと引っ掻4理由の解明)全身投与可能なκ作動薬が使用可能になったためs痒みに対するκ作動薬関与の解明が飛躍的に進展したt古来s痒みは痛みが軽減した際に発生する現象と考えられておりs痛みと痒みは同じ伝達経路によって伝わると言われていたtしかしs痒みの研究が進むにつれてs実はその伝達経路は異なっておりs末梢から脊髄を通り脳の感覚Ⅳに伝わる上向性の神経回路の2/3が痛み伝達にs1/3が痒み伝達に使用されていることが報告されたt一方s我uが無意識に行う痒い時の引っ掻き行動の理由(機序)は長い間理解されないままでzったt最近になりsピッツバーグ大学のS.Rossらは脊髄に存在するB5-Iニューロンを発見しsこれが痒みに関与するという可能性を提唱したtそしてsナルフラフィンが市場に出たことを契機にsナルフラフィンを利用してその関与を証明しようとs筆者らに共同研究を求めてきたtこの共同研究の結果s遂に痒いと引っ掻くという行動原理を解明することができた[8]tすなわちs痒みによる引っ掻き行動により発生する痛みszるいは冷却による刺激が脊髄に伝わりsB5-Iニューロンを刺激してs内因性のκオピオイドペプチドでzるダイノルフィンを放出させるtこのダイノルフィンが痒み伝達経路を遮断するという機序でzるt実際sB5-Iニューロンのノックアウトマウスは極度の痒みを感じることsそしてこの極度の痒みはナルフラフィンの脊髄投与により軽減されることを証明したt勿論Rossらはsナルフラフィンの全身投与によって種uの痒みを軽減できることも報告しているt以上のようにs全身投与可能な低分子が入手できるようになるとs痛みと比較して今まで研究が進んでいなかった痒みに関する研究が進みsその末知なる機序の解明sそして種uの痒みの治療が可能になると期待できるt例えば最近s痒みを体の危険信号と捉えて治療する動きも始まったt痛みというものは体の危険信号でzるということは広く知られておりs痛みが発生した臓器の治療に繋がっているtそれに対しs最近まで痒みというものも体の危険信号でzるという認識は意外に少なくsこれが体の治療に繋がることはほとんど無かったtそのためs痒みは発するが痛みの発生には鈍い腎臓や肝臓はs痛みを感じた時は既に手遅れになる場合が多かったtしかしsレミッチ®カプセル2.5µgの治療対象として腎臓s肝臓の痒みが承認されsそれらの臓器の痒みは危険信号でzるという認識が広まりつつzるt今後それらの信号を検知しs適切な治療ができればs結果的に病症が腎透析や肝硬変s肝癌等の重篤なステージに移行するのを予防できる可能性が高くなると思われるt7.2わりにオピオイドから依存性を分離するという多くの試みの中でsいち早くκ作動薬に依存性が無いことがわかりs世界中でその鎮痛薬としての開発が行われたtしかしsアップジョン社のU-50488Hをはじめとする誘導体は逆に嫌悪性がひどくs薬としての開発が困難でzったtそのような開発競争の中s筆者らはU-50488Hとは全く構造の異なるκ作動薬を設計・合成することによりs依存性・嫌悪性ともに分離した化合物(ナルフラフィン塩酸塩)を難治性掻痒症の治療薬として上市することに成功したt鎮痛薬としてではなく止痒薬としてではzるがs依存性が分離されたオピオイドを世界で初めて世に出すことができたことはsオピオイド薬物から依存性を分離しようとしてきた長い戦いの歴史を鑑みるとs非常に意義深いことでzったと思われるtさらにs腎透析の患者の痒みは治療対象として認識されずs患者はたµ我慢するしかなかったがsナルフラフィンが市販されて以降sこのような難治性の痒みが治療対象として臨床医に認められることとなりs積極的に治療が行われるようになったtこのようにs今まで治療薬がない病気を治療できるようになったことsそしてその結果s多くの患者から感謝の言葉を頂けたことは筆者らにとって無上の喜Åとなったt現在までに活性既知の内因性ペプチドは数多く報告されているがsその低分子s特に作動薬の設計・合成は実に困難でzるt筆者らは現在s筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)においてsその困難に挑戦を続けておりsつい最近ではオレキシン受容体に対する世界初の低分子作動薬の設計・合成に成功した[9]tこの作動薬はs水溶性と血液脳関門透過性を有しており全身投与が可能でzるtそしてオレキシンに代わって覚醒時間の延長作用を示しs長年s効果的な薬物が無かった睡眠病sナルコレプシーの治療効果もzることを確認しているtこのような成果を基にs非常に困難でzるとされている大学発の創薬に向けs今後も鋭意検討を”続していく所存でzるt参考文献[1]Lahti,R.A.,VonVoigtlander,P.F.,Barsuhn,C.Propertiesofaselectivekappaagonist,U-50,488H,LifeSci.,31,2257-2260(1982).[2](a)Portoghese,P.S.,Lipkowski,A.W.,Takemori,A.E.Binaltorphimineandnor-binaltorphimine,potentandselectiveκ-opioidreceptorantagonists,LifeSci.,40,1287-1292(1987).(b)Portoghese,P.S.,Sultana,M.,Takemori,A.E.Naltrindole,ahighlyselectiveandpotentnon-peptideδopioidreceptorantagonist,Eur.J.Pharmacol.,146,185-186(1988).(c)Portoghese,P.S.,Sultana,M.,Nagase,H.,Takemori,A.E.Applicationofthemessage‒addressconceptinthedesignofhighlypotentandselectivenon-peptideδopioidreceptorantagonists,J.Med.Chem.,31,281-282(1988).[3]Kawai,K.,Hayakawa,J.,Miyamoto,T.,Imamura,Y.,Yamane,S.,Wakita,H.,Fujii,H.,Kawamura,K.,Matsuura,H.,Izumimoto,N.,Kobayashi,R.,Endo,T.,Nagase,H.Design,synthesis,andstructure-activityrelationshipofnovelopioidκ-agonists,Bioorg.Med.Chem.,16,9188-9201(2008).[4]Kuraishi,Y.,Nagasawa,T.,Hayashi,K.,Satoh,M.Scratchingbehaviorinducedbypruritogenicbutnotalgesiogenicagentsinmice,Eur.J.Pharmacol.,275,229-233(1995).[5]熊谷裕生,林松彦,猿田享男,維持血液透析患者のかゆみにおける内因性オピオイドの関与,臨床薬理,31,457-458(2000).[6]Kumagai,H.,Utsumi,J.,Saruta,T.Prospectsforanovelkappa-opioidreceptoragonist,TRK-820,inuremicpruritus,In:YosipovitchG,Ed.byItch.BasicMechanismsandTherapy,NewYork,MarcelDekker,279-286(2004).[7]熊谷裕生,丸山資郎,高森建二,鈴木洋通,透析患者のかゆみに対するd-アゴニストTRK-820.透析治療における新しい薬物,臨林透析,22,763-772(2006).[8]Kardon,A.P.,Polgár,E.,Hachisuka,J.,Snyder,L.M.,Cameron,D.,Savage,S.,Cai,X.,Karnup,S.,Fan,C.R.,Hemenway,G.M.,Bernard,C.S.,Schwartz,E.S.,Nagase,H.,Schwarzer,C.,Watanabe,M.,Furuta,T.,Kaneko,T.,Koerber,H.R.,Todd,A.J.,Ross,S.E.Dynorphinactsasaneuromodulatortoinhibititchinthedorsalhornofthespinalcord,Neuron,82,573-586(2014).[9]Nagahara,T.,Saitoh,T.,Kutsumura,N.,Irukayama-Tomobe,Y.,Ogawa,Y.,Kuroda,D.,Gouda,H.,Kumagai,H.,Fujii,H.,Yanagisawa,M.,Nagase,H.Designandsynthesisofnon-peptide,selectiveorexinreceptor2agonists,J.Med.Chem.,58,7931-7937(2015)./////Perspective/Retrospective/////糖尿病治療薬テネリグリプチンの創製,-.DPP-4のS2拡張サイトに作用する阻害剤の創製研究,-.田辺口菱製薬(株)赤星文彦s鍋Ⅳ海香1.はじDにジペプチジルペプチダーゼN(5AA-4)阻害剤はs低血糖を起こさずに食後高血糖を是正できることからs既存薬にはないs新たな価値を有する経口糖尿病治療薬になり得ると考えたtそこで我uはs阻害活性が強くs作用持続時間が長いs(日(回服用型の5AA-4阻害剤の創製を目指したt研究開始時s(日),-.3回服用型の5AA-4阻害剤としてNFA-5AA.)/が臨床開発されていたt当時sNFA-5AA.)/の活性発現構造が報告されていたがI(Jsそこには,-シアノ-)-ピリジル基は5AA-4のD)サイトに相互作用していると考察されていたtこれが正しければNFA-5AA.)/は直線状に伸Åた立体配座ではなくs,-シアノ-)-ピリジル基がD)サイトに入るためにσれ曲がった立体配座をとってs阻害活性を発現していると考えられるtそこで我uはs化合物(のように環状構造のプロリン骨格を用いて,-シアノ-)-ピリジル基の位置を固定化させsD)サイトとの相互作用を容易にすることによりs5AA-4阻害活性を-倍向上させることに成功したI)Jtしかしs化合物(はsプロリン窒素とピロリジン)位のシアノ基が反応するためs溶液中で不安定でzりs阻害作用の持続性が不十分でzったtこの化学安定性の改善にはs不安定要因のシアノ基を削除する必要がzると考えたt)-シアノピロリジンをチアゾリジンに変換した化合物)はs化学安定性が改善したがs今度は阻害活性が(/(''に減弱したI3Jt減弱した活性を補うためにプロリンc位の置換基を精査しI4--Js強い阻害活性の発現にはs5AA-4のD)拡張サイトへの結合が重要なことを解明したtこの知見を突破口としs最適な構造を追求し続けた結果s5AA-4阻害活性が強くs作用持続性に優れたsプロリルチアゾリジン骨格を有する唯一の市販5AA-4阻害剤となるテネリグリプチンを見出したI.Jtテネリグリプチンの創製研究においてs5AA-4のD)拡張サイトの発見が新たな合成展開の起点になったt本稿ではsこのD)拡張サイトの特徴を示しsD)拡張サイトに関する構造活性相関s類縁酵素に対する選択性s他剤との結合様式の比較について述べたいtNVP-DPP728DPP-4阻害1性IC50=1.4nmol/LテネリグリプチンIC50=0.37nmol/L化合物1IC50=0.25nmol/L化合物2IC50=25nmol/L図(%テネリグリプチン創製に至る経緯と結合様式2..S2拡張サイト』とはプロテアーゼの活性部位においてsその結合サイトの名称は基質ペプチドにより定義されているI/Jt基質ペプチドのアミノ酸は切断部から順番に名付けられている(-A3-A)-A(-A’(-A’)-A’3-sA(とA’(間が切断点)tそれらのアミノ酸が認識される結合サイトはs基質に相応して名付けられている(D3,D),D(,D’(,D’),D’3)t5AA-4はsN末から)番目のアミド結合を分解するプロテアーゼでzることからsN末側の結合サイトはD)サイトまでしか存在しないtD)拡張サイトはs我uが定義した結合サイトでzりI-,0Js主にFKT)'.sDOr)'0sAQO3,.s2rP3,/の4つのアミノ酸残基から構成されているtこのサイトの特徴はs5AA-4の基質でzる8LA-(等の結合には関与せずs阻害剤のみが結合しs強い阻害活性の発現に寄与するt上市されている5AA-4阻害薬の中ではsテネリグリプチンの他sシタグリプチンI('J及ÅアナグリプチンI((JがD)拡張サイトに結合することがH線結晶構造解析から明らかになっているtまたsD)拡張サイトは阻害活性のみならずs5AA-4の類縁酵素に対する高い選択性にも寄与すると考えられているtシタグリプチンアナグリプチン図2.シタグリプチンとアナグリプチンの構造式2.1テネリグリプチンとDPP-4の結合様式H線結晶構造解析より明らかになったテネリグリプチンとヒト5AA-4の結合様式を図3に示すI.JtチアゾリジンはD(サイトの疎水的なポケットに結合しsカルボニル基は2sV.('と水素結合を形成するtプロリン部位はD)サイトの8Tu)',及Å8Tu)'-と静電的な水素結合を形成するtD)拡張サイトにおいてはsピペラジン環がAQO3,.側鎖と49-e相互作用sピラゾール環がAQO3,.側鎖とe-e相互作用s末端のフェニル環がFKT)'.の主鎖カルボニル基と弱い水素結合s及Å2rP3,/やDOr)'0の側鎖と疎水的な相互作用を形成するt図3.テネリグリプチンとヒトDPP-4の複合体X線構造2.2S2拡張サイト3阻害活性に及ぼす効果D)拡張サイトが阻害活性に及ぼす効果を明らかにするためにsテネリグリプチンと5AA-4の各アミノ酸残基との相互作用エネルギーを見積もったt計算方法はsH線複合体構造(A53:513FJK)を用いて分子動力学計算を行いs得られた構造にMM-83D2法I()Jを適用した(図4)tこの解析からsD)拡張サイトにおける最重要アミノ酸残基はAQO3,.でzることが明らかになったtまたsAQO3,.に加えsDOr)'0とのファンデルワールス相互作用の寄与も顕著でzるt2rP3,/はsテネリグリプチンが正電荷を持つために静電的反発を示すと考えられるがsファンデルワールス相互作用の寄与が認められたt5AA-4が基質や阻害剤を認識するためにsD(及ÅD)サイトが重要でzることは明らかでzるがsD)拡張サイトのAQO3,.にはsD(サイトのEyr--)やEyr---sD)サイトの8Tu)',と同程度のエネルギー的寄与がzるt後述の構造活性相関からも説明される通りsD)拡張サイトとの結合はテネリグリプチンの阻害活性向上に重要でzったt図4.テネリグリプチンとDPP-4の周辺アミノ酸残基との相互作用エネルギー中段はファンデルワールス相互作用s下段は静電相互作用(脱溶媒の寄与を含む)を示しs上段は2つの相互作用の和を示すt3.S2拡張サイトに関する構造活性相関3.1プロリンrn上の置換基変換プロリンc位上の置換基変換とヒト5AA-4阻害活性の相間を表(に示すI4,,Jtまずs無置換の化合物3は,-シアノ-)-ピリジル体)に比べて阻害活性が(/)'に減弱したtまたsベンジル基に置換すると化合物)よりも5AA-4阻害活性が減弱した(化合物4)tその一方でピペリジンsモルホリンsN-メチルピペラジンに置換すると活性が維持または向上した(化合物,,-,.)tプロリンc位上のピペリジンsモルホリンsピペラジンはD)拡張サイトを構成するAQO3,.と49-e相互作用を形成するものと考えられるtこの中から置換基導入が容易なピペラジンを選択して活性の向上を目指したtピペラジン上にフェニル基を導入すると活性が向上したが(化合物/)sベンジル基のようなフレキシブルな芳香環を導入しても活性には影響しない(化合物0)t化合物/の活性向上はsピペラジンに直接結合することで固定化された芳香環がAQO3,.とe-e相互作用を形成するためと考えているtさらにフェニル基のパラ位にニトロ基を導入すると活性が大きく向上しs端緒化合物でzるNFA-5AA.)/と同程度の阻害活性を示した(化合物(')tまたs)-ピリジル基に置換しても活性が向上し(化合物(()s,-シアノ-)-ピリジル基に置換するとさらに活性が向上した(化合物())tピペラジンをピペリジンに変換しても活性が維持された(化合物(3)tこれはs化合物('と同様にピペリジン上のフェニル基がAQO3,.とe-e相互作用を形成することを示唆しているt表(%プロリンc位上置換基の最適化compoundXDPP-4inhibitioncompoundXDPP-4inhibition3.2ピペラジン上の芳香環の最適vプロリンc位上のピペラジンまたはピペリジン上に二環式複素環を置換した化合物の5AA-4阻害活性を表)に示したI-,.Jt)-キノリル体(4は)-ピリジル体((と同等の活性を有していたがs4-キノリル体(,は活性が大きく向上しs)-トリフルオロメチル-4-キノリル体(-はさらに強い活性を示したt化合物(-と5AA-4の複合体H線結晶構造解析の結果I-Js4-キノリル基はD)拡張サイトのAQO3,.とのe-e相互作用に加えs2rP3,/のグアニジウム基との49-e相互作用を有しておりsさらにトリフルオロメチル基がEyr,/,と水素結合を形成していたt)-キノリル体(4と4-キノリル体(,の阻害活性の差は2rP3,/との相互作用によるものと考えているt連結環でzる4-フェニル-)-チアゾリル体(.の活性は)-キノリル体(4よりも減弱したtその一方s(-フェニル-,-ピラゾリル体(/は4-キノリル体(,と同等の活性を示しsさらに3-メチル-(-フェニル-,-ピラゾリル基が置換したテネリグリプチンは強力な5AA-4阻害活性を有していたtこの活性向上はs前項で述べたようにAQO3,.sFKT)'.sDOr)'0s2rP3,/によって構成されたD)拡張サイトとの相互作用によるものでzるI.Jtまたsこれら連結環の結果からsD)拡張サイトにおいてはsピペラジン-芳香環から直線的に置換基を伸長するよりもs置換基を屈曲させてファンデルワールス相互作用を有するDOr)'0や2rP3,/のポケットに結合させることがs活性向上に大きく効果を及ぼすことが示されたtさらにテネリグリプチンのピペラジンをピペリジンに置換したところ(/)'に及ぶ活性の低下を招いた(化合物(0)tこの原因を明らかにするためにsピペラジン体(0と5AA-4の複合体H線結晶構造解析を行いsテネリグリプチンと比較検討したI.Jtその結果s化合物(0とテネリグリプチンはD(サイトならÅにD)サイトとの相互作用は同じでzるがs化合物(0のフェニル基はsテネリグリプチンのフェニル基の置換方向と異なるためにDOr)'0や2rP3,/のポケットに相互作用できずs阻害作用が低下したものと推察されたt表)%ピペラジン上置換基の最適化RNOHDPP-4inhibitioncompoundXRIC50(nmol/L)14N2.215N0.95CF316NN0.3717N4.518N0.94H3CテネリグリプチンN19CHNNF3CNN0.375.64.DPP-4の類縁酵素への阻害作用4.1DPP-4阻害活性の選択性5AA-4と高い相同性を有する類縁酵素5AA-/s5AA-0の生理的機能は今のところ明確にされていないがsラットおよÅイヌを用いた試験では5AA-/または5AA-0の阻害によりsいくつかの毒性を示すことが報告されているI(3Jtそこでs一連のプロリルチアゾリジン化合物の5AA-4選択性を℃べるために5AA-/及Å5AA-0の阻害活性を測定した(表3)I-,.Jtピペラジン上の芳香環が単環の化合物(',()は5AA-/に対して/倍s),倍の5AA-4選択性しか示さないt一方sキノリル基を有する化合物(-は5AA-/に対して)''倍の5AA-4選択性を有していたtさらに3-メチル-(-フェニル-,-ピラゾリル基を有するテネリグリプチンは5AA-/s5AA-0に対して.''倍以上の5AA-4選択性を有することがわかったtこのようにピペラジン上置換基の大きさや方向により選択性が大きく変動したことからsこの置換基と相互作用する5AA-4の結合サイト(D)拡張サイト)は5AA-/s5AA-0のそれとは大きく異なることが示唆されたt表3%5AA-/と5AA-0に対する5AA-4阻害活性の選択性SNNOHcompoundRInhibitoryactivityIC50(nmol/L)onhumanenzymes101216テネリグリプチン4.2DPP-4と類縁酵素の結合サイトの相違CummOyらの5AA-/s5AA-0の3次元構造の予測からI(4Js5AA-4のD)拡張サイトを形成するAQO3,.はその阻害剤と49-eやe-e相互作用を形成するがs5AA-/や5AA-0にはその相互作用がないことsDOr)'0に相当するアミノ酸残基が5AA-/や5AA-0にはないことs2rP3,/に相当するアミノ酸残基は5AA-/では2sX43,s5AA-0では2sX4),でzり酵素分子内で異なることが推定されているtこれらの結果から5AA-/及Å5AA-0にはD)拡張サイトのファンデルワールス相互作用に関与する部位が存在しないことが示唆されているt従ってsD)拡張サイトの相互作用を有効に利用することによりs5AA-4の阻害活性に併せて選択性も向上させることが可能µと考えられるt5.PSグリプチン及びアナグリプチンとの結合様式の比較シタグリプチンと5AA-4の複合体H線構造(A53:51(H.')I('Jからs基質ペプチドから合成展開されたテネリグリプチンと社内ライブラリーのスクリーニングにより見出された化合物から合成展開されたシタグリプチンがD(sD)sD)拡張サイトを用いた同様の結合様式でzることがわかったt図,に示すようにD)拡張サイトにはトリアゾロピペラジンが結合していたtこのトリアゾロピペラジンをチアゾリジンに置換した化合物では活性が(/.に減弱しているがI0JsこれはAQO3,.とのe-e相互作用がなくなったことによるものと推察されるt一方s最近5AA-4との複合体H線構造が報告されたアナグリプチン(A53:513GB9)I((Jはsテネリグリプチンと同様にNFA-5AA.)/のような化合物から合成展開されておりsDOr-3'との共有結合(複合体H線構造では遷移状態)とD(sD)sD)拡張サイトに結合していることが特徴でzる(図,)tD)拡張サイトに結合するピラゾロピリミジンはsDOr)'0周辺には位置せずsEyr,/,の方向に位置していたtそしてsピラゾロピリミジンに連結しているカルボニル基が2rP3,/と水素結合を形成していたtいずれにしてもsD)拡張サイトに結合する3化合物ともがAQO3,.とe-e相互作用を形成しておりsAQO3,.がこのサイトの中で最も重要なアミノ酸残基でzることが理解できるt図5.DPP-4との結合モードの比較(左)テネリグリプチン(水色)シタグリプチン(白)(右)テネリグリプチン(水色)アナグリプチン(橙)6.まとD5AA-4のD)拡張サイトはs8LA-(等の基質の結合には関与していない部位でzるtテネリグリプチンはsこのD)拡張サイトを有効に使うことにより創製されているt5AA-4との複合体H線結晶構造解析からsD)拡張サイトに結合する5AA-4阻害剤はsテネリグリプチンsシタグリプチンsアナグリプチンの3剤が知られているがsそれらの結合様式はそれぞれ特徴的でzったtまたsD)拡張サイトとの結合においてはAQO3,.との相互作用が最も重要な役割を果たすことが明らかになっているtこのD)拡張サイトを効果的に用いればs強い阻害活性と類縁酵素に対する高い選択性を併せ持つ5AA-4阻害剤を創製することが可能でzるt参考文献[1]Hughes,T.E.,Mone,M.D.,Russell,M.E.,Weldon,S.C.,Villhauer,E.B.NVP-DPP728(1-[[[2-[(5-cyanopyridin-2-yl)amino]ethyl]amino]acetyl]-2-cyano-(S)-pyrrolidine),aslow-bindinginhibitorofdipeptidylpeptidaseIV,Biochemistry,38,11597–11603(1999).[2]Sakashita,H.,Kitajima,H.,Nakamura,M.,Akahoshi,F.,Hayashi,Y.1-((S)-γ-Substitutedprolyl)-(S)-2-cyanopyrrolidineasanovelseriesofhighlypotentDPP-IVinhibitors,Bioorg.Med.Chem.Lett.,15,2441–2445(2005).[3]Sakashita,H.,Akahoshi,F.,Kitajima,H.,Tsutsumiuchi,R.,Hayashi,Y.[(S)-γ-(Arylamino)prolyl]thiazolidinecompoundsasanovelseriesofpotentandstableDPP-IVinhibitors,Bioorg.Med.Chem.,14,3662–3671(2006).[4]Sakashita,H.,Akahoshi,F.,Yoshida,T.,Kitajima,H.,Hayashi,Y.,Ishii,S.,Takashina,Y.,Tsutsumiuchi,R.,Ono,S.Leadoptimizationof[(S)-γ-(arylamino)prolyl]thiazolidinefocusedonγ-substituent:IndolinecompoundsaspotentDPP-IVinhibitors,Bioorg.Med.Chem.15,641–655(2007).[5]Yoshida,T.,Sakashita,H.,Akahoshi,F.,Hayashi,Y.[(S)-γ-(4-Aryl-1-piperazinyl)-L-prolyl]thiazolidinesasanovelseriesofhighlypotentandlong-lastingDPP-IVinhibitors,Bioorg.Med.Chem.Lett.,17,2618–2621(2007).[6]Yoshida,T.,Akahoshi,F.,Sakashita,H.,Sonda,S.,Takeuchi,M.,Tanaka,Y.,Nabeno,M.,Kishida,H.,Miyaguchi,I.,Hayashi,Y.Fusedbicyclicheteroarylpiperazine-substitutedL-prolylthiazolidinesashighlypotentDPP-4inhibitorslackingtheelectrophilicnitrilegroup,Bioorg.Med.Chem.,20,5033–5041(2012).[7]Yoshida,T.,Akahoshi,F.,Sakashita,H.,Kitajima,H.,Nakamura,M.,Sonda,S.,Takeuchi,M.,Tanaka,Y.,Ueda,N.,Sekiguchi,S.,Ishige,T.,Shima,K.,Nabeno,M.,Abe,Y.,Anabuki,J.,Soejima,A.,Yoshida,K.,Takashina,Y.,Ishii,S.,Kiuchi,S.,Fukuda,S.,Tsutsumiuchi,R.,Kosaka,K.,Murozono,R.,Nakamaru,Y.,Utsumi,H.,Masutomi,N.,Kishida,H.,Miyaguchi,I.,Hayashi,Y.Discoveryandpreclinicalprofileofteneligliptin(3-[(2S,4S)-4-[4-(3-methyl-1-phenyl-1H-pyrazol-5-yl)piperazin-1-yl]pyrrolidin-2-ylcarbonyl]thiazolidine):Ahighlypotent,selective,long-lastingandorallyactivedipeptidylpeptidaseIVinhibitorforthetreatmentoftype2diabetes,Bioorg.Med.Chem.,20,5705–5719(2012).[8]Schechter,I.,Berger,A.OnthesizeoftheactivesiteinproteasesI.Papain,Biochem.Biophys.Res.Commun.27,157–162(1967).[9]Nabeno,M.,Akahoshi,F.,Kishida,H.,Miyaguchi,I.,Tanaka,Y.,Ishii,S.,Kadowaki,T.AcomparativestudyofthebindingmodesofrecentlylauncheddipeptidylpeptidaseIVinhibitorsintheactivesite,Biochem.Biophys.Res.Commun.,434,191–196(2013).[10]Kim,D.,Wang,L.,Beconi,M.,Eiermann,G.J.,Fisher,M.H.,He,H.,Hickey,G.J.,Kowalchick,J.E.,Leiting,B.,Lyons,K.,Marsilio,F.,McCann,M.E.,Patel,R.A.,Petrov,A.,Scapin,G.,Patel,S.B.,Roy,R.S.,Wu,J.K.,Wyvratt,M.J.,Zhang,B.B.,Zhu,L.,Thornberry,N.A.,Weber,A.E.(2R)-4-oxo-4-[3-(trifluoromethyl)-5,6-dihydro[1,2,4]triazolo[4,3-a]pyrazin-7(8H)-yl]-1-(2,4,5-trifluorophenyl)butan-2-amine:apotent,orallyactivedipeptidylpeptidaseIVinhibitorforthetreatmentoftype2diabetes,J.Med.Chem.,48,141–151(2005).[11]Watanabe,Y.S.,Yasuda,Y.,Kojima,Y.,Okada,S.,Motoyama,T.,Takahashi,R.,Oka,M.,Anagliptin,apotentdipeptidylpeptidaseIVinhibitor:itssingle-crystalstructureandenzymeinteractions,JEnzymeInhibMedChem.,30,981–988(2015).[12]Massova,I.,Kollman,PA.,Combinedmolecularmechanicalandcontinuumsolventapproach(MM-PBSA/GBSA)topredictligandbinding,PerspectDrugDiscov.Des.,18,113–135(2000).[13]Lankas,G.R.,Leiting,B.,Roy,R.S.,Eiermann,G.J.,Beconi,M.G.,Biftu,T.,Chan,C.C.,Edmondson,S.,Feeney,W.P.,He,H.,Ippolito,D.E.,Kim,D.,Lyons,K.A.,Ok,H.O.,Patel,R.A.,Petrov,A.N.,Pryor,K.A.,Qian,X.,Reigle,L.,Woods,A.,Wu,J.K.,Zaller,D.,Zhang,X.,Zhu,L.,Weber,A.E.,Thornberry,N.A.DipeptidylpeptidaseIVinhibitionforthetreatmentoftype2diabetes:potentialimportanceofselectivityoverdipeptidylpeptidases8and9,Diabetes,54,2988–2994(2005).[14]Rummey,C.,Metz,G.Homologymodelsofdipeptidylpeptidases8and9withafocusonlooppredictionsneartheactivesite,Proteins,66,160–171(2007)./////Perspective/Retrospective/////痛風・高尿酸血症治療薬フェプキソスタットの創薬研究を振り返って帝人株式会社近藤研究室近藤史郎1.はじめに)'((年3月に新しk痛風・高尿酸治療薬としてeフェプキソスタット(図()p国内で承認yれた。尿酸合成阻害剤としては約4'年µりの新薬である。今でこそ痛風につkてeその病態や原因物質となるプリン体などの話題pテレビや雑誌に紹介yれe病気の知名度p高sなったpe研究を提案した(0/'年代にはあまり知られてなs市場も小yoった。食習慣の欧米化で近k将来e高尿酸血症や痛風患者p増mることを予測してe期待できる創薬領域としてアピールしたものの社内の賛意はあまり得られずe一人で細gと研究を開始せzるを得なk状況であった。当時はe3NLCIMBRNPIBK3HFLIsRPyやS244などの技術もなse限られた合成工数とe古典的なMFEIDIMBK3HFLIsRPyの手法の中で薬物設計を展開してきた。そのよlな時代にどのよlな考m方でどのよlな化合物を目指したのoとklプロセスにはe現在の創薬にnkても通ずる部分pあるoもしれなkのでe当時の探索研究の考m方や手法を紹介したk。2.探索テーマの設定とリード化合物の探索2.1探索テーマの設定と課題痛風の基礎疾患となる高尿酸血症の治療薬はe尿酸排泄促進剤と尿酸合成阻害剤に大別yれるpe研究着手した当時はeキサンチンオキシドレダクターゼ(AO)を阻害してキサンチンやヒポキサンチンoらの尿酸の生合成を阻害するアロプリノール[1]p市場の大半を占めてkた。尿酸合成阻害剤は世界的にもアロプリノール1剤しoなoったためeこれに代わりlる薬剤を出せば市場性pあると考me本プロジェクトを提案した。しoしeアロプリノールp(0-'年代に上市yれた後e(0.'年代oら/'年代にouてe多数の研究者pより強k合成阻害剤を目指して研究を行った結果e酵素阻害作用はアロプリノールより数十倍oら(''倍ほど高k後続化合物p複数見出yれたpeその中で上市に至ったものはなoったとkl現実pあった。後続化合物p上市に至らなoった理由は不明であったpekÅkÅ調査した結果e多sの研究者pアロプリノールの真の活性を見落としてkたことp一つの要因として考mられた。詳細は省略するpeアロプリノールは基質となるヒポキサンチンの構造異性体でe通常のAO阻害評価試験ではeその作用強度(83,')は約(%.XMと決して強sなk。しoしeアロプリノール自身p細胞内のAOによって代謝yれオキシプリノールになるとe還元型AOに極めて強s結合しeその9E値は(MMと推測yれてkることp判明した(図))[2,3]。後続の化合物は強kものでは('MM程度の83,'を有してkたpeそれでもアロプリノールの真の阻害活性に比べると('倍ほど弱seそのため尿酸低下作用を発揮できなoったと考mられた。したpってe目指すべきAO阻害剤の83,'として(MMoそれ以上の阻害活性を達成yせることを図(%フェプキソスタット図)%アロプリノールの作用点目標とした。またe多sの後続化合物pプリン塩基を利用した構造を持ってnりe副作用のため用量を上vられなoったことも一つの要因として考mられたためe非プリン骨格eoつ酸性oら中性の化合物で(MMを超mる薬剤を目指すことにした。2.2化合物プロフ24ルの設定アロプリノールの活性本体p判明したもののe薬力学的な解析を進めるとe絶望的な気分になった。アロプリノールは基質の構造異性体で分子量p(3-と非常に小yk。吸収率も/'%以上と考mられてkた。yらに活性本体のオキシプリノールの体内半減期p非常に長se一番短k報告でも(.時間であった。仮にe(MMとkl阻害活性p達成できたとしてもe分子量p,''e吸収率/'%e半減期3時間の薬剤ならe単純に計算すると)'倍以上の投与量p必要になる。アロプリノールの臨床用量p(''Lgoら3''Lgであるoらe新薬は),'''Lgoら-,'''Lgp必要となる。そんな新薬を出しても誰も使ってsれなk。yらにe添付文書では承認当時の副作用発症率p4%(%と非常に低kことp報告yれてnりe理想的な慢性疾患の治療薬であった。欠点pあるとするならばe稀に重篤な副作用p報告yれてkることe特に代謝物オキシプリノールp腎排泄性のためe腎不全患者で血中濃度p高まることであった。ただでym当時の痛風薬市場p小yseまたAO阻害とklコンセプトに新鮮味pなse社内の評判p悪oったためeこのよlな状況分析の結果は誰にも言mなoった。しoしeオキシプリノールを経口投与しても尿酸低下作用はほとんど認められなkことoらeオキシプリノールは吸収性(細胞膜透過性)p非常に低kことp推察yれた。すなわちeオキシプリノールp酵素を強力に阻害するとしてもeh一旦細胞外に出てしまmばe細胞内にあるAOの阻害作用を発揮することはなse基本的にはアロプリノール本体の半減期(約3HP)に依存するiと仮定した。そlするとe吸収率0'%e分子量4''e半減期-HPの化合物を合成すれば同等の投与量で薬効p期待yれると考mられた。そこでe気を取り直して以下のよlな目標設定を行った。①AO阻害活性は83,'として(MMoそれ以下でe分子量は4''以下②プリン構造を使わずe核酸代謝への影縣p少なk化合物③腎排泄性を,'%程度に抑mた化合物④経口吸収率は0'%以上でe血中半減期は-時間以上a不斉中心を持たなkb大量流通してkる調達容易な原料を使ってe-ステップ以内の合成プロセスc融点は)''℃程度で安定な化合物上記条件のlちe経口吸収率や腎排泄性は当時の探索評価技術では確認の方法pなoったpeLNgPを)"-'4に設定してnuば概ねクリアできるだÅlと考mてkた。しoし半減期に大きs影縣を与mる薬物代謝は予想の手段pなseoつ血中動態や代謝物を測定することは(0/'年代当時では大変な作業であった。ましてeヒト代謝酵素なども売られてkなoったのでeヒトにnuる薬物動態は推測のしよlpなoった。ひたすら過去の医薬品の代謝物マップを眺めつつeどのよlな置換基や部位p代謝yれるのoを演繹するしo方法pなoった。薬物の代謝ではeメチル基やアセチル基の転移酵素や還元酵素以外ではeチトクロムP4,'による酸化的代謝の寄与p大きk。酸化的代謝を抑mるためにはe代謝yれやすk部位の電子密度を軽減するoe立体障害を利用することp有効と考mた。またe融点p)''℃以上とkl目標設定には明確な根拠はなkpe当時ほoのプロジェクトで融点p低k化合物の製剤安定性p間題になってkたためe)''℃以上あれば間違kなs安定性p確保yれると思k目標に加mた。これらの目標は自分自身にも厳しkクライテリアでありeまたプロジェクトに対する周囲の見方も厳しoったためe探索期間を)年に限定して(0/0年oら合成を開始した。2.3リード化合物の選定とデザ4ンの禁則まずe他の核酸代謝酵素への影縣を排除するためeプリンのよlな含窒素縮合環を排除することにした。過去に合成yれたAO阻害剤を解析するとe必ずしも縮合環である必要はなseむしÅプリン骨格の0位に相当する位置にベンゼン環を持つ化合物p比較的高活性を有してkた。そこで,員環とベンゼン環を単結合で結µデザインでksつoの母核を合成した。一つ一つ母核を作るためe大きs時間を費やしてしまったpe)—フェニル—,—チアゾールカルボン酸に弱kなpらも.3'MMほどのAO阻害活性を認めeこれをリード母核に設定した。またe限られた合成人員(本人のみ)と薬らしk構造の観点oら以下のよlな禁則を作って化合物デザインを限定した。d安全性の面oら・塩基性窒素を使わなk・・・・中枢移行性の回避・ハロゲンの数は3個以内(可能なら1個以内)・・・肝毒性など・抗炎症e高脂血症薬(フィプラート系薬剤)などの部分構造を排除・・・肝毒性などd薬物動態e物性の面oら・代謝yれやすk構造を排除・・・転移酵素の基質e電子リッチなメチルeメチレンなど(特にカルボン酸や水酸基eアミノ基などの極性官能基oら数Aにある脂溶性基)・カルボン酸eアミド結合はそれぞれ1つ以内・・・膜透過性・4級炭素のよlな嵩高k構造を使用しなk・・・膜透過性・共役的な3環化合物は不可・・・溶解速度e分散性・ケミカルに反応性の高k構造の排除・・・易代謝性e安定性これらの禁則は決して明確な根拠はなse独りよpりの論理であるpe多sの医薬品の代謝物や毒性事象を解析して自ら導kた考m方であった。のちにリピンスキールール[4]p登場してEPSg—KIkFMFssとkl言葉p話題を呼µpe上記の自主禁則はeそれに先行しeoつe厳しk規準であったと思l。3.構造活性相関3.1モノ置換フェニルチ3ゾールカルボン酸の構造活性相関初期のモノ置換フェニルチアゾールカルボン酸誘導体の一部の構造活性相関を表(に示す。置換基の導入によりe大きs活性p向上しe目標の(MMを超mる化合物も早gと得られた。ベンゼン環の4位に電子供与性基を導入すると無置換体に比べて阻害活性pやや向上した。一方eニトロ基やトリフルオロメチル基のよlな電子吸引性基を3位に導入すると活性p大きs向上した。3—ニトロ基(,)では83,'値p(4MMでありe無置換体(()に比べ,)倍e3—トリフルオロメチル基(.)では83,'値p'%-3MMと極めて高k酵素阻害活性を示しe無置換体の((-'倍となった。非常に面白kことにeこれらの電子吸引性基を4位に導入するとe活性は大きs低下しe無置換体と同程度の活性であった。カルボキシル基は系中で電子供与基として働sと考mられe4位置換体((')は83,'値p3%)MMと無置換体に比べ))/倍の活性を示しe3位置換体(0)との差も(''倍であった。ベンゼン環の電子密度p活性に影縣を与mることは良s見られることである。特に酵素阻害剤は比較的顕著な構造活性相関p得られることp多k。しoしe本化合物のよlに置換基の位置によってこれほど劇的に変化することはe酵素の構造の厳密yをあらためて感じyせられた。何とoその要因を突き止めよlとekÅkÅ調査してみるとeAOは補酵素としてモリプドプテリンを必要とする酵素でありe基質のヒポキサンチンp酸化yれる反応場の近sにモリプデンとeそれに配位するプテリン誘導体p存在することp分oった。nそらs本化合物群はこのプテリン誘導体との冗—冗相互作用で大きs活性p変化するのではと考mた。すなわちe)—フェニル—,—チアゾールカルボン酸のベンゼン環上に電子雲p広pるもののe置換基の導入によりeベンゼン環の各炭素の荷電に強弱p生まれる。一方eプテリン誘導体も窒素原子の影縣を受uて複素環上の荷電に強弱p発生しe両者plまs重なることで強k相互作用を図3%フェニルチアゾール誘導体表1%モノ置換フェニルチアゾールの構造活性相関NN%R(R)AO阻害作用83,'(MM)(77.3')7373,4'37IsN—PPO)/4IsN—PPO7-.,NO)7(4-7NO)0''.3637'%-3/73633('03O)773)'('73O)73%)((CFMzNyK7()'()7CFMzNyK-%'(374—373—CFMzNyK3%3(43ON7PH—4—3K7(,'(,73ON7PH—4—3K'%3/(-73ON(373)PH—4—3K,''(.73yDKNHFxyKLFRHyKNxy(,(/73yDKNHFxyKOPNOyKNxy3%)(074—6—CFMzyKNxy3()'74—3K—CFMzyKNxy(.アロプリノール(.''生じるのではと考mた。当時はまだコンピュータの計算速度p遅se一つの化合物を解析するのに一晩ooったpe何とo数化合物の分子軌道計算をして電子密度を算出しeプテリン誘導体との相互作用を示唆することpできた(図4)。図4%モリプドプテリンと薬物の相互作用想定図またeベンゾイル基のよlな大きな置換基の場合は電子吸引性基でありなpらe4位置換体(())p3位置換体((()より)'倍高活性となりeベンゼン環上の電子状態による相互作用とは別にe新たな作用点p考mられた。またe4位にアミドを導入すると活性は向上しe4—(4'—クロロフェニル)アミノカルボニル体((,)の83,'p'%3/MMと最高活性を示しe無置換体に比べ約)'''倍近s活性p向上したことoらeπ)の作用点との相互作用p活性に大きs影縣することも示唆yれた。ただしe一般的にIMvIRPNの系では化合物の脂溶性を上vると活性の向上p見られることp多k。酵素阻害評価系はe基本的に目的の酵素と緩衝液だuで構成yれてkるのでe脂溶性の高k化合物は水中にkるよりも酵素表面に集まりやすse見ou上e活性p上昇することも多k。生体内ではe高脂溶性化合物はアルプミンを始めe他のタンパクにも分散するしeまた代謝も早sなる。高脂溶性化合物のIMvIRPN評価結果は真重に解釈する必要pある。3.2ジ置換フェニルチ3ゾールカルボン酸.の転換とinvivo尿酸低下作用モノ置換誘導体を数十化合物ほど合成したとこÅでe一気に(,'''倍以上の阻害活性向上を果しe目標を超mる化合物pksつo得られた。早速eマウスを用kてIMvIvN尿酸低下作用を確認した。そのlちのksつoはアロプリノールを超mる薬効を示すだÅlと考mたpe期待に反しekずれも尿酸低下作用は極めて弱oった。アロプリノールp'%,Lg/kgで血清尿酸値を.'%程度抑mるのに対しe強kものでも('倍の投与量を要した。アロプリノールの大きな壁を感じるとともにe(MM程度あれば薬効p出るとkl仮説p怪しsなった。すでに約束の)年間p過rよlとしてnりe手詰まり感を感じる中でe何とo薬物動態を知りたkと考mた。当時の7PL3の感度ではe一つの化合物の血中濃度推移を測定するためには数十匹のマウスの全血採血p必要であった。またe評価系の確立及び実際の測定で)—3ヶ月の時間p必要であった。とても自分で測定する時間もなseまた他部署にn願kするほどの根拠もなoった。ふと思kつkてe薬物を投与した後e尿酸値を測定するために調製した血清には薬物p含まれてkるoらe血清の酵素阻害活性を評価すればe薬物濃度を推定することpできなkだÅloと評価研究者に相談した。すtに検討したとこÅe('—.Mより強k化合物ならe僅oな血清で大まoな血中濃度を測定できることp分oった。この濃度は活性代謝物も含めての濃度になるpe尿酸値と血中濃度を同時に測定できe基礎的なP9/P4解析には十分であった。投与量や時間推移を検討したとこÅe83,'値の(''倍oら3''倍の血中濃度pあれば尿酸低下作用p発揮yれることp明らoになった。我gの化合物には脂溶性の高kカルボン酸誘導体p多seこれらはnそらsタンパク結合性p高kためe薬効を発揮するにはe83,'値の(''倍以上の濃度p必要だÅlと考mられた。多sの活性化合物は投与後)時間で血中濃度p消失してkたpe3—ニトロ誘導体pe吸収性p悪kもののe非常に長s血中に存在することp明らoとなった。そこでe3—ニトロ誘導体の4位にイソプロピルオキシ基()()を導入して脂溶性をあvてみた。電子効果p打ち消yれてしまke表)ジ置換フェニルチアゾールカルボン酸の尿酸低下作用NN%R(R)AO阻害作用83,'(MM)尿酸低下作用(経口投与)時間後,%),NO)7(4(%',%'Lg/kgLg/kgN5.3%.)(NO)IsN—PPO'%,.'%3(%'Lg/kgLg/kg.)%.0'%'))NO)5RO'%3-'%3(%'Lg/kgLg/kg,.%(.(%4)3NO)O(%4'%3(%'Lg/kgLg/kg.'%-/)%4)4NO)O'%-.'%3(%'Lg/kgLg/kg,)%0,/%/),NO)O)%4'%3(%'Lg/kgLg/kg-(%0.-%))-NO)N(%/'%3(%'Lg/kgLg/kg-/%4./%0).NO)N(%-'%3(%'Lg/kgLg/kg,/%/.-%,)/NO)ON(%/'%3(%'Lg/kgLg/kg-4%.04%(アロプリノール(.'''%3'%,Lg/kgLg/kg3-%4-/%)阻害活性p低下すると思ったpe意外にも阻害活性p上昇するとともにe劇的に尿酸低下作用p強sなりe初めてアロプリノールを超mる薬効を示した化合物にたどり着kた。)度e3度再現性を見たpeその効力に間違kはなoった。その後は3—ニトロe4—アルコキシ基の組み合わせで続gと尿酸低下作用pアロプリノールを超me('化合物以上の開発候補p得られた(表2)。これまでの自分自身の創薬研究の中で最も自信と充実を感じた)o月間であった。3.33創i研究の落とし穴と一発o転しoしeその幸福な時間はあっyり崩れ去った。ニトロ誘導体とklことで変異原性に若干の不安pあったpe3B拮抗剤などではニトロ基を有する化合物p多kのでeksつoは陽性反応pあるとしてもe('以上の候補化合物pあれば大丈夫だÅlと考mてkた。しoし1M5Sテストを実施するとkずれも非常に強k変異原性を示した。慢性疾患の治療薬としてeこの欠点は致命的であった。ニトロ基を他の官能基に置換mれば1M5S試験は陰性であったpe薬効も大きs落ちた。打つ手pなsなりeすでに約束の)年間p過rてしまってkたためeプロジェクトをたたむつもりでkた。しoし今後のためにもe変異原性のメカニズムを知ってnoなuればと考mekÅkÅ調べてみた。明確な経路は明らoでなkもののeニトロ基p還元yれe以下のよlに代謝yれてニトレニウムイオンp生成しeこれp4N1に障害を与mることp推察yれた(図,)。図,%ニトロ基による4N1障害のメカニズムの一例これらの代謝反応もe体内の酵素pニトロ基を認識して行ってkる。だとしたらeニトロ基の周辺の立体障害を大きsしたらeニトロ基の代謝を回避できるのではと考mた。すでに4位に嵩高k官能基も入れてkたpe自由回転可能な炭素原子と嵩高k分岐を入れるデザインをしてe―つの化合物を最後のつもりで合成した(図-)。すると見事に変異原性p消失した。あらためて生体の巧妙ye複雑性に感服したpeプロジェクトは復活した。図-%変異原性を回避するための化合物ニトロ基でも有力な開発候補になると考mられたpeプロジェクトのメンバーp増mたこともありeより安全で高活性な化合物の探索を継続した。その結果eシアノ基でも活性や動態p維持e改善yれることpわoりe最終的にシアノ基を有するフェプキソスタットを選択した。フェプキソスタットの誕生後eoなり後になるpe阻害剤とAOの共結晶解析p実現するとe活性中心の近傍のポケットには良sはまってkるもののe先に述べたよlなモリプドプテリンと図..フェプキソスタットとAOの共結晶解析の相互作用は見られなoった[5]。想定した冗—冗相互作用ではなseロイシンやバリンとの冗—o相互作用であることp明らoとなった。置換基の位置による活性の大きな変化は末だ説明pつoなk。4..終1りにフェプキソスタットはその後e種gの動物モデルで薬効p確認yれ[6,7]e安全性試験や品質試験の基準なども満足しe臨床試験に進んだ。ヒトにnkても明確な尿酸低下作用p確認yれe(日(回e4'Lgの服薬で治療目標の血漿尿酸値-Lg/ELを多sの患者yんで達成できるよlになった。あらためて振り返ってみると当初kÅkÅ設定したクライテリアはほぼ達成yれてkる。酵素阻害作用は83,'p'%-MMと(MMを切ってnりeまた分子量は3(-で目標の4''を大きs下回ることpできた。LNgPも実測値としてO7.で)%)ほどでeヒトの半減期も.時間以上あることp確認yれた。放射能を用kたヒト尿糊バランス試験ではほぼ半分ずつ排泄yれてe軽度oら中等度の腎障害のある患者yんでも投与量の調σは必要なkとyれた。融点も)'/℃で安定な結晶でありe原薬製造や製剤・品質試験でも有利であった面は多kと思われる。創薬研究では活性目標をクリアしe治療コンセプトを検証することpπ一義であることは言lまでもなk。しoし薬剤として開発する以上e動態や物性e安全性など多sの面で合格点でなkとkuなk。当時の化合物プロファイルの設定は極めて感覚的でe明確な根拠を作れなoったpe現在はkÅkÅな評価方法や推測手段p可能になってkる。今後少しでも精度p高seoつ論理的e合目的な目標を構築してkきたk。謝n本プロジェクトの実施にあたりeアロプリノールの作用の本質に関するx助言とともにeXO阻害剤の研究に関しe多大なx指導ex助言をkただkた日本医科大学名誉教授の西野武士先生e及び准教授の岡本研先生に深s感謝申し上vます。またe探索研究初期の厳しk状況の中でe当初oら薬効評価をしてkただkた故上本雅弘博士に感謝申し上vます。参考文献[1]Elion,G.B.,Callahan,S.,Nathan,H.,Bieber,S.,Rundles,R.W.&Hitchings,G.H.Potentiationbyinhibitionofdrugdegradation:6-substitutedpurinesandxanthineoxidase,Biochem.Pharmacol.12,85–93(1963).[2]Massey,V.,Komai,H.,Palmer,G.&Elion,G.B.Onthemechanismofinactivationofxanthineoxidasebyallopurinolandotherpyrazolo[3,4-d]pyrimidines,J.Biol.Chem.245,2837–2844(1970).[3]Massey,V.,&Edmondson,D.Onthemechanismofinactivationofxanthineoxidasebycyanide,J.Biol.Chem.245,6595–6598(1970).[4]Lipinski,C.A.,Lombardo,F.,DominyB.W.Feeney,P.J.Experimentalandcomputationalapproachestoestimatesolubilityandpermeabilityindrugdiscoveryanddevelopmentsettings,Adv.Drug.DeliveryRev.23,3-26(2001).[5]Okamoto,K.,Eger,BT.,Nishino,T.,Kondo,S.,Pai,EF.,Nishino,T.Anextremelypotentinhibitorofxanthineoxidoreductase:crystalstructureoftheenzyme-inhibitorcomplexandmechanismofinhibition,JBiolChem.278(3),1848-55(2003).[6]Komoriya,K.,Osada,Y.,Hasegawa,M.,Horiuchi,H.,Kondo,S.,Couch,RC.,Griffin,TB.HypouricemiceffectofallopurinolandthenovelxanthineoxidaseinhibitorTEI-6720inchimpanzees,EurJPharmacol.,250(3),455-60(1993).[7]Osada,Y.,Tsuchimoto,M.,Fukushima,H.,Takahashi,K.,Kondo,S.,Hasegawa,M.,Komoriya,K.Hypouricemiceffectofthenovelxanthineoxidaseinhibitor,TEI-6720,inrodents,EurJPharmacol.241(2-3),183-8(1993)./////SARPresentationAward/////