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SARNews No.9

SARNews_9

構造活性相関部会・ニュースレター<1October2005>SARNewsNo.9「目次」///Perspective/Retrospective///NMRスクリーニングとFragment-basedDrugDiscovery黒木保久・・・2///CuttingEdge///ヒドロキシベンザルアセトン類の抗酸化活性のQSAR―ClassicalQSAR,QuantumChemicalQSARおよびCoMFA―山上知佐子・・・7///Activities///<報告>・構造活性フォーラム2005高木達也・・・12・SARPromotionAward設立のお知らせ赤松美紀・・・13<会告>・第33回構造活性相関シンポジウムプログラム・・・14・酵素阻害剤創製のためのBio-Chemo-Informatics・・・18/////Perspective/Retrospective/////NMRスクリーニングとFragment-basedLeadDiscoveryCambridgeIsotopeLaboratories,Inc.黒木保久1.はじめにNMRスクリーニングとは簡潔に言えば、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を利用した化合物評価方法のことである。大きくは、相互作用する化合物を検出するLigand-detectedNMRと、標的蛋白質を測定するProtein-detectedNMRの2つに分類される。VertexPharmaceuticals社のLepreらが発表した”TheSHAPEstrategy”[1]はLigand-detectedNMRのことで、AbbottLaboratories社のFesikらが発表した”SARbyNMR”[2]はProtein-detectedNMRを指す。彼らの発表後、多くの研究者によって様々な工夫が施され、今やFragment-basedLeadDiscoveryを行うための重要な創薬手段の1つとして認知されている[3]。2.Fragment-basedLeadDiscoveryは構造活性相関の有用性を再認識させた右図は化合物の分子量と薬理活性の関係を模式的に示したものである。High-ThroughputScreening(HTS)はIC50リード化合物を探索する良いスクリーニング方法ではあったが、幾つかの問SAR題点もあった。a)結果の良し悪しは、スクリーニングする化合物数と構造の多様性に依存した。そのため多様性に分子量富んだ化合物を数多く合成したり購入する必要があり、高額の研究コストを要した。また多様性(diversity)と複雑さ(complexity)を混同し、化合物を無用に複雑化したことで更にヒット率を下げるケースも多々見られた[4]。b)アッセイの質の問題も指摘された。即ちスピードを求めると正確さは低下し、正確さを求めるとスピードは落ちた。そして生物データの不正確さは構造活性相関に相応しくないことは申すまでもない。c)ヒット化合物も4つに3つぐらいの割合でドロップアウトした。ヒット化合物は当初から分子量が中程度で複雑な構造な場合が多く、分子量をそのままか削る方向で活性を高めていくことは創薬化学者に多大な苦労を強いた。近年、薬理活性は弱くても低分子化合物(Fragmentsと呼称されているが、ScaffoldsやNeedlesといった薬理活性に重要な母核の同義)をリード化合物として探索するFragment-basedLeadDiscoveryが注目を浴びている。メリッKd~10-3トは、a)低分子化合物(MW=100~250)に絞っているので、化合物数は多くて1万~5万化合物で済む。b)幾つかの構造の異なる低分子化合物をつなげて更Kd<10-8Kd~10-4に高活性な化合物をデザインすることも可能である。(右図参照)c)低分子リード化合物はHansch-Fujita法によるQSAR、Pharmacophoreモデルの構築、EMIL[5]による構造展開、など最適化がやり易い。かくしてFragment-basedLeadDiscoveryは構造活性相関の有用性を再認識させてくれた。しかしこの欠点として薬理活性の弱い(10μM-mMrange)化合物はスクリーニングが容易ではない。3.NMRスクリーニングはFragment-basedLead評価方法の1つFragment-basedLeadの評価方法として、下記に5つの代表的な評価方法を挙げる。①高濃度HTS法(High-concentrationscreening=HCS)②表面プラズモン共鳴法(SurfacePlasmonResonance=SPR)③NMRスクリーニング法④液体クロマトグラフ・タンデム質量分析法(LC/MS/MS)⑤X線結晶構造解析スクリーニング法3-1)高濃度HTS法(HCS)HCSは単に高濃度でスクリーニングを通常の生化学アッセイで行う方法である。しかし標的蛋白質との非選択的相互作用に基づく擬陽性と化合物の溶解性に基づく擬陰性が多く見られる問題がある。そこでPlexxikon社は溶解性の高い低分子化合物(Fragments)を選択することにより、約200μM濃度でスクリーニングした。予期される擬陽性はX線結晶構造解析を行い薬物レセプター立体構造を同定することにより控除した[6]。X線結晶構造解析の結果からPharmacophoreモデルを作成することも可能で良い手法ではあったが、手間とコストがかかる欠点がある。Plexxikon社のアプローチは後述するX線結晶構造解析スクリーニング法に通じている。3-2)表面プラズモン共鳴法(SPR)SPRはビアコア(Biacore)を用いて、センサーチップ上に固定した蛋白質に薬物を流し、相互作用を光学的に検出する方法である[7]。古い機種では比較的大きな分子しか検出できなかったけれども、今では低分子も検出できるように改良されている。擬陽性(ターゲット蛋白質との非選択的相互作用や検出器が読み違いするため)の問題はあるため敬遠する研究者もいるが、実際にスクリーニング結果を見ると擬陽性の頻度はHCSほどでもなく有用な評価方法である。3-3)NMRスクリーニング法相互作用する薬剤を検出するLigand-detectedNMRと、標的蛋白質を測定するProtein-detectedNMRでは方法が異なる。Ligand-detectedNMRは1Hもしくは19F-NMRで評価化合物のピークを測定する[8]。蛋白質と相互作用していない化合物は蛋白質非存在下のピークと同じだが、レセプターと結合している化合物は遮蔽効果によるブロードニングを起こしピークが小さくなる。前図にその一例を示す。相互作用していないニコチン酸は蛋白質投与前(上段ピーク)と投与後(下段)で変化は見られないが、結合している2-フェノキシ安息香酸ではブロードニングを起こしピークが小さくなっている[9]。この方法の利点は、a)非選択的相互作用による擬陽性や化合物難溶性による擬陰性がないこと、b)複数化合物の混合系でもスクリーニングできることが挙げられる。1日に評価できる化合物数は通常50~500化合物/台と、それほど処理能力は高くない。一方、Protein-detectedNMRは1H/15Nもしくは1H/13Cの2次元NMRでラベルされたターゲット蛋白質のピークを測定する[10]。右図はその一例である。リガンドの添加前(黒ピーク)と添加後(赤ピーク)を比較すると、化合物と相互作用していない蛋白質アミノ酸残基のピークは化合物添加前のピークと同じケミカルシフトだが、化合物と相互作用しているアミノ酸残基(Ile219)はケミカルシフトが有意に変化している[11]。この方法の利点は、a)非選択的相互作用による擬陽性や化合物難溶性による擬陰性がないことと、b)リガンドとレセプターの結合様式が推定できることである。また1日に評価できる化合物数も>1000化合物/台とLigand-detectedNMRより多く測定できる。しかし短所としてラベルされた蛋白質を別途調製する必要があり、スクリーニングに要する蛋白質の量もLigand-detectedNMRより多く必要とする。以前は35kDaまでの蛋白質しか測定できなかったが、現在では高分解能NMR(800-900MHz)とTROSY法を組み合わせることにより100kDaまで測定できるようになった。Protein-detectedNMR(SARbyNMR)は、CombinatureBiopharm社がAbbottLaboratories社より技術に関する全世界のライセンスを譲り受け、NMRスクリーニングを受託している。3-4)液体クロマトグラフ・タンデム質量分析法(LC/MS/MS)標的蛋白質に結合した化合物を質量分析器で検出する方法だが、これにも色々な手法がある。例えばSunesis社のTethering法は、低分子化合物(Fragments)をS-S共有結合でつなぐ手法で反応させ、S-S結合切断後にLC/MS/MSで化合物を検出する方法である。(下図参照)しかしTethering法では標的蛋白質の活性部位近傍にシステイン残基があることが必須であった。また測定濃度は20-50μMと通常の生化学アッセイと比べてそれほど高濃度を検出できる評価系ではない。それは高濃度にすると擬陽性(標的蛋白質との非選択的相互作用や検出器が読み違いするため)と擬陰性(化合物の溶解性のため)の問題があったからである。一方、NeoGenesis社(2005年1月にSchering-Plough社が買収)のALISという方法は実用的であった。この方法は元々Chiron社が考えた手法で、ペプチドを低分子化合物に変えただけである。RRRSSSSOSSROHまず標的蛋白質と数千の化合物混合物を溶液中で混ぜ、HPLCでフリー蛋白質とリガンドが結合した蛋白質を分離する。リガンドが結合した蛋白質は有機溶媒を加えて、リガンドと蛋白質に乖離させる。最後にLC/MS/MSで乖離したリガンドの構造を決定するというものである。しかし彼らはFragment-basedLeadの評価方法としてではなく、分子量550以下の化合物をスクリーニングする一般的なHTSと同じ使い方しかしていなかった。その後ISISPharmaceuticals社のSwayzeらによりFragment-basedLeadの評価方法として応用され、”SARbyMS”と呼称されている[12]。3-5)X線結晶構造解析スクリーニング法HighThroughputX-rayCrystallographyという技術と掛け合わせてX線結晶構造解析で結合する低分子化合物を探索し化合物の結合様式などを評価する方法である。AstexTherapeutics社のJhotiらは300余りの低分子化合物(MW=100-250)をX線スクリーニングしMAPキナーゼなどの阻害剤を見い出している[13]。得られた結果はStructure-baseddrugdesignに応用できる利点がある反面、スクリーニングに多くの蛋白質を要するなど手間とコストの掛かる上、結晶しやすさの観点から全ての蛋白質に応用できる訳ではない。4.今後はNMRスクリーニングのスピードがポイント小職は2000年のACS年会でVertexPharmaceuticals社のLepre氏の講演に感化され、自ら阻害剤と標的蛋白質との相互作用をNMRで測定したことがある。当時学会で同席した岩間氏(萬有製薬)や竹ノ内氏(帝人)と同手法の創薬における有用性について絶賛したことを今でも鮮明に記憶している。それから5年後、幸運にもLepre氏と面談し同社のNMR研究施設を見学させて頂く機会に恵まれた(CIL社は安定同位体の分野で世界のトップメーカーで、NMRを利用している企業や大学の研究者とコネクションがある)。彼らは独自の装置を使って、NMRスクリーニングの自動化を行っていた。また昨年Tecan社からNMRスクリーニングの自動測定装置が発売され、AstraZeneca社が導入している。以前小職が試みた際は手作業で測定したため、1日にわずか数検体しか測定できずスクリーニングに応用できなかった苦い記憶から、測定自動化によるスピードアップが応用するためのポイントとなると思われる。また現在ではラベルされた蛋白質の合成も、小麦胚芽無細胞合成系や、高効率15N,13C,D-ラベル培地(BioexpressR)を利用することによりハイスループットで調製できるようになっている。最後にPharmacogenetics(PGx)により多くの創薬ターゲットと”decision-making”できるバイオマーカーが見つかってきている。10年前とは異なり、活性が弱くてもバイオマーカーの動きを追うことにより、比較的容易に作業仮説の証明(proof-of-concept)ができるようになった。こういった背景もFragment-basedLeadDiscoveryが盛んに行われるようになった理由と思われる。HTS、NMR、LC/MS/MS、SPR、X線結晶構造解析、そして今回割愛したがinsilicoスクリーニングを効果的に組み合わせることで、開発候補化合物に誘導できるリード化合物が合理的に探索できると認識している。5.参考文献[1]FejzoJ,etal.,TheSHAPEstrategy:anNMR-basedapproachforleadgenerationindrugdiscovery.Chem.Biol.1999,6,755.[2]Shuker,SBetal.,Discoveringhigh-affinityligandsforproteins:SARbyNMR.Science,1996,274,1531.[3]Ferna´ndezC,etal.,NewapproachesforNMRscreeningindrugdiscovery.DrugDiscov.Today:Technology2004,1,277.[4]HannMM,etal.,Molecularcomplexityanditsimpactontheprobabilityoffindingleadsfordrugdiscovery.J.Chem.Inf.Comput.Sci.,2001,41,856.[5]FujitaT.,Similaritiesinbioanalogousstructuraltransformationpatternsamongvariousbioactivecompoundseries.Biosci.Biotechnol.Biochem.1996,60,557.[6]CardGL,etal.,Afamilyofphosphodiesteraseinhibitorsdiscoveredbycocrystallographyandscaffold-baseddrugdesign.Nat.Biotechnol.2005,23,201.[7]YoshitaniN,etal.,Astructure-basedstrategyfordiscoveryofsmallligandsbindingtofunctionallyunknownproteins:combinationofinsilicoscreeningandsurfaceplasmonresonancemeasurements.Proteomics2005,5,1472.[8]LepreCA,etal.,Chem.Rev.2004,104,3641.[9]PengJW,etal.,MethodsEnzymol.2001,338,202.[10]PellecchiaM,etal.,NMRindrugdiscovery.Nat.Rev.DrugDiscov.2002,1,211.[11]SzczepankiewiczBG,etal.,Discoveryofapotent,selectiveproteintyrosinephosphatase1Binhibitorusingalinked-fragmentstrategy.J.Am.Chem.Soc.2003,125,4087.[12]SwayzeEEetal,SARbyMS:aligandbasedtechniquefordrugleaddiscoveryagainststructuredRNAtargets.J.Med.Chem.2002,45,3816.[13]HartshornMJ,etal.Fragment-basedleaddiscoveryusingX-raycrystallography.J.Med.Chem.2005,48,403./////CuttingEdge/////ヒドロキシベンザルアセトン類の抗酸化活性のQSAR―ClassicalQSAR,QuantumChemicalQSARおよびCoMFA―元神戸薬科大学山上知佐子1.はじめにサプリメントブームの昨今Curcumin(ウコンの活性成分)が注目を集めている.数年前、我々は種々の有用な活性を示すCurcumin関連化合物のQSARに興味を持ち研究に着手した.幸い半分の構造をもつDehydrozingerone(halfcurcumin,4-Hydroxy-3-methoxy-benzalacetone)にも抗酸化活性や抗炎症作用,抗腫瘍活性等が報告されていることから2-or4-Hydroxybenzalacetoneを基本骨格とする誘導体の抗酸化活性を測定し,種々の解析法で解析したQSAR結果を比較検討した.フェノール類の抗酸化活性についてはおびただしい数の報告があり,chainreactionにより次に示すように過酸化脂質ラジカルがフェノールにより消去されるために活性が発現すると考えられている.LOO.+ArOHLOOH+ArO.しかし活性値と構造の関係については,水酸基の数が多いほど活性が高くなる例が多く,また電子供与性基があると活性が高くなるとかフェノール性水酸基の近くに嵩高い置換基が必要であるとかいわれているが,実際に詳しいQSARを行った例は中尾らの報告1)等の少数例を除くと意外に少ない.本研究では定性的に知られているこれら構造的要因の正当性を確かめる目的で次に示すHydroxybenzalacetonesについてベンゼン置換基の物理化学的性質と活性との関係を定量的に解析した.次いでMO計算によるパラメータを用いた解析,CoMFA解析等,いわゆるcomputerassistedchemistryによるapproachがどの程度classicalQSARの結果と整合性を示すかを調べた.Y5656transtrans4CH=CHCOCH3HO1CH=CHCOCH31473232X,Y7OHX2OH-BZ4OH-BZ2.抗酸化活性の測定とパラメータ2.1.活性値ウサギ赤血球ゴースト(RBC)をOH-BZ共存下t-Butylhydroperoxide(BuOOH)により酸化またはγ線照射(γ-irradiation)した時にRBCの膜脂質過酸化を50%抑制するOH-BZのモル濃度(IC50)を抗酸化活性の指標とした.さらにDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazilradical)を用いて,OH-BZのフリーラジカル消去能を測定した.DPPHのメタノール溶液に種々の濃度のOH-BZを加え,15分後にDPPHを50%消去するOH-BZ濃度を求めた(25℃,513nm).結果をTable1に示す.2.2.パラメータ電子的パラメータはOH基から見た置換基のσ+値を用いた.ただしσ+(ortho)=σ+(para)と仮定した.置換基が複数ある時は加成性を仮定し,すべての置換基のσ+値の和をとった.立体的パラメータ(Es)はOH基のortho置換基にのみ適用した.両ortho位に置換基が存在する時は両者の和をとった(σ+,EsについてはTable1参照).2OH-BZと4OH-BZの同時解析を行うため後者に対しIp=1を当てるindicatorvariableを導入した.OH基が二つある時は2-or4-OH基を反応中心,それ以外を置換基として扱った(その方が逆の場合より相関が高かった).MOパラメータはsemi-empiricalMOを用い,AM1,PM5法により計算した.CoMFAによる計算はSybyl6.8,AdvancedCoMFAmoduleを用いて行った.Table1.Activitiesandphysicochemicalparametersforhydroxybenzalacetoneslog(1/IC50)aσ+bEscNo.Substituent(s)HBIpBuOOHγ-irradiationDPPH(Σσ+)*(ΣEs)*2OH-BZ1H3.8244.4232.4070.000.000023-Me4.2745.4403.684-0.31-1.240033-t-Bu4.7935.6624.225-0.26-2.780043-F3.6904.2911.883-0.07-0.460053-OMe4.6045.4882.649-0.78-0.551063-OEt4.4345.4792.736-0.81-0.551073-OH4.5735.7085.341-0.92-0.550084-OMe3.5424.4492.4860.050.000095-Me4.1025.0973.056-0.310.0000105-t-Bu4.2055.0702.725-0.260.0000115-Cl3.7904.2201.6490.110.0000125-OMe4.2125.4004.691-0.780.0000135-OH4.4875.8455.111-0.920.0000143,5-di-Cld-d-2.4780.22*-0.9700153,5-di-t-Bud-d-4.544-0.52*-2.78004OH-BZ16H3.2564.1800.9700.000.0001173-OMe4.3014.9394.534-0.78-0.5501183-OH4.4395.6315.123-0.92-0.5501193,5-di-Me4.5825.1994.600-0.62*-2.48*01203,5-di-OMe4.7645.5994.628-1.56*-1.10*11aIC50:M.bΣσ+=σ+(X)+σ+(Y).cΣEs=Es(X)+Es(Y).dNottestedbecauseoflowsolubilityofthecompounds.3.QSAR解析結果と考察フェノール類の抗酸化活性の強さはベンゼン環置換基のσ+とよく相関する例が多いことがHanschらにより報告されている.2)今回の系でも種々のパラメータの組み合わせを試した結果,σ+をEsとともに用いた時に最良の結果を得た.2OH-BZのみについて解析したところ,BuOOH,γ線照射の酸化系に対し,Eq.1,Eq.2が得られた.3)BuOOHlog(1/IC50)=.0.745(±0.255)σ+.0.276(±0.124)Es+3.763(±0.151)(1)n=13,r=0.933,s=0.153,F=33.8,q2=0.751γ-irradiationlog(1/IC50)=.1.279(±0.357)σ+.0.292(±0.174)Es+4.466(±0.212)(2)n=13,r=0.942,s=0.214,F=39.1,q2=0.825全化合物(2OH-BZ+4OH-BZ)に対してはIpを導入することにより良好な相関式Eqs.3-4が得られた.BuOOHlog(1/IC50)=.0.763(±0.189)Σσ+.0.277(±0.099)ΣEs(3).0.338(±0.191)Ip+3.755(±0.125)n=18,r=0.948,s=0.153,F=41.2,q2=0.829γ-irradiationlog(1/IC50)=.1.091(±0.322)Σσ+.0.229(±0.169)ΣEs(4).0.523(±0.325)Ip+4.571(±0.213)n=18,r=0.909,s=0.261,F=22.1,q2=0.678ここに化合物19,20以外はΣσ+=σ+,ΣEs=Esである.加成性の取り扱いからは,Σσ+の中に固定置換基(CH=CHCOMe)のσ+を含めるべきであるが,この置換基は2OH-BZと4OH-BZにおいてOH基のortho位とpara位に位置するため寄与が全化合物で等しくなり定数項に含まれると考えられる.同様に2OH-BZのΣEs項についてはEs(CH=CHCOMe)を含めるべきであるが,2OH-BZの化合物に共通の寄与であるためIp項に含まれると考えられる.Eq.1とEq.3およびEq.2とEq.4の式中の対応する係数がよく一致していることから,ここに用いた簡単化のための仮定は妥当であると考えられる.活性の発現にはOH-BZの膜透過が必要であるため,当初logP項が必要であろうと予想していたが実際にはlogP項を加えても相関は改善されなかった.さらに有意の項を加えて相関を改善することは可能であろうが,サンプル数が少ないためこれ以上の項の追加は危険と考え,Eqs.3-4をRBC系の抗酸化活性のQSARとした.以上の解析結果から活性を高める要因を予想することができる.すなわち,σ+項とEs項の係数がともに負であることから,(1)ベンゼン環上に電子供与性基を導入する,(2)フェノール性水酸基の近辺に嵩高い置換基を導入する,ことにより高活性化合物を得ることが期待できる.抗酸化活性の第一次スクリーニングとして次のようなDPPHを用いたフリーラジカル消去能testがよく行われるが,今回の結果ではRBC系の抗酸化活性とDPPH-testの間の相関は高いとはいえない(r=0.7~0.8).DPPH.+ArOHDPPH:H+ArO.そこで両者の関係を調べるためDPPH系についても同様の解析を試みた.上述の解析と同じパラメータを用いて解析すると顕著なズレを示す化合物(5,6,20)があり,これらにHB=1となるindicatorvariableを導入すると良好な相関式Eq.5が得られた.DPPHlog(1/IC50)=.2.979(±0.432)Σσ+.0.350(±0.166)ΣEs.2.220(±0.501)HB(5).0.297(±0.378)Ip+2.272(±0.238)n=20,r=0.975,s=0.311,F=71.4,q2=0.926HB項を要求する化合物にはFig.1に示すようにOH基の両ortho位に置換基を有し,少なくとも一方にフェノール水素と分子内水素結合できるOR基(R=Me,Et)を持つという共通点がある.従ってHB項の物理化学的意味は,その係数が負であることから分子内水素結合が活性を低下させることを意味していると考えられる.HB項がRBC系のQSARX(orCH=CHCOMe)では有意でなくDPPH系でのみ有意になる理由はassayの際の溶媒系の差にあると考えられる.DPPHはMeOH中で測定されたのに対し,RBC系のassayは極性の高いDMSOを少量O含む水溶液中で行っており,分子内水素結合よりむしろ溶媒と嵩高いortho位置換基の存在が活性値を増強する.これはFig.2に示したように電子供与性基の導入がフェノキシラジカル(遷移状態において幾分電子不足)の生成を容易にし,OH基まわりの置換基がもたらす立体障害が生成したフェノキシラジカルを安定化することを意味している.この解析結果から考察すると,ジヒドロキシ体の活性が高いのは,二つ目のOH基が強力な電子供与性置換基として,さらに化合物によってはortho置換基として活性を増強させる役目を果たしている結果であるといえる.Σσ+項の係数(ρ)がEqs.3-5において変化しているのに対し,ΣEsのそれはよく似た値であるのは興味深い.一旦生成したフェノキシラジカルの安定性に及ぼす立体効果は主にフェノキシラジカルの構造自体で決まるので実験条件の差は余り影響しないと予想される.|ρ|の値はDPPH系の方がはるかに大きい.この理由は溶媒系の差も一因であろうが,DPPHラジカルの方が過酸化脂質ラジカルより安定なためOH-BZとの反応に対する選択性が高まり,より大きい置換基効果を示すとも考えられる.との水素結合による安定化が優先することを示唆しているROHのではないかと思われる.HB項を除けばRBC系(Eqs,3-4)とDPPH系(Eq.5)の結果は同じ要因に支配されていることがわFig.1Hydrogen-bonding(HB=1)かる.すなわち,抗酸化活性もDPPH消去能も電子供与性基以上の結果から,RBC系から得た抗酸化活性の強さとDPPHラジカル消去能の間に直接の相関が認められない時でも,QSAR解析を行うことにより両者が同じ物理化学的要因に支配されていることを明らかにすることができた.本研究の解析結果は中尾らの報告とよく一致している.すなわち中尾らはhydroxyphenylurea類の抗酸化活性をラット脳ホモジネートを用いて測定し,活性が主として電子効果(σ+)と立体効果(Es(AMD))によって説明されることを見出した.1)化合物もassay系も異なる両者が同質のQSARを与えたことは非常に重要で,フェノール類の抗酸化活性発現の作用機構がともにフェノールのラジカル消去能に支配されていることを示唆している.ClassicalQSAR解析は結果の物理化学的意味が明確で,特に反応(作用)機構の考察に有用な手法であるが,empiricalに求められたパラメータを用いるためパラメータ値が既知でない化合物の解析ができない弱点がある.もし計算でパラメータが得られればどんな化合物でも解析でき可能性が広がるであろう.そこで電子的パラメータとしてMO計算で得られるパラメータを用いることを試みた.抗酸化活性と相関があると考えられているパラメータにはHOMO-energy(EHOMO),フェノール酸素原子上のHOMOフロンティア電子密度(FH,O),O-H結合解離エネルギーなどがある.中尾らはフェノール水酸基の反応性を示す指標としてR(Ophenol)=-100xFH,O/EHOMOで定義されるパラメータ(superdelocalizability),R(Ophenol),を提案している.1)これらのパラメータを中心にその他の考え得るパラメータを種々検討した結果,EHOMOとFH,Oを同時に用いた時に次に示すような最良の相関式が得られた(AM1とPM5は同等の相関式を与えたのでここではPM5の結果のみ記す).4)BuOOHlog(1/IC50)=1.466(±0.591)EHOMO+5.170(±1.899)ΣFH,O.0.315(±0.109)ΣEs(6).0.297(±0.213)Ip+16.36(±5.28)n=18,r=0.942,s=0.168,F=25.4,q2=0.756γ-irradiationlog(1/IC50)=2.312(±0.566)EHOMO+8.036(±1.816)ΣFH,O.0.283(±0.104)ΣEs(7).0.495(±0.204)Ip+24.43(±5.05)n=18,r=0.969,s=0.160,F=49.8,q2=0.869ここでΣFH,OはOH基が二つある時(7,13,18)には両酸素上でのFH,Oの和をとることを意味する.得られた相関式の妥当性はEq.6とEq.7におけるΣEsとIpの係数がEq.3とEq.4の対応する係数とほぼ一致していることから支持される.EHOMOとΣFH,Oの係数が正であることは,HOMOのレベルが高いほど,またフェノール酸素原子上のHOMO-フロンティア電子密度が高いほどフェノキシラジカルが生成しやすいことを示しており,classicalQSARと矛盾しない知見が得られた.次に,立体パラメータも含め完全に計算のみで解析するためにCoMFAによる解析を試みた.2OH-BZの1,2,4,7と4OH-BZの3,4,6,7の各原子を重ね合わせ,CoMFAfieldtermselectrostatic,stericを用いて解析したところ,BuOOH酸化系については良好な相関が得られたが,γ線照射の場合は有意な相関が得られなかった.他の解析法では両酸化系で同程度の精度の相関が得られていることから,得られたCoMFA解析結果は妥当でないと判断した.CoMFA解析では電子的パラメータとしてatomiccharge(Q)を用いているが,quantumchemicalQSAR解析においてQが有意なパラメータでなかったことを考えると,この点に工夫の余地があると考えられる.そこでEqs.6-7と同様,CoMFA解析においてもQのかわりにEHOMOとΣFH,Oを用いて解析したところ,両酸化系に対して統計的に有意な相関が得られた.4)PM5についての結果を次に示す.BuOOHlog(1/IC50)=1.200EHOMO+4.330ΣFH,O+[CoMFAstericfieldterm]+10.94(8)n=18,CN=4,r2=0.842,s=0.198,q2=0.756,sCV=0.168,RC(%):EHOMO=0.238,ΣFH,O=0.246,steric=0.516γ-irradiationlog(1/IC50)=2.163EHOMO+7.311ΣFH,O+[CoMFAstericfieldtrm]+19.98(9)n=18,CN=4,r2=0.902,s=0.203,q2=0.768,sCV=0.312,RC(%):EHOMO=0.306,ΣFH,O=0.295,steric=0.399(CN:numberofcomponent,sCV:standarderroroftheleave-one-outcrossvalidation,RC:relativecontribution)Stericfieldを図示すると(図省略),OH基のortho位に立体的に有利な領域が現れてclassicalQSARの解析結果を再現できたが,OH基のpara位周辺に立体的に不利な領域が現れた.ここは4OH-BZの嵩高い固定置換基が存在する場所にあたり,4OH-BZの活性が対応する2OH-BZに比べ相対的に低いことを反映してたまたま現れた領域である可能性が高い.CoMFA法は基本骨格の異なる化合物群を同時に解析できるメリットがあるが,今回のケースではclassicalQSARの方がrationalな結果を与えた.以上,Hydroxybenzalacetone誘導体の抗酸化活性の解析を異なるアプローチで試みたが,classicalQSARを行うことにより,活性を高める構造上の具体的条件を明らかにすることができた.さらに得られた相関式を精査することにより,作用機構に関する知見が得られた.RBC系とDPPH系に対する活性値は,直接の相関関係は低かったが,解析結果を比較することにより両反応は溶媒効果が異なるだけで同じ要因に支配されていることが示された.電子的パラメータとしてMOパラメータを用いた解析からも有意な相関式が得られ,活性増強のための具体的な構造の予測は難しいものの作用機構に関してはclassicalQSARと同等の情報が得られた.CoMFA法はコンピュータによる計算のみで解析できるメリットがあり,統計的にはほぼ満足すべき相関が得られたが,ノイズ的な結果も一部含まれているようで,結果の取り扱いに注意して利用しなければならないことが示された.4.謝辞本研究を行うにあたり,CoMFA解析をご担当いただいた京都大学・赤松美紀助教授に深謝いたします.また解析に関し,種々有益なご助言をいただきました,田辺製薬・清水良博士,中尾和也博士,ならびに徳島大学・中馬寛教授に厚く御礼申し上げます.最後に本稿執筆の機会を与えて下さいました本誌編集委員の方々に感謝いたします.5.参考文献1)NakaoK.,ShimizuR.,KubotaH.,YasuharaM.,HashimuraY.,SuzukiT.,FujitaT.,OhmizuH.,Bioorg.Med.Chem.,1998,6,849.868.2)HanschC.,GaoH.,Chem.Rev.,1997,97,2995-3059.3)YamagamiC.,MotohashiN.,EmotoT.,HamasakiA.,TanahashiT.,NagakuraN.,TakeuchiY.,Biorg.Med.Chem.Lett.,2004,14,5629.5633.4)YamagamiC.,AkamatsuM.,MotohashiN.,HamadaS.,TanahashiT.,Biorg.Med.Chem.Lett,.2005,15,2845.2850./////Activities/////「構造活性フォーラム2005」報告(大阪大学大学院薬学研究科高木達也)構造活性相関講習会から通算7回目、構造活性フォーラムと名称を変更してから3回目の構造活性フォーラム2005が、6月28日(火)に千里阪急ホテルで、大阪大学医学研究科の井上修先生、藤原英明先生のお世話で開催されました。今回は構造活性相関に関連する最新の先端的話題として、「脳科学研究と創薬の接点をみる」をテーマとして、脳科学研究および関連領域が取り上げられました。この分野では、生体イメージングのように今までなじみの薄かった方法論が急速に進展しており、注目を集めています。そこで、創薬の新展開につながる接点を見つけるべく、薬物動態・生体イメージング・治療薬開発に焦点を絞って講演会が企画されました。この分野の最前線で活躍されている5名の先生方に、専門家以外にも分かり易いようにご講演頂くと共に、総合討論で活発な議論が展開されました。また、多数の参加者の方(一般47名、学生25名、懇親会34名)にご来聴いただき、懇親会でも活発な議論が交わされました。今後、高齢化社会が進展するにつれ、認知症を始め、脳科学の重要性はますます増していくことと思われます。同時に、診断手法の発達と脳化学の進展に伴い、従来は一くくりにされていた疾患が異なるものであることが認識され始めたり、保護者の教育責任とされていた疾患が、実は中枢神経系の物理的問題にあることがわかってきたりと、そのカバーすべき範囲は急速に増大しています。従って、中枢神経系の疾患に立ち向かうための創薬の重要性は、もっと強調されてしかるべきかと存じます。中枢神経系の疾患は、難病が多く、また、希少な疾患も少なくないため、製薬企業、アカデミズムが協調して立ち上がっていかなければならない問題で,この点、今回のフォーラムは、少なくとも筆者にとって、そしておそらくは多くの方々にとって、啓発される点が多かったのではないかと、考えております。また、薬物動態も、臨床現場ではその重要性が増しており、かつ、創薬現場でも考慮しつつ開発が行われていることはご承知のとおりだと思いますが、より精密で且つ、視覚に訴えるシステムの開発が今後、この分野に大きなインパクトを持つことを改めて感じ取ることができました。貴重な研究結果をご発表頂いた講師の諸先生、ご多忙の中参加頂いた皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。なお、次回は豊橋技術科学大学・高橋由雅教授の御世話で、筆者(高木)が協力させていただきながら、開催される予定です。日時:平成17年6月28日(火)場所:千里阪急ホテルプログラム:1)創薬の効率化と薬物動態シミュレーション2)高磁場MRIで見るヒト脳の形態、機能、代謝3)PETで探るくすりと受容体との相互作用(京大院薬・山下富義)(国立環境研・三森文行)(阪大院医・井上修)4)PETによる脳局所アセチルコリンエステラーゼ活性の定量測定―方法論と臨床応用―(放医研・入江俊章)5)アルツハイマー病治療薬開発の現状と展望(京大院薬・杉本八郎)6)総合討論/////Activities/////SARPromotionAwardの設定について(庶務幹事京都大学大学院赤松美紀)構造活性相関部会では,常任幹事会での慎重な審議を経て,平成17年度より,以下の趣旨に従い,構造活性相関研究の発展を促進するための事業として当該制度を設けた.本年度は,第7回薬物の分子設計と開発のための日中合同シンポジウムに参加する2名の発表者にAwardを授与し渡航奨励を行った.18年度には,この奨励制度をホームページに掲載し,広い分野からの応募を奨励する制度として確立し,構造活性相関のますますの発展を計る.趣旨1.構造活性相関研究に関し,国外の学会で発表を行う部会員に旅費を補助し,積極的に日本の構造活性相関研究に関する情報の海外に対する発信を促進する.2.国外の学会において発表された最新の研究情報を国内の部会員に伝達するとともに.部会員の研究展開の活性化を図る.平成17年度の2名の受賞者は以下の通りである.氏名下村勝(しもむらまさる)所属近畿大学農学部応用生命化学科生物制御化学研究室(博士研究員)発表演題Molecularmechanismofselectivetoxicityofneonicotinoids氏名中村真也(なかむらしんや)所属京都大学大学院薬学研究科医薬品理論設計学講座(修士1回生)発表演題COMBINEanalysispredictsbindingaffinitiesofligandswithanewscaffold2名の受賞者は,日中合同シンポジウムにおいて英語で口頭発表を行った.その報告が,次号のSARNewsに掲載される予定である./////Activities/////<会告>第33回構造活性相関シンポジウム主催日本薬学会構造活性相関部会共催日本化学会、日本農芸化学会、日本分析化学会、日本農薬学会会期平成17年11月16日(水)・17日(木)[第28回情報化学討論会と併催]会場大阪大学コンベンションセンター(吹田市山田丘、http://www.osaka-u.ac.jp/jp/about/map/suita.html)参加登録予約申込締切10月28日(金)、詳細は下記ホームページ参照。講演時間特別講演60分、依頼講演40分、一般講演は25分(*印)または15分。第1日(11月16日(水))9:45.9:50開会の挨拶(阪大院・医)藤原英明依頼講演1(会場:MOホール)(座長)田中明人9:50.10:30KI1「手作業分子モデリングによる絶対配置決定試薬の開発」(徳島大院・薬)楠見武徳一般講演(会場:MOホール)(座長)山下富義10:30.10:45K013DMETに含まれる立体構造と配座によるパラメータ値の関係(農業生物資源研究所)前田美紀10:45.11:00K02抗腫瘍活性および多剤耐性克服活性を有するタキサン型化合物の構造活性相関(新潟大・工)○長谷川俊明・白皎・戴均貴・西沢茂徳・張樹軍・王金蘭・坂井淳一・安東政義(座長)加藤博明11:00.11:25K03*インテグレーテッド概念の導入とA-ADME-T予測による次世代創薬手法の提案(富士通(株))○湯田浩太郎、(富士通九州(株))JoseMartinCiloy・北島正人11:25.11:40K04ドーパミンD2受容体リガンドの構造的特徴(関西学院大理工)○山川眞透・岡田孝11:40.12:05K05*構造活性相関研究のための新しい可視化データマイニング法(京大院・薬)○山下富義・原秀人・橋田充、(お茶水大・理)伊藤貴之12:05.12:35[構造活性相関部会総会](会場:MOホール)12:45.13:45[合同幹事会][特別講演I](会場:MOホール)(座長)細矢治夫14:00.15:00JS波長領域選択およびサンプル選択によるPLSモデルの改良(関西学院大学理工学部)尾崎幸洋ポスターセッション(会場:2階ポスター会場)15:00.17:00(演題は次のKP01-KP25)KP01HIV-1proteaseと環状尿素系阻害薬の分子軌道法による相互作用解析(3)(徳島大院・薬)○小田木郷・吉田達貞・中馬寛KP02COMBINE解析法の新規骨格探索への応用:HIV-1protease阻害剤への適用(京大院・薬)○中村真也・仲西功・北浦和夫KP03ヒト血清アルブミンとサイトI結合薬物の複合体モデリングと3D-QSAR解析(北里大・薬)◯松下泰雄・中込泉・山乙教之・広野修一KP04疎水性ポテンシャルとポリペプチド鎖の動的柔軟性に基づいたタンパク質中のリガンド結合部位同定法(北里大・薬)○鈴木賢志・小田彰史・山乙教之・広野修一KP05NMRおよび分子動力学シミュレーションを用いた新規抗結核ペプチドlariatinAの溶液構造解析(北里大・薬)○合田浩明、(北里研究所)岩月正人、(北里大・薬、北里生命科研)供田洋、(北里研究所、北里生命科研)大村智、(北里大・薬)広野修一KP06リガンドドッキングのための鍵穴構造選択法:ブラウン動力学計算により得られた配座アンサンブルに対する主成分分析(北里大・薬)○山乙教之・鈴木賢志・広野修一KP07MDシミュレーションから得られたヒト血清アルブミンの溶液構造に基づく薬物結合部位SiteⅡに対するリガンドドッキング研究(北里大・薬)○藤本拓・松下泰雄・山乙教之・合田浩明・広野修一KP08hCRM1/Exportin1のホモロジーモデリングとドッキングスタディ(京大院・薬)○永田尚也,(阪大院・薬)田村理・塩見敦・村上啓寿,(京大院・薬)仲西功・北浦和夫KP09RhoKinase阻害剤の分子設計(キリンビール(株))○飯島洋・高見敦也・岩窪昌幸・岡田雄治・小田井英陽・高橋信明・新藤一敏・木村要・田上寿通・三宅美加・福島可代子、(愛知ガンセンター)・稲垣正樹、(名古屋大医)天野睦月・貝淵弘三KP10分子重ね合わせに基づくHERG阻害作用に関する検討(大塚製薬(株))○中石雄一郎・近藤一見((株)医薬分子設計研)野中はるみ・水谷実穂KP11タンパク質の誘導適合を考慮したリガンドドッキングシステムによるMMP-1インヒビターの検索((株)インシリコサイエンス)○小松克一郎・渕上欣司・(北里大・薬)竹田-志鷹真由子・高谷大輔・加納和彦・寺師玄記・岩舘満雄・梅山秀明KP12CYP2B、3Aおよび51とアゾール系化合物との結合相互作用の解析(徳島大院・薬)○糸川大祐・村上良真・西岡大貴・福島淳治・山内あい子・中馬寛KP13薬物の胎盤通過性と母乳移行性予測-ClinicalQSAR(3)(徳島大院・薬)○日比野有紀・坂本久美子・小林進一・木原勝・中馬寛・山内あい子KP14Determinationoflipophilicitybyreversed-phasehigh-performanceliquidchromatography(RP-HPLC)(徳島大院・薬)○XiangliLiu,HidejiTanaka,AikoYamauchi,BernardTestaandHiroshiChumanKP15分類決定木による化合物の変異原性の予測法の開発((独)産業医学総合研究所)○猿渡雄彦・松島泰次郎KP16高疎水性化合物の人工脂質膜透過性(京大院・農)○藤川真章、(田辺製薬(株))中尾和也・清水良、(京大院・農)赤松美紀KP17ヒトOrganicCationTransporter1(OCT1)とラットOCT1に対するリガンド化合物の三次元ファーマコフォアの比較および結合部位モデリング(北里大・薬)○曽根大介・中込泉・山乙教之・合田浩明・広野修一、(東大院・薬)前田和哉・楠原洋之・杉山雄一KP18分配係数の差を利用した診断薬・検査薬の開発(1).超偏極希ガスの肺機能診断薬としての特性の検討(阪大院・医)楢崎美智子・今井宏彦・若山哲也・上山毅・木村敦臣・○藤原英明KP19SupportVectorMachine手法に基づく薬物催奇形性リスク予測の試み(徳島大院・薬)○小林進一・坂本久美子・山内あい子・中馬寛KP20インテグレーテッド概念に基づく創薬と従来手法による創薬とのシミュレーションによる効率性比較研究(富士通(株))○湯田浩太郎、(富士通九州システムエンジニアリング(株)JoseMartinCiloy・北島正人KP21NTGにもとづく骨格構造を優先した類似性検索(豊橋技科大)○和田雅宏・高橋由雅KP22ジオメトリカルフラグメントスペクトル(GFS)表現を用いた分子の三次元構造類似性探索(豊橋技科大)◯吉田茂・加藤博明・高橋由雅・阿部英次KP23病原性細菌由来サイトライシンのコレステロール依存性と細胞溶解(名古屋大)○大倉一人・犬伏晃子・石田巧・福島江・高麗寛紀・長宗秀明KP24PPARαリガンドに対する三次元定量的構造活性相関解析(北里大・薬)○中込泉・山乙教之・広野修一KP25殺虫剤イミダクロプリドとの選択的相互作用に関わるニコチン性アセチルコリン受容体αサブユニットの構造因子(近畿大・農)○下村勝、佐藤仁、DavidB.Sattelle、松田一彦[懇親会]18:00.20:00(会場:千里阪急ホテル、第28回情報化学討論会と合同)第2日(11月17日(木))一般講演(会場:MOホール)(座長)藤原巌9:15.9:40K06*アセチルコリンエステレ-スとドネベジル誘導体間の溶媒架橋による、リガンドの生物活性への影響の非経験的量子力学と分子動力学法を使った研究(分子研究所)藤田忠男9:40.9:55K07Eldanolideのフェロモン活性に対するフッ素置換効果の微視的モデル(鳥取大・工)○早瀬修一・伊藤敏幸(座長)仲西功9:55.10:10K15ScreeningforNovelLeadsofVariousTherapeuticAreasbySupportVectorMachines(徳島大院・薬)○ZsoltLepp、木下崇司、中馬寛10:10.10:35K08*ヒト・ラット・マウスの高精度プロテオーム立体構造全自動モデリング・データベース・創薬(北里大・薬)○岩舘満雄・加納和彦・高谷大輔・寺師玄記・竹田-志鷹真由子・渕上欣司・小松克一郎・梅山秀明10:35.10:50休憩[特別講演II](会場:MOホール)(座長)井上修10:50.11:50KS「統合失調症の分子機序」(大阪大学医学系研究科)遠山正彌12:00.13:00[構造活性相関幹事会]一般講演(会場:MOホール)(座長)福島千晶13:10.13:35K09*CYP2C9dHのMDシミュレーションに基づいた阻害剤の3次元定量的構造活性相関解析(北里大・薬)○安尾和也・山乙教之・合田浩明・広野修一13:35.14:00K10*Structure-baseddesignofhighly-selectivefactorVIIainhibitor(中外製薬(株))門野正次郎・坂本昭久・菊池康文・大枝匡義・薮田尚弘・吉橋一隆・北沢剛久・鈴木司・古賀隆樹・服部有宏・白石拓也・原村昌幸・小玉啓文・小野芳幸・江崎徹・佐藤晴彦・渡辺佳晃・伊藤晋・○大田雅照・小園敏郎依頼講演2(会場:MOホール)(座長)岡島伸之14:00.14:40KI2MolecularShapeandElectrostaticsforScreening,QSARandLeadOptimization(OpenEyeScientificSoftware,Inc.)A.Nicholls14:40.14:55休憩一般講演(会場:MOホール)(座長)辻下英樹14:55.15:20K11*Structure-basedDrugDesignにおける仮想的水和リガンドを用いたドッキングスタディ(北里大・薬)○酒匂佑介、合田浩明、山乙教之、広野修一15:20.15:45K12*AmpCβ-lactamaseに対する安定化の構造要因の考察(アステラス製薬)○村埜賢司・戸田彩子・山中敏夫・奥田真也・大木秀徳・川端浩二・武田忍・波多野和男・松田啓二、(湧永製薬)赤松久・伊藤健治・三隅啓司・井上敏、(阪大院・薬)高木達也(座長)大田雅照15:45.16:10K13*3-DQSARanalysisofnon-steroidalecdysoneagonistsandhomologymodelingoftheligand-receptorbinding(京大院・農)○CraigE.Wheelock,ToshiyukiHarada,GuySmagghe,LucSwevers,KostasIatrou,MikiAkamatsu,YoshiakiNakagawa16:10.16:35K14*能動学習法による創薬スクリーニング―類縁蛋白質のリガンド情報を用いたGPCRリガンド探索―(日本電気(株))○山下慶子・藤原由希子・襲田勉・麻生川稔、(田辺製薬(株))朝尾正昭・島津秀史・中尾和也・福島千晶・清水良ポスター賞発表・閉会(MOホール)16:40.17:00(情報化学討論会と合同)参加登録費予約:8,000円、(学生)3,000円当日:9,000円、(学生)4,000円(登録者は情報化学討論会にも参加可能)懇親会11月16日(水)18時より、千里阪急ホテルにて(情報化学討論会と合同)。会費予約:6,000円、(学生)3,000円当日8,000円、(学生)4,000円連絡先〒565-0871吹田市山田丘1-7大阪大学医学系研究科保健学専攻医用物理工学講座藤原英明Tel&Fax.06-6879-2573E-mail:sar@sahs.med.osaka-u.ac.jp部会ホームページhttp://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html/////Activities/////共催行事会告:第5回創薬インフォマティクス研究会「酵素阻害剤創製のためのBio-Chemo-Informatics」このたび日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)傘下の研究会であります創薬インフォマティクス研究会(http://www.jsbi.org/jsbi_new/kenkyukai/souyaku.html)は「酵素阻害剤創製のためのBio-Chemo-Informatics」をテーマとした研究会を開催します。酵素阻害剤の創製は古くて新しい課題であり、タンパク質立体構造情報やパスウエイ・ネットワーク情報などをはじめとした各種情報が氾濫する中、これらを有効活用することで益々の効率化が求められています。今回はBioinformaticsおよびChemoinformatics(もしくはStructure-BasedDrugDesign)における第一線の研究者の方々にご講演をお願いし、その先端研究動向を問題点とともに把握し、今後の展望を模索したいと考えます。各講演時間を十分にとっていますので、充実した議論が可能ですので、是非この機会に多数のご参加と活発なご議論を御願い致したく存じます。日時:2006年1月20日(金)13:00~18:00場所:東京大学医科学研究所1号館講堂(http://157.82.98.20/imswww/About/Access-j.html)主催:日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)創薬インフォマティクス研究会共催:日本薬学会構造活性相関部会事前登録:不要参加費:・JSBiおよび共催学会の個人会員は無料、JSBi賛助会員は1社につき1名無料・非会員は2000円(学生1000円)を当日受付にて申し受けます。プログラム:ご挨拶白井宏樹(アステラス製薬、創薬インフォマティクス研究会主査)第1部:酵素阻害剤創製のためのChemoinformatics,SBDD座長松末朋和(持田製薬)1リガンド-タンパク質のドッキング・シミュレーション平山令明(東海大学・医学部)2創晶プロジェクトとバイオグリッドの連携による阻害剤開発に関する研究井上豪(大阪大学・工学部)第2部:酵素阻害剤創製のためのBioinformatics座長廣明秀一(横浜市立大学)3Atomicreconstructionofmetabolism(ARM)有田正規(東京大学大学院・新領域創製科学科)4Enzymecatalyticmechanismdatabase(EzCatDB)長野希美(産業技術総合研究所・生命情報科学研究センター)総括清水良(田辺製薬)問い合わせ先:日本バイオインフォマティクス学会事務局URL:http://www.jsbi.org/E-mail:jimu@jsbi.org構造活性相関部会の沿革と趣旨1970年代の前半、医農薬を含む生理活性物質の活性発現の分子機構、立体構造・電子構造の計算や活性データ処理に対するコンピュータの活用など、関連分野のめざましい発展にともなって、構造活性相関と分子設計に対する新しい方法論が世界的に台頭してきた。このような情勢に呼応するとともに、研究者の交流と情報交換、研究発表と方法論の普及の場を提供することを目的に設立されたのが本部会の前身の構造活性相関懇話会である。1975年5月京都において第1回の「懇話会」(シンポジウム)が旗揚げされ、1980年からは年1回の「構造活性相関シンポジウム」が関係諸学会の共催の下で定期的に開催されるようになった。1993年より同シンポジウムは日本薬学会医薬化学部会の主催の下、関係学会の共催を得て行なわれることとなった。構造活性相関懇話会は1994年にその名称を同研究会に改め、シンポジウム開催の実務担当グループとしての役割を果すこととなった。2002年4月からは、日本薬学会の傘下組織の構造活性相関部会として再出発し、関連諸学会と密接な連携を保ちつつ、生理活性物質の構造活性相関に関する学術・研究の振興と推進に向けて活動している。現在それぞれ年一回のシンポジウムとフォーラムを開催するとともに、部会誌のSARNewsを年二回発行し、関係領域の最新の情勢に関する啓蒙と広報活動を行っている。本部会の沿革と趣旨および最新の動向などの詳細に関してはホームページを参照頂きたい。(http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html)編集後記SARNewsの第9号をお届けいたします。藤田稔夫先生に加筆頂いた「構造活性相関部会の沿革と趣旨」を今号から掲載することになりました。「Perspective/Retrospective」では米国におられる黒木保久先生に、NMRを用いたフラグメント法による新規活性化合物探索に利用する最新事情をご紹介頂きました。「CuttingEdge」では、山上知佐子先生に抗酸化剤の反応性に関する教科書に載るような美しいQSAR解析事例をご紹介頂きました。「Activities」では本部会主催・共催行事のご報告・会告とともに、今年度から始まった若手研究者の育成を目的として設置されたSARPromotionAwardについて、庶務幹事の赤松美紀先生からご紹介頂いています。きたる11月16日~17日には、第33回構造活性相関シンポジウムが大阪大学コンベンションセンターで第28回情報化学討論会と併催の形で開催されます。また来年1月20日には本部会が共催する日本バイオインフォマティックス学会の研究会が東京大学医科学研究所で開催されます。部会員の皆様のご参加をどうぞよろしくお願いいたします。編集委員一同、引き続き本誌の充実に努めて行きたいと考えております。皆様のご意見をお聞かせ頂けると幸いです。あわせて今後ともご協力・ご支援をお願いする次第です。(編集委員会)SARNewsNo.9平成17年10月1日発行:構造活性相関部会(常任世話人代表:藤原英明)SARNews編集委員会(委員長)清水良石黒正路黒木保久高橋由雅福島千晶藤原巌山上知佐子*本誌の全ての記事、図表等の無断複写・転載を禁じます。