学会のご案内
部会について
本部会は2002年4月1日より日本薬学会の1部会として新しく組織されることになった。本部会は前身である構造活性相関研究会を含めると、その沿革はかなり古く、1975年に遡ることができる。1975年に 発足した構造活性相関懇話会が1994年に名称を改めて構造活性相関研究会と称するようになったのである。この辺りの歴史的な推移は本部会のニュースレターであるSAR News No.1 (2001) に藤田稔夫先生により「研究会の生い立ち」の標題で詳しく紹介されている。ここでは概要のみ紹介しよう。 1975年当時、関係領域における科学技術のめざましい発展とともに、医農薬を含む生理活性物質の構造活性相関と分子設計に対する新しい方法論が国内外に台頭して来た情勢に呼応し、関係領域の研究者の交流と情報交換、海外諸国における研究の紹介、および国内における研究者の交流と研究発表および方法論の普及の場を提供す ることを目的に設立されたのが構造活性相関懇話会である。そしてそれ 以来、構造活性相関シンポジウムの開催を中心に、「化学の領域 増刊 122号:薬物の構造活性相関(ドラッグデザインと作用機作研究への指針)」 (1979年、南江堂)および「化学の領域 増刊136号:薬物の構造活性相関 第二集(ドラッグデザインと作用機作研究の実際)」(1982年、南江堂) を編集、出版するとともに、構造活性相関講習会の運営など当該分野の発展を支える活動を進めて来た。
構造活性相関シンポジウムは1978年 までは依頼講演4、5件の簡素な形式であったが、1980年からは一般講演を募集し、関係諸学会の共催の下に年1回開催として定着した。 1993年より同シンポジウムは日本薬学会医薬化学部会の主催の下、関係学会の共催を得て行われることとなった。そして構造活性相関懇話会は、1994年より、会の名称を構造活性相関研究会と改め、医薬化学部会主催の構造活性相関シンポジウムの実働(実行) 母体としての活動を担ってきた。2002年4月からは、幸いにも日本薬学 会構造活性相関部会としての新しい発足が認められるようになったのである。
趣旨
本部会の趣旨は次のとおりである(部会申合せより抜粋)。
- 構造活性相関に 関する学術・研究の振興と推進に目標を置く。
- 関連する基礎および応用分野における研究者である部会員の研究 発表、知識の交換ならびに部会員相互間および国内外関連学協会との連携の場を提供する。
- 構造活性相関に関する学術の進歩普及、医薬・農薬の新規開発に おける研究基盤の充実・強化を図り、薬学をはじめ関連学術および製薬関連産業分野の発展に寄与することを目的とする。
- 具体的な活動内容としては、医薬・農薬の構造活性相関に関する 方法論の発展を図り、薬物と生体高分子との相互作用における分子機構、 生体高分子の構造と機能、薬物の薬効・吸収・代謝・排泄・毒性、更に 環境汚染物質の生体・生態系に対する環境毒性および内分泌撹乱活性な どの諸問題における構造活性相関研究を推進する。
- 併せて、これらの研究を支えるデータベース利用技術や薬物分子 情報処理に関する基盤技術における研究の促進を図る。 このように医薬・農薬の構造活性相関を中心に幅広い関連分野を 包含しつつ活動を進めている。