menu

SARNews No.4

SARNews_4

SARNewsNo.4(Mar.2003)-1-SARNewsNo.4「目次」[記事]///QSAR今昔///コンピュータを利用して薬を創る「夢」森口郁生・・・2///研究紹介///ノンパラメトリック回帰による構造活性相関解析~「ポストIT」の時代の「計量薬学」~高木達也・・・4QSPRby2D-fingerprint服部一成内山守・・・8リガンド認識仮説に基づくGPCR立体構造モデル米田照代・・・12[報告]・構造活性相関講習会2002」石黒正路藤原英明・・・16・第30回構造活性相関シンポジウム高橋由雅・・・17・日本薬学会構造活性相関部会設立総会高木達也・・・18・第14回ヨーロッパQSARシンポジウム赤松美紀・・・20[お知らせ]・日本薬学会構造活性相関部会設立記念シンポジウム・・・21・平成15年度構造活性フォーラム・・・22・第31回構造活性相関シンポジウム・・・23構造活性相関部会・ニュースレター<31March2003>SARNewsNo.4(Mar.2003)-2-/////QSAR今昔/////コンピュータを利用して薬を創る「夢」北里大学名誉教授森口郁生筆者が「コンピュータを利用して薬を創る」という夢を抱いたのは、四十数年前、雑誌「化学」に9回にわたり連載された“量子化学入門(京都大学福井研究室)”に接したときである。大学で古典的な薬学を学び、製薬メーカーの研究室に入って5年目、筆者にとって「量子化学入門」は殆ど未知の新しい世界で、その衝撃と期待は大きかった。生物活性を含め分子の様々な性質が、計算によりかなりの程度予測できるように思えた。ただし、当時量子化学に同様な期待を抱いたのは筆者のみでなく、様々な分野に少なからずおられたようである。Hansch-藤田法で高名な藤田稔夫先生も、Hansch先生のところに留学される前、福井研究室で研鑽されたと承っている。筆者の「QSAR事始め」は、ヒュッケル法で求めたサルファ剤の電子的パラメータと抗菌力との相関に関するもので、当然のことながら、今振り返ると非常に幼稚で気恥ずかしいが、後にサルファ剤の電荷移動遷移エネルギーを実験的に求め、抗菌力との間に同様の相関があることを確認し、安堵した。当時の最大の問題は、コンピュータの利用であった。性能の低いコンピュータが超高価な商品として世に出たばかりで、民間の計算センターに15×15の行列の固有値固有ベクトルの計算を依頼したところ、当時の大学新卒者の初任給(月額)ぐらいの金額の請求書が届いた。やむなく、以後しばらくは手回しのタイガー計算機で1週間かけて1個の“永年方程式”(よくぞ名付けたと当時は思った)を解いていた。現在、パソコンで瞬時に解が得られる計算である。失われた時間の大きさを、今もって未練がましく思い起こすこともある。やがて計算機は、モンロー電動式、アナログ・デジタルハイブリッド機等を経て、1972年ミニコンピュータが北里大学の筆者の研究室に入った。これは、外部メモリー(?)として温度条件が厳しい磁気ドラムを使用し、起動時に毎回OSとプログラムを紙テープで入力するという厄介なものではあるが、多変量解析やパターン認識等の“相関の計算“に活躍し、後述の適応最小二乗法(1977)はこのミニコンピュータで開発した。しかしながら、量子化学(分子軌道法)計算の方はこの10年で様変わりし、P-P-P法、拡張ヒュッケル法、CNDO、MINDO等を経てabinitio法へと発展し、大容量の高速計算を必要とするため、当時大型計算機の独壇場となった。幸い大学共同利用の大型計算機センターが整備されて利用可能となり、計算プログラムの利用環境も改善され、1973年に教室員として加わった梅山秀明博士が主としてこの方面の研究を担当し、精力的に推進した。その後コンピュータの性能の向上、低廉化とこれによる普及は目覚しく、加えて、画期的な分子力学/動力学計算の出現により、計算対象として分子軌道法計算では容量・速度的に不可能に近かった薬物ターゲット巨大分子が、研究室で何とか購入できる程度の3次元グラフィックスワークステーションで取り扱えるようになった。1981年に教室員に加わった広野修一博士が、PeterKollman教授(UCSF)の下での研鑽後、主としてこの方面の研究を展開し、現在、筆者の後任教授を務めている。ここに至って、構造活性相関研究において通常の形態でのコンピュータ利用の問題は、ほぼ解消したといえよう。「QSAR事始め」に際し、コンピュータの利用に次いで起こった問題は、薬学関係の学会においてのQSAR研究の市民権の問題である。“××インフォマティクス”が次々と名乗りをあげている現在では信じがたいことかも知れないが、当時、わが国では、いわゆるソフト系科学技術をハード系科学技術と比べて軽く見る科学文明後進国の体質が根強く残っていたようである。1970年代に入り、欧米ではQSARが時宜を得た研究領域として確立されてきたが、わが国では「妙なことをやっている」と変わり者扱いをされ、1973年のある学会では「コンピュータで薬がつくSARNewsNo.4(Mar.2003)-3-れるか」と手厳しい批判を受けた。ある意味では正論かも知れないが、それとは全く次元が異なる批判であった。ただし、特に厳しかったのは生物系の研究者であったのに対し、有機化学関係の方々は概して好意的で、個人的には非常に協力的な方もおられた。その後、情勢は急速に変化し、1980年代には、受容体3次元構造に基づくリード化合物設計とQSARの両者を組み合わせた高価なCADD(computer-aideddrugdesign)システムも、ハードと抱き合わせでコンピュータ会社の戦略商品として発売され、いとも容易に「コンピュータで薬がつくれる」ような宣伝文句には辟易した。QSAR(広義)とは、ご承知のように、薬物等の分子構造と生物活性との相関を解析し、定量的に表現する方法、あるいは定量的に表現された相関情報を指す。相関解析では通常コンピュータを使用して演算を行うので、分子構造も活性も数値化(またはグループ化)を行う必要がある。構造等を画像等で入力して内部で数値化するのも便利である。分子構造については、通常、疎水性に関する経験値等も含め分子科学的特性値の中から適切なものが選ばれる。電子的、立体的特性値の算出には、前述の分子軌道法、分子力学/動力学計算等が広範囲の構造に対して有効である。生物活性は、通常、作用の強さに対しては数量(ED50、MIC等の逆対数値など)や等級(、+、2+等)、作用の種類の識別に関しては独立した群(カテゴリー)として与えられ、このような活性の表現形式と活性データの質を考慮して、適切な相関解析の手法が選択される。生物活性が数量や独立カテゴリーの場合、活性の測定結果と計算結果の差異が正規分布をするという仮定が許される場合には多変量解析の諸法、正規分布の仮定が不適当と考えられる場合にはノンパラメトリックなパターン認識等の諸法を用いる。たとえば、遺伝的な差異により薬物の体内動態や受容体の感受性が異なる複数の母集団からの寄せ集めと考えられるinvivo活性データの解析などでは、ノンパラメトリックな方法を用いるべきであろう。ただし、ノンパラメトリックな方法は一般に計算結果の信頼性についての理論的保障が希薄であるため、何らかの方法で十分な信頼性評価を行う必要がある。生物活性が等級で示されるデータについては、三十年近く前、適当な解析方法がなかったので、筆者らはノンパラメトリックな適応最小二乗法(ALS、1977)を開発した。これの改定版がファジィ適応最小二乗法(FALS、1900)である。近年、諸外国で環境保護を管轄する公的機関が、化学物質の有害性の事前評価や有害性試験の優先順位決定の資料とする目的で、多様な構造の化合物群を一括して解析するnon-congenericQSARによる安全性予測システムの開発を進めており、わが国でも検討が開始された。筆者は1982~1999の間いくつかの公的プロジェクトに参加し、non-congenericQSAR等により予測式の創出を行った。これらの解析では、出典が多岐にわたり測定条件等が必ずしも同一ではない大量データを用いるため、活性を等級化して扱うのが望ましく、FALS法等の使用が適当と思われた。「コンピュータを利用して薬を創る」という四十数年前の夢は、コンピュータの進歩とともにその実現に向けて手法を整え、試行を重ね、一方でヒトゲノム配列解読が終盤に入ったこともあって、夢が確信に変わろうとする時点で20世紀は幕を閉じ、21世紀での輝かしい収穫を念じつつ筆者も退いた。ただし今、外野から眺めて、道は必ずしも平坦ではなさそうである。ヒトゲノムの数は、当初の予想よりはるかに少なく、3~4万に絞られてきた。このことは、ひとつのゲノム(産物)が創薬ターゲットとしてひとつの疾病と1対1で対応するとは限らず、関連した生体内での巧妙なネットワークを明らかにすることが、有効安全な薬を創るために必要であることを示唆する。しかしながら、丁度50年前のWatson、CrickによるDNA分子の構造解析(1953)や、現在のヒトゲノム配列解読に対して感じたように、「案ずるより生むが易し」ということもある。細心大胆な挑戦を期待したい。筆者のQSAR研究には、幸か不幸か特定の師はいなかった。がむしゃらに成書や文献を読み漁り、データを集め、プログラムを書いてはコンピュータで試行して、またたくまに歳月が過ぎ去った。この間ご尽力、ご支援、ご教示下さった筆者の研究室の諸氏、筆者が関係したプロジェクトの委員の方々、そして、特に藤田稔夫先生をはじめ構造活性相関懇話会(研究会)の皆様方に深く感謝申し上げる。(2003.2.16記)SARNewsNo.4(Mar.2003)-4-/////研究紹介/////ノンパラメトリック回帰による構造活性相関解析~「ポストIT」の時代の「計量薬学」~大阪大学大学院・薬学研究科高木達也1.はじめに筆者はこれまで幾度か、「ポストIT」1)という言葉を用いてきた。一家に1台パソコンが普及し、ブロードバンドのInternetで接続され、モバイルフォンでメールも動画も、いろんな情報が送受できる時代になった。私たちは、ハードウェアとしてのInternet等の情報通信機器や計算機は、もう十分に我が手にしているのである。それだけではない。Internet上には情報があふれ返っており、Internet上の文字情報をいかに整理し、重要な情報を掘り当てるか・・・データマイニングするかが、問われ始めている2)。ちょうどヒトゲノム配列の決定を受けて、「ポストゲノム」の時代に入ったように、一口に情報の時代と言われるこの時代も、「ポストIT」の時代に入ったのである。これからは、ただ単に高速な計算機を作り、高速なインターネットを享受し、ただただ情報をばら撒いていた量とハードの時代から、高速な計算機による大量の数値計算を使って、あふれる情報から有益な情報を抽出する、質とソフトの時代へと突入するのである。それでは翻って、構造活性相関の分野では、「ポストIT」はどのように表現されるのであろうか?もちろん、いろんな角度から、「ポストIT」は実現されていくに違いない。分子計算の方面から、遺伝子、タンパク質科学の方面から、物理化学、有機合成化学の方面から、様々なポストIT的研究が行われていくことは疑いないだろう。そのすべてについて言及することはとてもできないが、ここでは主として筆者の専門範囲である、「計量薬学」的視点から、ポストITの時代を眺めてみたい。2.計量薬学筆者ら3)により日本薬学会年会のシンポジウムとして「計量薬学」に関する集まりがもたれたのはもう2年前になる。が、当時、「計量薬学」と言う言葉は、日本語の単語としてはなかったようで、どうやら筆者の造語らしい。当時、計量薬学の定義として、以下のように書いたのを覚えている。「情報化の波が薬学に押し寄せてきてもう久しくなります.…(中略)…従って、医薬品に関する大量の情報を元に種々の統計的、数理科学的手法を用いて解析/分析、データマイニングを行うことも十分に可能になっているはずです.今、これら『統計学的、数理科学的手法により、計算機を用いて薬学分野における種々の情報の解析を行い有用なデータの分離・抽出を行う』領域を、『計量薬学』と名づけてみます.」筆者は、構造活性相関研究の一部は、「計量薬学」と分類されるものと考えている。そして、計量薬学に関する研究は、90年代に入って急速に進展してきている。用いられている手法一つをとってみても、樹状モデル、相関ルール、カスケードモデル4)、ニューラルネットワーク、ノンパラメトリック回帰、標本再抽出法、ランダム化法、グラフ理論・・・と、多岐にわたっている。筆者が5)標本再抽出法の典型であるBootstrap法を構造活性相関シンポジウムで紹介したのは、1989年(大阪)のことだったと思う。当時は何の反響もなく、何処で紹介しても否定的な意見ばかり聞こえてきたのだが、ここ数年で急速に普及し、薬学関連の分野でも標準的な手法として用いられるに到った6)。今、tooadvancedに思える手法も、数年たてばあたりまえになるという見本のような話だと思われる。今回は、特にノンパラメトリック回帰に焦点を絞りたい。SARNewsNo.4(Mar.2003)-5-3.ノンパラメトリック回帰とは今更書き下すまでもないと思うが、通常の重回帰分析は、(1)のように書ける。å==+mpppyx10bb(1)xpはもちろん、別の予測変数の自乗項であったり、指数関数になっていたりすることもあるが、基本的には、各項の線形和で表される。全体として、応答変数(y)と予測変数(xp)の関係が線形でなくとも、一定の式で顕に書き下せることが前提となっている。もちろん、オッカムの剃刀の原則に従い、書き下せるものなら書き下せばいいのであり、これを無理やりに人工ニューラルネットワークやSVMなどに持ち込む必要性はないと思う。しかし、yが薬物活性でxpが化合物の物理化学的性質である場合、本当に「顕に書き下せる」のであろうか?事実上書き下せる、あるいは書き下して構わない場合も多いだろう。しかし、少なくとも厳密には、顕に書き下せない場合がほとんどのはずである。それでは、応答変数(y)と予測変数(xp)の関数関係が把握できないとすると、どうすればいいのだろう。人工ニューラルネットワークは、その解答のひとつにはちがいない。この手法は複雑な因果関係を把握するのにはこれ以上は考えられないほど強力な手法であり、その意味では、「かたはついている」と言っていい。しかし、あまりに強力過ぎてと言うべきだろうか、結果として応答変数(y)と予測変数(xp)がどのような関係にあるのかを把握することは易しくない。ある程度応答変数(y)と予測変数(xp)間の自由な関数関係を許し、かつ、両者の因果関係の把握が容易な、言わば「中間兵器」(線形回帰を初源兵器、人工ニューラルネットワークを最終兵器と考えれば)とでも言うべき手法の一つが、「ノンパラメトリック回帰」である。一口にノンパラメトリック回帰と言っても、初源兵器に近いものから最終兵器に近いものまで、多様なものが提案されている。そのなかでも比較的単純なモデルに、一般化加法モデル(GAM)がある。Tibshiraniら7)の一般化加法モデルでは、(1)式は(2)式のように変化する。()()å==mpppyfx1m(2)ここでfp(xp)は滑らかな関数で、例えばスプライン関数などが用いられる。また、μ(y)は適当なリンク関数で、yがカテゴリーデータの場合は、ロジスティック関数などが用いられる。ここで、「ノンパラメトリック」という表現は、(2)式のように、顕な関数関係を書き下さなくていいところから来ている。論より証拠。GAMの構造活性相関解析への応用を見てみよう。4.ノンパラメトリック回帰による構造活性相関解析最近、アデノシン誘導体の心不全病態の改善作用が注目されているが、Faminiら8)によって、理論的LinearSolvationEnergyRelationship(TLSER)に基づいた、アデノシン類のモルモット心筋に対するアゴニスト活性のQSARが行われている。彼らの研究の特徴の一つは、あくまでも理論的に導き出された予測変数を用い、かつ直線溶媒和エネルギー関係にこだわってこの活性を回帰したことにあり、一定の成果を収めているように思われる。例えば、49,0.616,0.793,28.7p2.315(1.045)1.672(0.312)2=====-±+±nRSDFAVmcという結果を得ている。NOHOOHOHNNNNH2OR図1アデノシン誘導体の化学構造SARNewsNo.4(Mar.2003)-6-ここでpA2は、モルモット心筋A2レセプターアゴニスト活性を示しており、VmcはTLSERのcavityterm(molecularvolume)を示している。数字の上からは、まずまずの結果を得ていると思われるが、更に改良することは困難だろうか?ここで、念のためにこのデータにGAMを適用してみた。図2に偏回帰プロットを示す。GAMの結果は、Vmcとアゴニスト活性との関係が、単純な直線関係ではない可能性を示唆している。それも、単純な放物線でもないと考えるほうがbetterなように思われる。なお、GAMを用いれば、重相関係数はR=0.7331にまで改善する。もちろん、これらの結果はより詳細に精査されなければならないが、GAMの、いや、ノンパラメトリック回帰の持つ可能性を示していることは間違いない。ノンパラメトリック回帰には、GAM、ACE9)といった加法モデルばかりでなく、MARS10)のように、予測変数間の交互作用を考慮する、ある意味では通常の誤差逆伝播学習による階層型ニューラルネットワーク法よりも1歩踏み込んだ手法も提唱されている。図2アデノシン誘導体のA2受容体アゴニスト活性のGAMによる偏回帰プロットニューラルネットワーク法などの機械学習型手法も含めて、ノンパラメトリック回帰の持つ弱点の一つは、その検証手法に乏しいことが挙げられる。GAMではそれが比較的容易であるが、loessなど、容易でないものも多い。こうした際に威力を発揮するのが標本再抽出法である。筆者はすでに何度か、これらノンパラメトリック回帰の薬学への応用11)に関して、また、標本再抽出法(Bootstrap,12)Cross-Validation,GeneralizedCrossValidation,13)シフト検定法14)など)の適用に関して述べてきた3,15)ので今回は詳しくは触れないが、計算機がこれだけ発達した「IT時代」の現在、計算量の多さはほとんど問題にならない。ポストITの時代には、これらノンパラメトリック回帰法が標本再抽出法を伴って、いろいろな分野で活躍することを、筆者は信じている。謝辞本稿で行なわれた計算の一部は、文部省科学研究費補助金、基盤研究(C)(2)、13672253、2001の補助により行われました。SARNewsNo.4(Mar.2003)-7-参考文献1)a:高木達也、ファルマシア、2001,37,285-289;b:高木達也、化学工業、2002,53,54-58(2002).2)上田修一、斉藤和巳、「テキストからの多重トピック抽出法」、関西機械学習統計研究会、大阪、2002.3)日本薬学会第120年会、シンポジウム21、「計量薬学~薬学の新たな領域」(オーガナイザー・高木達也)、岐阜(2000)。4)Okada,T.,J.Comput.AidedChem.,2001,2,79-86.5)高木達也、MolecularDesign,1989,11,2-26.6)例えば、http://www.fda.gov/cder/guidance/1852pk.htm7)Hastie,T.:Tibshirani,R.,“GeneralizedAdditiveModels,”ChapmanandHall,1990.8)Famini,G.R.:Loumbev,P.:Frykman,E.K.:Wilson,L.Y.:Quant.Struct-Act.Relat.,1998,17,558-564.9)Breiman,L.:Friedman,J.H.,J.Amer.Statist.Assoc.1985,80,580-619.10)Friedman,J.H.,Ann.Statist.,1991,19,1-141.11)Takagi,T.:Kurokawa,E.:Miyata,K.:Okamoto,K.:Tanaka,Y.:Kurokawa,K.:Yasunaga,T.:J.Comput.AidedChem.,2002,3,56-62.12)Efron,B.,Ann.Statist.,1979,7,1-26.13)Golub,G.:Heath,M.:Wahba,G.,Technometrics,1979,21,215–224.14)Takagi,T.,J.Antibact.Antifung.Agents,1996,24,39-47.15)a:黒川、岡本、田中、岡本、宮田、黒川、安永、高木、「回帰・判別型統計解析手法におけるクロスバリデーションおよび関連手法の精度の比較検討」、第24回情報化学討論会、徳島、2001;b:岡本、宮田、黒川、田中、黒川、安永、高木、「コンピュータ集約型多重比較法の開発とその回帰分析への応用」、日本化学会第79春季年会、神戸、2001;c:宮田、西村、岡本、黒川、田中、黒川、安永、藤原、高木、「医薬学データのための回帰,判別手法に対する計算機統計学的手法の導入」、第23回情報化学討論会、2000、京都SARNewsNo.4(Mar.2003)-8-/////研究紹介/////QSPRby2D-fingerprintファイザー製薬株式会社構造科学研究室服部一成、内山守1.はじめに開発段階にある化合物の半数近くが、好ましくない薬物動態特性(特に吸収・分布・代謝・排泄:ADME)に由来する原因によって、その後の開発を断念したとの報告[1]があるほど、ADME特性は、化合物を薬剤として上市する以前の高いハードルである。ゆえに、探索段階において、そのハードルをいかに乗り越えていくのかが、創薬の成否を決定すると言っても過言ではない。実際の創薬現場において、薬理作用ばかりに注目し構造変換した結果、invitroでの効果は抜群だが、invivoでは全く薬理作用を示さないといった失敗談は、決して珍しい話ではない。こうした状況は、創薬研究者(特にメディシナルケミスト)に、探索初期から化合物の薬理作用の他に複数のADME特性を同時かつ迅速に最適化する薬剤設計を促すようになった。近年の評価技術の進歩によって、ADME特性をinvitroで比較的速く評価できる実験系が確立されつつあるものの、一般にはADME特性を評価する実験は、まだまだ多くの時間と労力を必要とする。ゆえに、計算化学者の使命の一つは、日々蓄積される実験データを用いて、精度の高い定量的構造物性相関(QSPR)モデルを構築することである。今回紹介するQSPRby2D-fingerprint法は、この目的に合致するものであり、Caco-2単層膜透過性、血液脳間の薬物濃度比、代謝安定性を予測するQSPR解析により本手法の有用性が示唆されたので紹介する。2.QSPRby2D-fingerprintまず、我々の方法論について述べる。2D-fingerprintの算出からQSPRモデルの構築に至る一連の流れをScheme1に示す。すなわち、訓練集合に含まれる化合物の2次元構造をSybylLineNotation(SLN)表記した後、予め定義された部分構造(官能基や原子)の出現頻度を計数し、得られる配列をその化合物の構造特性を表わす2D-fingerprintとする。この操作を訓練集合中のすべての化合物について行なう。ここまでの操作は、当研究所で開発したマクロ(Tripos社製SybylProgrammingLanguageを使用)を用いて自動化されている。得られた2D-fingerprintを説明変数に用いて、部分最小自乗法(PLS)により目的変数を説明するQSPRモデルの構築を行なう。本手法のキーポイントは、出現頻度の計数を行なう部分構造の選び方にある。化合物の類似性や多様性の評価に用いられるISISkeysやUNITYfingerprintsが、通常1000近いビットを用いるのに対し、我々が予め定義した部分構造の数は、50-70程度であり格段に少ない。しかも予測をする対象に応じて、用いる部分構造のセットが異なる。例えば、代謝安定性の予測に関しては、「代謝されやすい(代謝される可能性のある)部分構造を数多くもつ化合物は代謝されやすい」という作業仮説に基づいて記述子を選択した。すなわち、文献既知[2]の第一相代謝の反応パターンを参考にし、代謝を受ける可能性のある、およそ60種類の官能基や原子を定義した。また、Caco-2膜透過性、血液脳間の薬物濃度比の予測には、窒素や酸素などのヘテロ原子を中心に分類された50種類の官能基や原子の定義を行なった。Lipinskirule[3]では、すべて同じ重みで数え上げられていた窒素や酸素原子の数を官能基ごとに分類し、計数したと捉えることもできる。このように、我々の2D-fingerprint法はADME特性の予測に特化した要求を満たすものである。SARNewsNo.4(Mar.2003)-9-C[1]H:N:C(:CH:CH:CH:@1)N(CH2CH2N(CH3)CH3)CH2C[30]:CH:CH:C(:CH:CH:@30)OCH3001000001100000000000000000000010000000000000017310NNNOCmpd1-1.42000000000011101100000000000000000000000000000010601Cmpd2-0.0400000000000010010000000000000000000000000000005401Cmpd3-1.30001000000000000100000000000000010000000000000025421Cmpd4-1.06001000000100000100000000000000010000000000000021521Cmpd50.1101000001000001000000000000000000000000000002009300Cmpd60.49001000001100000000000000000000010000000000000017310Cmpd70.83001000002000000000000000000000000000000000000019200…………………….Objectivevariable2D-fingerprintsSYBYL/SLN(SybylLineNotation)Countsofpre-definedsubstructuresRepeatforallcompoundsinthedatabsePLS/Cross-validation(LOO)&Non-validationQSPRmodelPredictionofADMEpropertyforsynthetictargetsSPLscriptScheme1QSPRモデル構築までの流れ3.解析例3-1Caco-2単層膜透過性の予測(Absorption)近年、消化管における薬物吸収性を評価する方法として、ヒト大腸癌由来細胞であるCaco-2細胞を用いたinvitro膜透過実験が広く用いられている。我々は、このCaco-2単層膜透過性を迅速かつ簡便にinsilicoで予測することを目的とした。表1に示したように、解析にはYeeの論文[4]に記載されたtranscellularルートによってCaco-2単層膜を透過するとされている構造的に多様な21化合物とそれらの見かけの透過係数Papp(cm/sec)を用いた。Scheme1に示した手順に従い、各化合物の2D-fingerprintを生成した後、PLSにより統計的に有意なQSPRモデルを構築した(N=21,numberofPLScomponents=2,q2=0.46,Spress=0.44,r2=0.82,S=0.25,F2,18=42.1)。図1には、出現頻度の計数に用いた部分構造の例を、図2には、実測値から計算したlog(Papp*106)とQSPRモデルによる予測値のプロットを示した。本手法は、自社プロジェクトにおいて合成された同属群の49化合物を用いた解析にも適応され、得られたQSPRモデルは、プロジェクトに特化したモデルとして、合成候補化合物に対する優先順位付けに利用している。なお、本内容については、第16回日本薬物動態学会年会にて発表済みである。[5]SARNewsNo.4(Mar.2003)-10-表1解析化合物とlog(Papp*106)値Compd.Namelog(Papp*106)Compd.Namelog(Papp*106)Compd.Namelog(Papp*106)Azithromycin0.02Diazepam1.85Prazosin1.64Benzylpenicillins0.29Erythromycin0.26Propranolol1.44Caffeine1.70Fluconazole1.47Quinidine1.31Chloramphenicol1.31Ibuprofen1.72Tenidap1.71Clonidine1.48Imipramine1.15Testosterone1.86Desipramine1.33Methotrexate0.08Trovafloxacin1.48Dexamethasone1.37Naloxone1.45Ziprasidone1.09図1部分構造の例図2実測値と予測値のプロット3-2血液脳間の薬物濃度比の予測(Distribution)中枢に薬理作用発現部位を持つ薬物が薬効を発現するためには、血液脳関門(Blood-BrainBarrier:BBB)を効率良く透過し、速やかにCentralNervousSystem(CNS)へ到達することが重要である。本解析では、Lombardoらの論文[6]に記載された構造的に多様な33化合物の2次元構造および血液脳間の薬物濃度比{log(Cbrain/Cblood)=logBB}を目的変数に用いた。Caco-2単層膜とBBBの両者は、現象的には2つの層を隔てる膜間の薬物移動という共通点を持つことからCaco-2単層膜透過性予測に用いた部分構造と同一のセットと使用し、2D-fingerprintの構築を行なった。PLS解析の結果、統計的に有意な予測モデル(N=33,numberofPLScomponents=3,q2=0.41,Spress=0.57,r2=0.83,S=0.30,F3,29=48.5)を得た。この結果から、本手法が、Caco-2単層膜透過性の予測のみならず、BBBを隔てた薬物分布を予測する手法としても有効であることが示唆された。本解析は、第30回構造活性相関シンポジウムにて発表済みである。[7]3-3代謝安定性の予測(Metabolism)相関解析には当研究所で合成した同属群の54化合物を訓練集合に、また12化合物をモデル検証用に用いた。ヒト肝臓ミクロソームを用いたinvitro代謝反応によって求められた化合物の消失半減期(T1/2)を代謝安定性の指標とし、その対数値(logT1/2)を解析に用いる目的変数とした。Chart1には、解析に用いた2D-fingerprintの定義を示した。訓練集合を用いたPLS解析により統計的に有意な予測モデル(N=54,numberofPLScomponent=5,q2=0.52,Spress=0.41,r2=0.87,S=0.22,F5,48=61.3)が得られた。さらに、図3に□印で表した12化合物を用いて、モデルの高い予測性能が検証された。logT1/2の実測値と本手法による予測値との相関を同図に示す。本解析は、第30回構造活性相関シンポジウムにて発表済みである。[8]NNOOHOOOHOHOOONNNAnilineAlkylAmineAmideAromaticNAlcoholEtherAldehydeKetoneEsterCarboxylicAcidNitrileSNSulfonamideOOFClBrICNOSFragments:Atoms:00.511.5200.511.52Actuallog(Papp*106)Calcdlog(Papp*106)SARNewsNo.4(Mar.2003)-11-図3実測値と予測値の相関3.おわりに以上、QSPRby2D-fingerprintと称すべき我々の方法は、ADME特性に特化した2D-fingerprint記述子を使い分けることにより、以上述べた種々のADME特性の予測が可能であり、方法論としての一般性をもつことが示唆された。本法は、「化合物の立体化学を区別しない」「得られた回帰式自体は新規構造の提示をするものではない」という限界があるものの、「合成された化合物の測定実験由来のパラメータを用いない」「迅速かつ簡便に、高い予測能を持つQSPRモデルを構築できる」「用いるパラメータ(部分構造の出現頻度)の意味が明快であるため、得られた回帰式の解釈が容易である」という利点がある。今後は、本手法を利用して、創薬研究の効率化に貢献していきたいと考えている。最後に本ニュースレターへの執筆機会を与えて下さいました編集委員の皆様に深く感謝いたします。参考文献1.Kennedy,T.DrugDisc.Today1997,2,436—4442.加藤隆一、鎌滝哲也、「薬物代謝学」第二版、東京化学同人(2000);ボンゼ、メツラー、「薬物代謝」、朝倉書店(1980).3.Lipinski,C.A.;Lombardo,F.;Dominy,B.W.;Feeney,P.J.Adv.DrugDel.Rev.1997,23,3—254.Yee,S.Pharm.Res.1997,14,763—766.5.水谷真由美、嶋田薫、田村徹也、村瀬茂夫、服部一成、内山守、岩崎一秀第16回日本薬物動態学会年会17PF-45(2001)6.Lombardo,F.;Blake,J.F.;Curatolo,W.J.J.Med.Chem.1996,39,4750—4755.7.服部一成、内山守第30回構造活性相関シンポジウムKP03(2002).8.内山守、服部一成、嶋田薫第30回構造活性相関シンポジウムK10(2002).Chart12D-fingerprintの定義BIT1:化合物番号BIT2-4:不飽和結合の個数BIT5-15:環構造(topology)の個数BIT16-22:分子全体の原子の個数BIT23-59:代謝されうる部分構造の個数BIT60-64:optional(chem.seriesspecific)-2-1.5-1-0.500.5-2-1.5-1-0.500.5ActuallogT1/2CalcdlogT1/2Calculated(trainingset)Predicted(testset)SARNewsNo.4(Mar.2003)-12-/////研究紹介/////リガンド認識仮説に基づくGPCR立体構造モデル株式会社ファルマデザイン米田照代1.GPCRのモデリングGタンパク質共役型受容体(GPCR)は創薬の標的タンパク質として重要なファミリーである。しかし、その立体構造が原子レベルで明らかとなったのは、ウシロドプシンの1例のみである(PDB:1F88、1HZX、1L9H)。そのため、それぞれに興味あるGPCRの立体構造はモデリングによって構築され、薬物設計などの用途に使用されている[1,2]。GPCRのモデリングに関して最近興味深い論文が発表された。GoddardIIIらのグループはGPCRのモデルを構築し、それを用いてリガンドスクリーニングを行って結合部位を予測する一連のプロトコルを発表した[3,4]。モデル構築はMembStrukプロトコルによって行う。このプロトコルは以下の①から⑤の過程からなる。①ハイドロパシー解析によって膜貫通領域を予測する。②へリックスの立体構造を構築する。③へリックスをウシロドプシンの結晶構造に従って配向させる。このとき、各々のへリックスの疎水性モーメントをへリックスの質量中心から外向きに配置する。④他の6つのへリックスを固定したまま、1つのへリックスをある刻み角度でエネルギー極小化計算によって回転させ最適な配置とする。これを7つのへリックスについて順次行い、更に、エネルギーが収束するまでその過程を繰り返す。その後リン脂質分子2層を付加し構造最適化する。⑤へリックスにループとS-S結合を付加後、全原子緩和のMD計算を行う。以上のMembStrukプロトコルによって、GPCRと2層のリン脂質分子からなる系を得た後、HierDockプロトコルに従ってリガンド結合部位の予測を行う。HierDockプロトコルは以下の3つの過程からなる。①Dock4.0を使用して、対象GPCRの既知リガンドをドッキングさせる。この際結合部位は仮定を設けず、1つのGPCRにつき1辺10Åの立方体のドッキング空間を10~15設定し、それぞれの空間についてDockスコア上位100の配置を選択する。②タンパク質の構造は固定のまま、リガンドの構造最適化を行う。それぞれのドッキング空間についてリガンドのスコア上位の配置を調べ、それらがよくクラスタされている空間をリガンド結合部位として選択する。③タンパク質とリガンドの両方の構造最適化を行い、結合エネルギー(ポテンシャルエネルギーを使用。ただし溶媒効果は連続体近似で考慮)で順位付けする。HierDockプロトコルでは、このように、既知リガンドをドッキングさせることによって、結合部位の予測を行う。MembStrukとHierDockの2つのプロトコルを実行することにより、GPCRのアミノ酸配列から結合部位を予測する方途が用意されたことになる。GoddardIIIらは、ウシロドプシンについてこの方法を行い、結晶構造と比較してCa原子のRMSが8.3Å(へリックスのみでは3.1Å)のモデルを得た。またシスレチナールの配置のRMSは1.2Åであった。b1アドレナリン受容体への応用では、予測した結合部位に、変異実験などによってリガンドとの結合に関与しているとされる残基が含まれていた。解決すべき多くの課題が控えているが、アミノ酸配列から結合部位予測ひいては機能予測までを、原子レベルで行う方法の実用化には大きな期待が寄せられる。BissantzらはGPCRのモデルを使用して仮想スクリーニングを行った[5]。ウシロドプシンの結晶構造を鋳型としてドーパミンD3受容体など3つのGPCRの立体構造モデルをホモロジーモデリング法により構築し、これらにそれぞれ既知のアンタゴニストを手動で結合させ、エネルギー極小化計算を行って、アンタゴニスト結合型のモデルとした。これらを用いて仮想スクリーニングを行った。ドッキングのプログラムはGold、FlexX、Dockを、スコア関数はSYBYLのCScoreに更に2つのスコア関数を加えたものを用いた。ACDから任意に選択した990の化合物に既知アンタゴニスト10個を加えた化合物群を対象として、仮想スクリーニングを行ったところ、それらの既知アンタゴニストを上位ヒットとしてある程度検出することができた。一方、同様の試みをアゴニストに対しても行ったところ、アゴニスト結合型では既知アゴニストを検出することはできなかった。そこで、受容体の6番目のへリックス(TM6)を(細胞外から見て)反時計回りに30SARNewsNo.4(Mar.2003)-13-度回転させたモデルを作製した。これは近年GPCRの活性化に伴い、TM6が回転するという知見が蓄積してきているためである(例えば[2]のp.144)。この受容体モデルに上記と同様に既知のアゴニストを手動で結合させ、AMBER5.0を用いてマルチリガンドベースのエネルギー極小化計算を行い、新たなアゴニスト結合型のモデルとした。このアゴニスト結合型モデルを用いた仮想スクリーニングでは、幾分かの既知アゴニストをヒットとして得ることができた。この研究では、アンタゴニスト結合型とは別にアゴニスト結合型のモデルが作製されている。以下に述べるリガンド認識仮説と共通のアプローチである。GPCRの活性化の機構が明らかになるに従い、今後もこのような試みが続くと思われる。2.GPCRのリガンド認識仮説GPCRであるロドプシンは光照射により、metarhodopsinI、metarhodopsinIb(別経路ではmetarhodopsinI380)などの光活性化中間体を経て、活性状態のmetarhodopsinIIに至ることが知られている。GPCRの活性化機構はある程度普遍的であると予測されるので、ロドプシン以外の他のGPCRについても、同様な光活性化中間体に対応する中間体構造が存在すると推測される。また、GPCRには、薬理学的に作用の異なる4つの型のリガンドが知られている。これらのことより、サントリー生物有機科学研究所の石黒正路(敬称略させて頂きます)は、ロドプシンの活性化中間体構造および最終的な活性構造はそれらのリガンドを認識する構造に対応するのではないかという仮説を設けた[6,7]。このリガンド認識仮説では、ロドプシンの光カスケードに関わる4つの状態が、それぞれ、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、パーシャルアゴニスト、アゴニストの認識を行う構造であるとされる(図1)。図1.リガンド認識仮説の4つの結合型石黒によって上記の4つの結合型の構造モデルが作製された(図2)[8]。これらは、TM3(3番目のヘリックス、以下同様)、TM4、TM5、TM6の構造がそれぞれ異なっている。また、ウシロドプシンの結晶構造とも一致しない。特にTM6については、アゴニスト結合型においてヘリックスが回転しており、顕著に異なる構造として作製されている。活性化に伴うTM6の回転については、ロドプシン[2]のみでなく、k-オピオイド受容体[9]などについても実験的証左が得られている。また、同じくこの仮説に基づき、ロドプシンファミリーに属するヒトのムスカリン性アセチルコリン受容体のアンタゴニスト結合型の複合体モデル、およびアゴニスト結合型の複合体モデルが構築されている(図3、図4)。アンタゴニスト結合型のモデル(図3)では、TM6上のTrp400やAsn404がリガンドの近傍にあるが、アゴニスト結合型のモデル(図4)では、TM6の回転のためTyr403がリガンドの近傍に位置し相互作用を行っている。実際にこのTyr残基を部位特異的に変異させると、アンタゴニストの結合には影響しないが、アセチルコリンの結合活性は低下することが示されている。このことは、このTyr残基がアゴニスト結合型でのみ、リガンドと相互作用可能な位置にくることに良く対応している。このようにリガンド認識仮説に基づく複合体モデルによって、リガンドの適切な結合様式が得られている。InverseagonistbindingPartialagonistbindingAgonistbinding(MetarhodopsinI)(MetarhodopsinIb)(MetarhodopsinI380)(MetarhodopsinII)AntagonistbindingSARNewsNo.4(Mar.2003)-14-インバースアゴニスト結合型(青)、アンタゴニスト結合型(黄)、パーシャルアゴニスト結合型(シアン)、およびアゴニスト結合型(赤)を示す。また、ウシロドプシンの結晶構造(白)も合わせて示す。中央の分子はb2-アドレノセプタのインバースアゴニストであるプロプラノロールである。図2.リガンド認識仮説の4つの結合型のモデル構造3.GPCR立体構造モデルデータベースリガンド認識仮説に基づくGPCRの立体構造モデルは、アンタゴニストやアゴニストなどのリガンドの分子設計に有用な情報を提供すると考えられる。我々は現在GPCR立体構造モデルデータベースの作成を行っている[10]。Ser107Asn108Thr190Trp400Phe195Asn404図4.M2レセプターとアセチルコリン複合体モデル(アゴニスト結合型)図3.M2レセプターとN-メチルスポコラミン複合体モデル(アンタゴニスト結合型)Asp103Asp103Tyr104Thr190Trp400Tyr403SARNewsNo.4(Mar.2003)-15-対象はヒトのロドプシンファミリーのGPCRとした。これらをGPCRDB(http://www.gpcr.org/7tm/)のリストにより特定し、アミノ酸配列はSWISS-PROTとTrEMBLから収集している。重複などを除くとGPCRの数は350程度である。これらのGPCRについて、上記の4つの結合型のウシロドプシンの立体構造モデルを鋳型として、ホモロジーモデリング法によりそれぞれ4つのリガンド結合型の立体構造モデルを構築している。リガンド認識仮説に基づくGPCRの立体構造モデルのデータベースは、薬物設計の有用なプラットフォームになるものと考えられる。最後に、本ニュースレターでの発表機会を与えて下さいました黒木保久先生、ならびに編集委員の先生方に深く感謝致します。および研究のご指導を頂いている石黒正路先生に深く感謝致します。参考文献1.MuellerG.Towards3DstructuresofGprotein-coupledreceptors:amultidisciplinaryapproach.Curr.Med.Chem.2000,7,861-888.2.LuZ-L,SaldanhaJW,HulmeEC.Seven-transmembranereceptors:crystalclarify.TrendsPharmacol.Sci.2002,23,140-146.3.Structuresbycomputation.Chem.Eng.News2002,October14,14.4.VaidehiN,FlorianoWB,TrabaninoR,HallSE,FreddolinoP,ChoiEJ,ZamanakosG,GoddardIIIWA.PredictionofstructureandfunctionofGprotein-coupledreceptors.Proc.Natl.Acad.Sci.USA2002,99,12622-12627.5.BissantzC,BernardP,HibertM,RognanD.Protein-basedvirtualscreeningofchemicaldatabases.II.ArehomologymodelsofG-proteincoupledreceptorssuitabletargets?Proteins2003,50,5-25.6.Ishiguro,M.Amechanismofprimaryphotoactivationreactionsofrhodopsin:modelingoftheintermediatesintherhodopsinphotocycle.J.Am.Chem.Soc.2000,122,444-451.7.石黒正路.GPCRのリガンド認識仮説と創薬デザイン.古谷,増保,辻本編「ゲノム創薬-創薬のパラダイムシフト」(中山書店)2001,151-161;石黒正路.GPCRにおけるリガンド認識.ファルマシア2001,37,291-295;石黒正路.構造生物学をもとにした創薬プロテオミクス.蛋白質核酸酵素2002,47,960-966(口絵854).8.注:GPCRのリガンド認識仮説に基づく立体構造モデルはサントリー㈱より特許出願中である。9.SharmaSK,JonesRM,MetzgerTG,FergusonDM,PortoghesePS.Transformationofak-opioidreceptorantagonisttoak-agonistbytransferofaguanidiniumgroupfromthe5’-to6’-positionofnaltrindole.J.Med.Chem.2001,44,2073-2079.10.吉川寧,米田照代,古谷利夫,石黒正路.リガンド認識仮説に基づくGPCR構造モデルデータベース.第30回構造活性相関シンポジウム要旨集2002,85-86.SARNewsNo.4(Mar.2003)-16-////報告/////「構造活性相関講習会2002」報告(財)サントリー生有研石黒正路阪大医藤原英明2002年度の構造活性相関講習会が6月28日(金)開催されました。本講習会も構造活性相関懇話会の頃の行事を1999年度に復活して4回目となります。本年度のテーマは構造生物学であり、下記の内容で開催しましたところ、一般参加者96名の申し込みがあり、会場も狭く感じられるほどの盛況となりました。今回は「創薬科学における構造生物情報の特徴と活用」を主題とし、X線結晶解析やNMRによる溶液構造解析の進歩、およびコンピューターによる立体構造モデリングや分子ドッキング・分子動力学などの手法の進歩をもとに、薬物と受容体の相互作用を解析し情報伝達機構を解明することにより合理的な創薬科学を展開するという最近の進歩著しい分野に焦点を絞りました。各分野で最前線に立って研究を進行中の5名の先生方に、基本的な考え方から最新の応用例までを分かり易く、かつエッセンスを大事に解説していただき、フリーな質疑応答により参加者の疑問を解消するとともに総合討論の場では方法論の違いによる構造情報の違い(特徴)など全体に共通したテーマで議論が進められました。最後に講師を囲んでミキサーの場が持たれ、自由な雰囲気の中で活発な意見交換がなされ全日程を盛会のうちに終了しました。貴重なデータを公開していただいた講師の方々、およびご多忙の中参加していただいた方々にこの場を借りて御礼申し上げます。開催日時:平成14年6月28日(金)10:30—17:30開催場所:コープイン京都207号室(京都市中京区柳馬場蛸薬師上ル)参加人数:一般参加者96名主題:創薬科学における構造生物情報の特徴と活用プログラム:1)結晶構造を利用したレセプター構造モデリング(サントリー生有研・石黒正路)2)ドッキング手法によるリガンド・レセプター複合体モデリング(ファルマデザイン・米田照代)3)分子動力学法の分子デザインへの応用(北里大学薬学部・広野修一)4)NMRを用いたリガンド・蛋白質相互作用解析(産総研・JBIRC・高橋栄夫)5)X線結晶解析によるリガンド・蛋白質相互作用解析の創薬への応用(キリンビール・黒木良太)6)総合討論SARNewsNo.4(Mar.2003)-17-////報告/////第30回構造活性相関シンポジウム実施報告第30回構造活性相関シンポジウム実行委員長豊橋技術科学大学工学部高橋由雅本シンポジウムは日本薬学会構造活性相関部会主催の下、日本化学会ほかの共催を得て、平成14年11月12日(火)・13日(水)の2日間、ホテル日航豊橋を会場に開催された。本年度シンポジウムでは口頭発表(17件、うち招待講演2件)並びにポスター発表(25件)合わせて42件の一般講演と2題の特別講演が実施された。第1日目午前中はQSAR解析のためのパラメータならびにニューラルネットワークを中心とした手法とその応用を中心に6件の一般講演が行なわれた。午後からは二つの特別講演とポスター・セッションが情報化学討論会と合同で開催され、各ポスター前では2時間にわたって熱心な議論が展開された。(財)日本医薬情報センター・松本和男氏による特別講演「我国の製薬産業と医薬品情報の現状」では、最新のデータをもとに欧米各国との比較を交えながらわが国の製薬業界の現状と課題、さらには添付文書の情報価値にふれ医薬品情報の管理と流通の意義、そして新規薬剤開発へのこれら情報の積極的な有効活用の重要性が強く指摘された。また、エルランゲン大学のGasteiger教授による「Computer-AssistedApplicationsandInformationNeedsforthePracticingChemist」では企業等の現場化学者のための利用可能な最新の計算機援用技術について反応設計・合成設計支援を中心に広範な事例が紹介された。第2日目は受容体との相互作用解析等の応用例や薬物構造データマイニングの特集などの一般講演に加え、「リボゾームRNA遺伝子のコピー数の増減はどのようにして起こるか?-薬剤耐性機構の理解とタンパク質過剰生産系の開発を目指して-」(岡崎基生研・堀内崇教授、「DNA1分子の操作と計測」(豊橋技科大・水野彰教授)の二つの招待講演が行なわれそれぞれの分野に関する最新の研究成果が披露された。以上、上記のとおり、地方での開催にもかかわらず両学会合わせて約300名の参加者を得て、盛会の内に無事終えることができた。また、会期中に開催した懇親会にも合わせて130名もの方々に参加頂き、大変好評であった。本シンポジウムは本年度で30回を数えると同時に昨年4月に発足した日本薬学会構造活性相関部会の下での初めての開催となった。今後は同部会年会の役割も担うこととなる。15年度は星薬科大学の市川紘先生、高橋典子先生のお世話で東京での開催が決定している。本シンポジウムの更なる発展を期待したい。最後に、本シンポジウムの開催に当たり、多数のご助言・ご助力を頂いた日本薬学会の関係各位に謝意を表するとともに、実施に際し、学会開催助成を頂いた豊橋コンベンション協会に深く感謝する次第である。SARNewsNo.4(Mar.2003)-18-////報告/////日本薬学会構造活性相関部会設立総会阪大・薬高木達也2002年11月11日(月)、2002年度構造活性相関シンポジウムが開催される前日に、ホテル日航豊橋「桃の間」にて、記念すべき日本薬学会構造活性相関部会設立総会が開かれました。これは、日本薬学会の中に4月1日より新たに発足した構造活性相関部会の総会であり、通常は主事業である構造活性相関シンポジウムの開催中に開かれるものですが、今年は第1回総会ということで、部会発足に御尽力いただいた方々にも集まっていただき盛大に催されました。総会は、本年度構造活性相関シンポジウムの実行委員長であり設立総会の世話をしていただいた高橋由雅先生(豊橋技術科学大学工学部)の開会の挨拶に始まり、議長に石黒正路先生(財団法人サントリー生物有機科学研究所)を選出し、以後、石黒先生の議事により、会が進行しました。最初に、寺田弘先生(東京理科大学薬学部、元薬学会会頭)により、会設立の趣旨説明が行われ、構造活性相関懇話会から構造活性相関研究会へと発展して来た歴史を踏まえて、新しく薬学会の中に部会として発足した経緯および今後の発展の期待が大きいことが述べられました。次いで、議長より構造活性相関部会役員案が示され、参加者の拍手により承認されました。これを受けて、部会代表に選出された藤原英明先生(大阪大学医学部)より代表挨拶が行われ、新たな気持ちで発展に尽くす抱負が述べられました。引き続き、代表より部会申し合わせに関する説明が行われ、全員の賛同により承認されました。会の終わりに当たり、藤田稔夫先生(京都大学名誉教授)より、構造活性相関研究を我が国で進めた30年以上の年月を振り返った感慨深い記念スピーチを頂きました。その後、設立総会は祝賀懇親会に引き継がれ、最初に日本薬学会会頭の池上四郎先生(帝京大学薬学部)より会頭挨拶を頂き、本部会にかける期待の大きいことが述べられました。更に、日本化学会情報化学部会会長・細矢治夫先生(お茶の水女子大学名誉教授)、日本薬学会常任理事・小林利彦先生(米国研究製薬工業協会)より祝辞を頂きました。海外からの祝賀メッセージとして、Prof.CorwinHansch(Pomona大学名誉教授)からの祝辞が披露されました。藤田稔夫先生の乾杯の音頭とともに会は懇親の場となり、設立記念総会・祝賀懇親会は、盛況のうちに終了しました。構造活性相関研究会からの流れを汲んでいますため、全体として和気藹々としたムードで行われましたが、そういった中にも、これを一つの契機として、この分野の新たな発展を促すと言う、気鋭の精神も読み取ることが出来た、素晴らしい設立総会だったと存じます。次頁に、部会代表・藤原英明先生宛に届いたHansch教授からの祝辞を掲載いたしました。SARNewsNo.4(Mar.2003)-19-SARNewsNo.4(Mar.2003)-20-////報告/////14QSAR(EuroQSAR2002)京都大学大学院農学研究科赤松美紀第14回ヨーロッパQSARシンポジウムは、2002年9月8-13日にイングランドのバーンマスで開催された。バーンマスと聞いてもほとんどの方には馴染みがないと思われるが、イングランド南部ポーツマス近郊に位置する風光明媚で温暖な気候のリゾート地である。参加者総数は400名足らずで、日本からも多数の方々が参加されていた。シンポジウムの行われた地域・会場ともに申し分なかったが、運営面においては不手際の目立ったシンポジウムであった。(これまで何回かヨーロッパQSARシンポジウムに参加したが、それらは運営もしっかりした立派なシンポジウムであったことを明記しておく。)初日に講演要旨集を手にして、さて、これからどのような講演が行われるのだろうと思い要旨集を開けてみると、最初に講演のプログラムが書かれていた。興味深いと思われる講演タイトルをピックアップし、要旨を読もうとしたがプログラムの次はポスターの要旨で、どこにも口頭講演の要旨が見当たらない。Openingの際にオーガナイザーがいきなり口頭講演の要旨について話し始めたので、後で別冊子を配布されるのかと思えば、「シンポジウムまでに口頭講演の要旨集作成が間に合いませんでした。ごめんなさい。」といったお詫びだけであった。一緒にそれを聞いていた他の日本人参加者の方々もあきれた様子であった。結局、口頭講演の要旨はないまま、翌日から招待講演を含む約70題の口頭講演、約250題のポスター発表が行われた。口頭講演は、Expandingtheknowledgebase,(1)Highthroughputprocesses,(2)Modellingthechemistry,(3)Modellingtheorganism,Modellingthedata,(4)Bioinformatics,(5)Webbaseddissemination,qualityassuranceandintegration,(6)Cheminformaticsのセッションに分かれていたが、いずれも講演時間が短すぎ、興味深い内容でも消化不良のまま終わってしまった。ポスターもセッション毎にまとめてあるのはよいが申し込み順に番号をふられているため、目的のポスターを見つけだすのが大変で、すべてを網羅するのが困難だった。私にとって非常に役立ったのはむしろWorkshopで、drugtransport特にPgpなどeffluxシステムも含めたtransportersについて数名が講演を行い、熱い議論が交わされた。不備な点は多数あったものの、このシンポジウムに参加するとQSARの最近の動向がよくわかるのみならず、QSAR分野で活躍している世界中の研究者達に会うことができる。次回のヨーロッパQSARシンポジウムは、2年後の2004年にトルコ・イスタンブールで開催される。そのオーガナイザーである美しいアンカラ大学の女性教授Prof.Dr.EsinAkiSenerが御挨拶され、「次回のシンポジウムがヨーロッパとアジアをつなぐ架け橋になれば・・・」と言っておられたのが印象的であった。私的には、アメリカ・ポモナ大学のHansch先生が講演者として招待されているという話も聞いている。トルコでのシンポジウムが、アジアのtasteを盛り込んだひと味違うヨーロッパQSARシンポジウムになることを期待している。SARNewsNo.4(Mar.2003)-21-////お知らせ/////日本薬学会構造活性相関部会「設立記念シンポジウム」日時平成15年6月19日(木)13:00¬会場星薬科大学(〒142-8501東京都品川区荏原2-4-41)本館第二ホール主催日本薬学会構造活性相関部会(http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html)主旨構造活性相関部会が日本薬学会の中に発足したのを記念して、21世紀の構造活性相関研究を展望し、活力ある展開を目指すため、下記のシンポジウムを企画しました。また、この機会に、今後の部会の発展の契機とすべく、薬学および関連分野から幅広く提言を賜ることと致しました。翌日開催の構造活性フォーラム(別記)と併せて御参加下さい。プログラム:13:00¬あいさつ(構造活性相関部会代表・阪大医)藤原英明他展望講演「ポストゲノム時代への構造活性相関研究の貢献」(構造活性相関部会常任世話人・サントリー生有研)石黒正路招待講演「バイオグリッドとinsilicoDrugScreening」(阪大蛋白研)中村春木招待講演「バーチャルスクリーニングによる創薬リード化合物探索」(山之内製薬)藤田茂雄招待講演「ゲノム情報収斂型創薬化学¬ゲノミクス・プロテオミクスを礎にして」(京大薬)藤井信孝提言と部会への期待懇親会18:3020:00(20日の構造活性フォーラムと合同開催)会場への交通東急池上線戸越銀座駅下車徒歩5分,都営浅草線戸越駅下車徒歩10分,東急目黒線武蔵小山駅下車徒歩10分地図は下記URLをご覧ください.http://polaris.hoshi.ac.jp/kanri/annai/index.html参加費3,000円(懇親会費を含む)申込締切平成15年5月30日(金)申込方法氏名、所属、連絡先(住所、電話・FAX、電子メール)、懇親会参加の有無を明記の上、電子メール(sar-pharm@sahs.med.osaka-u.ac.jp)または下記の連絡先宛お申し込み下さい。参加費は郵便振替(00910-4-189011日本薬学会構造活性相関部会)にて事前にお振込下さい。連絡先〒565-0871吹田市山田丘1-7大阪大学医学部医用工学講座内部会設立シンポジウム実行委員会(代表藤原英明)TEL/FAX:06-6879-2573SARNewsNo.4(Mar.2003)-22-////お知らせ/////構造活性フォーラム2003~AffinityBasedScreening~主催日本薬学会構造活性相関部会協賛日本化学会、他日時2003年6月20日10:00~17:00会場東京都品川区荏原2-4-41星薬科大学本館第二ホール講演1.PCクラスタを用いたVirtualScreening戦略~DockingStudyと3Dデータベース検索~緑川淳(住商エレクトロニクス)2.GridBasedLigandDockingによるVirtualLibraryScreeningとLinearResponse法を用いたLeadOptimization島田裕三(インフォコム-Schrodinger)3.医薬分子設計研究所におけるドッキング研究の展開ドッキング法の歴史と展望富岡伸夫(医薬分子設計研)自動フレキシブルドッキングの最先端水谷実穂(医薬分子設計研)4.質量分析法を用いたタンパク質とリガンドとの相互作用解析益田勝吉(サントリー生物有機科学研)5.ReverseTargeting技術を用いた治療標的蛋白質探索嶋秀明((株)アフェニックス)参加費一般6000円、学生3000円当フォーラムの参加者は、前日開催の構造活性相関部会設立記念シンポジウムに無料で参加できます。懇親会懇親会は設立記念シンポジウムと合同で、前日18:30から、星薬科大学・新星館ステラにて開催されます(参加費無料).申込み締切5月30日(金)申込み方法氏名、所属、連絡先(住所、電話・FAX、e-mail)、前日の懇親会への参加の有無を明記、e-mail(forum03@gen-info.osaka-u.ac.jp)、FAX、郵便にてお申込み下さい。参加費は郵便振替(口座名称構造活性フォーラム2003、口座番号00980-3-187808、通信欄に参加者氏名、所属記入)にて事前にお振込下さい。問合せ先e-mail:forum03@gen-info.osaka-u.ac.jp実行委員長藤原巌(大日本製薬)詳細は、下記のURLを参照ください。http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/forum03.htmlSARNewsNo.4(Mar.2003)-23-////お知らせ/////第31回構造活性相関シンポジウム日時:平成15年11月18日(火)、19日(水)会場:星薬科大学(東京都品川区荏原2-4-41)交通:東急池上線戸越銀座下車徒歩5分、都営浅草線戸越下車徒歩7分,または東急目黒線武蔵小山下車徒歩8分。地図はhttp://polaris.hoshi.ac.jp/kanri/annai/をご覧下さい。主催:日本薬学会構造活性相関部会共催:日本化学会、日本農芸化学会、日本分析化学会、日本農薬学会特別講演(仮題)浅島誠(東京大学大学院総合文化研究科生命系)「構造と機能からみた器官形成と形づくり」西岡孝明(京都大学大学院農学研究科)「ゲノム情報から細胞内化学反応ネットワークを再構築する―バイオインフォマティクスから化学分析まで―」討論主題(1)生理活性物質の活性評価(2)医農薬等への応用(3)QSAR基本パラメータ・手法(4)QSARの情報数理的アプローチ(5)吸収・分布・代謝・毒性・環境毒性とQSAR(6)3D-QSAR(7)コンビナトリアルケミストリーと創薬(8)バイオインフォマティクス(9)医農薬等分子情報処理(データベースを含む)(10)分子構造情報からのデータ予測(11)その他発表形式口頭(講演25分または15分、討論5分を含む)、またはポスター発表申込7月18日(金)締切[必着]、E-mailにより受付講演要旨9月26日(金)締切[必着]、A4版用紙を使用し、本文(和文または英文)は、2または4ページ、要旨要約は英文半ページ。執筆要項はURLに掲載します。参加登録予約申込10月10日(金)締切[必着]発表申込,参加登録および送金方法などの詳細についてはURLに掲載します。参加登録費(情報化学討論会と共通(含要旨集))[一般]予約6,000円、当日8,000円;[学生]予約2,000円、当日3,000円要旨集前送希望の場合は1,000円で申し受けます。なお、費用振込み後、参加取消しによる返金には応じられません。懇親会11月18日(火)星薬科大学内「ステラ」にて情報化学討論会と合同開催会費:[一般]予約6,000円、当日7,000円[学生]予約3,000円、当日4,000円連絡先〒142-8501品川区荏原2-4-41星薬科大学衛生化学教室高橋典子Tel:03-5498-5950,Fax:03-5498-5950Email:qsar31@hoshi.ac.jpURL:http://polaris.hoshi.ac.jp/qsar31/SARNewsNo.4(Mar.2003)-24-構造活性相関部会の沿革と趣旨本部会は構造活性相関懇話会として、1975年5月京都において第1回シンポジウムを開いたのが始まりである。1975年度は2回のシンポジウムを開催し、以降1978年までは依頼講演4~5件、半日の簡素な形式であった。1980年より一般講演を募集し、年1回の構造活性相関シンポジウムが関係諸学会の共催の下で開かれるようになった。1993年より同シンポジウムは日本薬学会医薬化学部会の主催の下、関係学会の共催を得て行なわれることとなった。1994年より構造活性相関懇話会の名称を同研究会と改め、シンポジウム開催の実務担当グループとしての役割を果たしてきた。昨年4月からは、日本薬学会の支援を受けて構造活性相関部会として新しく組織化され、関連諸学会とも密接な連携を保ちつつ構造活性相関に関する学術・研究の振興と推進に向けて活動することとなった。1975年当時、関係する領域における科学技術のめざましい発展にともなって、医農薬を含む生理活性物質の構造活性相関と分子設計に対する新しい方法論が国内外に台頭してきた。このような情勢に呼応するとともに、研究者の交流と情報交換、海外諸国における研究の紹介、および国内における研究発表と方法論の普及の場を提供することを目的に設立された。以来、懇話会として構造活性相関シンポジウムの実行支援のほか、南江堂より、化学の領域増刊122号:薬物の構造活性相関(ドラッグデザインと作用機作研究への指針)、および同増刊136号:同第二集(ドラッグデザインと作用機作研究の実際)をそれぞれ1979年と1982年に編集、出版するとともに、構造活性相関講習会を開催するなど設立の趣旨に応じた活動を進めている。本部会の沿革と趣旨および最近の動向などの詳細は、(http://bukai.pharm.or.jp/bukai_kozo/index.html)ホームページを参照願いたい。編集後記SARNewsは構造活性相関研究会の情報誌として一昨年10月に創刊し、今回で第四号を迎えました。ご多忙の中、原稿執筆をお引き受け頂きました先生方には心からお礼申し上げます。今年は桜の開花も例年通りとのことで、このニュースレターが配信される頃には満開のところも多いことかと存じます。お知らせ欄にもありますように、構造活性相関部会で準備を進めて参りました「日本薬学会構造活性相関部会設立記念シンポジウム」と「構造活性フォーラム2003~AffinityBasedScreening~」を本年6月19~20日に開催する予定です。構造活性フォーラムは今年から「構造活性相関講習会」を改めまして発足の運びとなりました。大変興味深い講演ですので、是非とも御参画下さいますよう宜しくお願いいたします。11月には市川紘先生並びに高橋典子先生を実行委員長として、第31回構造活性相関シンポジウムが星薬科大学で開催されます。皆様奮って講演して頂きますよう宜しくお願いします。編集委員一同、桜の開花エネルギーを吸収しながら引き続き内容の充実に努めて行きたいと考えております。皆様のご協力、ご支援をお願いする次第です。(黒木)SARNewsNo.4平成15年3月31日発行:構造活性相関部会(常任世話人代表:藤原英明)SARNews編集委員会(委員長)黒木保久石黒正路高橋由雅藤原巌中川好秋*本誌の全ての記事、図表等の無断複写・転載を禁じます。